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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
外伝、その2「理想の国」

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第24話「ダイナーにて」

『ABCブレイキングニュース。アンソニー=ホフキンスがお送りします。MIFは昨日、ルマニア共和国にて会見を開き、信用調査の結果を「BBB」と発表しました。この調査結果を元にルマニア共和国通貨である『ルピア』は暴騰。3ヶ月前の『1ドル=4億ルピア』から一時『1ドル=4千万ルピア』となりました。終値は『1ドル=5千万3642ルピア』となり、民政移管以降の最高値をマークしました。現地ルマニアよりルアンダのレポートです』


画面が切り替わり、『自由の国』の夜のニュース番組が朝のアジアの光景を映す。


『ルマニア共和国首都、ルピアールの大統領官邸前からマチルダ=コールマンがお送りします。こちらのコーラを買うのに数ヶ月前までは4億ルピアこの段ボールいっぱいの札束が必要でした。

今はこの札束4〜5束です。更に来月には新規通貨、『ネオ・ルピア』発行が予定されており、コーラが現在の相場では『100ネオ・ルピア』程度となる予定です。

ユーリ=シトロエン大統領は就任2年目。最近の改革は岸本梓大統領補佐官の手腕と言われており、現地では『ルマニアの聖女』とカルト的人気になっています。ただし、政権中枢に『人民の国』出身の高官の存在も確認されており、急速な経済回復の影に『人民の国』政府の関与を疑う専門家の声もあります。つまりはこの経済回復が本物かどうか注視する必要がありそうです』



「……違うな」


テレビから目を離すとTボーンステーキを切り分けるルーザー=ブライトンCIF長官が視界に入る。つぶやいたのは彼だった。


マシントンDCはロビイストだらけで落ち着けない。だからポタマック川を越えてアーリントン州に入り、古き良きダイナーで落ち合うのが2人のルールだった。


ルイス=ジョンソン国防長官にとって、この政権で唯一良かったのはルーザーと知り合えた事。党の違う前政権からそのまま居座り続けた彼を始め『いけすかない奴』と思っていたが、そのプラント大統領の操縦技術に関しては見習う事も多い。


「当ててやろうか?キシモト=アズサだ」


ルイスはそう言って、ホットコーヒーを啜る。


「正解だ。MIFに潜らせたエージェントによれば奴は通信入札、『人民の国』との戦争に関わってる。それからー」


ルーザーは一口大に切り分けたステーキを頬張る。どちらかといえば小柄な身体のどこにそんなに食べる胃袋があるのだろうとルイスはいつも思う。


「『人民の国』のエージェントの話では、ユーリ大統領と共に書記長室を極秘訪問している。そしてこのアズサは魔女である可能性が高い」

「……やはりか。それでどうする?このままではあの国のレアアースは『人民の国』に独占されるぞ」


たちまちルイスの胃が痛くなる。

それを鼻で笑うようにルーザーが返す。


「我がCIFのお家芸を使うさ」

「俺なら南部軍かな」

「そう。今回はルマニア南部軍のスィープ将軍を使う」

「……資料で読んだな。確か、ユーリ大統領の軍時代の上官」

「そうだ、『美の国』で傭兵経験もある。うってつけだ」

「だが、アズサは魔女だろう?通常兵器では牽制にすらならんのでは?」

「大丈夫だ」


そこでルーザーはアダッシュケースから1枚の設計図を取り出す。


「『ヒロイ型AMFG』という」

「『女王・エリザード』の魔法を封じたあのドローンか?」

「そうだ。だが肝心なものが足りない」

「何だ資金か?」

「大統領の機嫌のいい時間さ。3ヶ月から半年は欲しいところだ」


無理を言う。

だがそれを通すのが仕事だった。

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