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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
外伝、その2「理想の国」

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第7話「異能少女」

ルマニア共和国、北東部・スマーノゥ州。国境付近、ルンダオタウン・ルンダオ鉱山。


半年前にお母さんは死んだ。

悲しいし、今でもさびしい。


けれど、お母さんとの約束は守る。


「町長さん、これ。今週分」

「いつも、ありがとうね、ハルちゃん。はい、今週分の食べ物と現金。今週は電気代。だろ?」

「うん!ありがとう!」


町長さんに渡したのは「ねおじむ」というらしい。何に使うのかは知らない。


今日は「しゅっか」の日でもある。


トラックが鉱山を出て道路を進んでいく。

1時間ほど走ったところにトラックの給油所がある。「じんみんの国」に行くトラックはこの先4時間は給油所がないから、必ずここで止まる。


「『せいれん』!」


トラックの荷台の石が少し揺れる。いつの間にか、私の手に「ねおじむ」があらわれる。

トラック2台で町長に渡したものと同じ「ねおじむ」ができる。時間が経つと灰色にザラッとする。今日は6台いたから3個の「ねおじむ」ができた。


トラックは「じんみんの国」に行く。

でも、山はルマニアの山だ。

だから「少しくらい持ってきてもいい」って、お母さんは言っていた。


私は『いのうしょうじょ』なのだ。

お母さんもそうだったし、おばあちゃんもそうだったらしい。


「『いどう』!」


呪文を唱えると、すぐに家に帰りつく。

もらった食べ物を冷蔵庫にしまって、床の下にある秘密の場所に「ねおじむ」を隠す。


『3つできたら、1つは町長さんに。2つはここに隠す事』


お母さんとの約束。


『ここに来る人がいたら、「ねおじむ」を渡す事』


もう1つの約束。


いったい、いつ、だれが来るんだろう?

わからないけど、私はそれを待っている。


♦︎♦︎♦︎


同じ頃、ルマニア共和国、首都・ルピアール。大統領執務室。


「それで沙織ちゃん、何がおかしいの?」


梓が少しだけ不機嫌そうに言った。無理もない、休みの日に携帯で呼ばれたのだから。


「これ、横領の額と時系列、一般予算と軍予算。ここ5年分、ここ2年以前は軍事政権下で正確とはいえないけど」


ユーリ大統領が遅れて入ってくる。


「すまない、遅くなった」

「一緒にいたなら、一緒に入ってくればいいのに」


沙織が言う。精神感応系魔法少女の沙織には生半可な嘘は通用しない。


「正直に言おう、36歳の大統領が18歳の大統領補佐官に手を出すのは、スキャンダルになる。だから何もない」

「知ってる」


沙織が短く言う。


「あー確かに、これは変ね」


数字を目で追っていた、梓が声を上げる。


「何がだ?」


ユーリが資料を見ずに言う。


「北東部のスマーノゥ州、半年前から急に横領に手を染めてる。軍の北部方面師団は鉱石を横流ししていたはず。だから横領なんてなかった。しなくても十分に潤っていたからよ」


梓が答えて、ユーリが仮説をたてる。


「潤っていないという事は、産出量が減った?」

「違う。昨年9月のハリケーンで設備トラブルがあった時以外は例年通り」


沙織が否定する。


「つまりは、北部方面師団は鉱石を横流ししている。にもかかわらず半年前から横領にも手を染めている。鉱山の産出量には変化なし」


梓がまとめる。


「これ想定を悪い方に上振れしたら、あずちゃんのプランが崩れかねない。だからデート中だろうけど呼んだの」

「デ、デートじゃないし!護衛だもん!」


梓が顔を真っ赤に染めて否定する。


「と、とにかく実際に見に行きましょう。話はそれからよ」

「公務としてか?」


ユーリが問う。


「違うわ。社会勉強よ。せっかくの休みだし」

「デートじゃん」

「沙織ちゃんも行くの!」


心理は読めても空気の読めない沙織であった。

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