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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
外伝、その2「理想の国」

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第1話「プロローグ:卒業生」

とある年、2月。


文部科学大臣室に2名の魔法少女が招かれた。


岸本梓と三月沙織。


長らく関西圏を2人だけで守護し続けてきた2人だったが、3月で魔法少女としては引退を迎える。トップとして、長年の功績を労うのが今回の招聘のお題目である。


「さて、もうすぐ卒業ね。どうするの?」


文部科学大臣で魔法少女を束ねるトップである佐藤ゆりあが単刀直入に聞く。これには理由があって、2人のうち沙織には嘘が通用しないからだ。


「島を買おうと思います」


梓が言った。それを補足するように沙織が続ける。


「海水から塩分を抜く装置を設置して、水道を確保。電力は風力と太陽光。つまり独立したインフラを持つ、『理想の島』だよ」


それを予見していたかのように、ゆりあは笑った。


「もっと大きく『理想の国』を作ってみない?」


そう言って2人に分厚い資料を渡す。


「読んで熟慮してちょうだい。解答は2週間後、卒業式でいいわ」

「つまりは?」

「……梓ちゃんも察しがいいわね。これは『魔女試験』よ。あなた達には『魔女見習い』として、資料の国を再建してほしいの」


嘘ではない事が沙織の顔色でわかる。


「わかりました。それでは。『ワープ』!」


♦︎♦︎♦︎


長崎県、大村市月島。


長崎市に浮かぶ端島ーー『軍艦島』は有名だが、そこから30キロ程離れた月島も同じような炭鉱の島だった。そこを企業から沙織が買い取り、プレハブだが住めるように改装した建物が梓達の卒業後の仮住まいの予定だった。


リビングにあるソファーに横になって沙織が資料に目を通す。


「『ルマニア共和国』ーー通称『アジアのジンバブエ』、南部の農業と北部の希少金属で80年代まで潤ったが、次第に汚職や腐敗が蔓延。2000年代に民意を汲むカタチで軍事クーデターが起こり、軍事政権を樹立。2年前に民政移管。だが、経済・財政の専門家は国外逃亡や亡命。ハイパーインフレが起こる……」


梓はダイニングでテーブルに置いたコーヒーをすすりながら静かに数字を追っていく。


「7つの州。北部2州はレアアースを産出。特に北東のスマーノゥ州は『人民の国』との国境線を有し、レアアースの横流し・密輸が横行……南部2州は穀倉地帯で全盛期は輸出国、今では南部は闇ドルの横行する危険地帯……」


梓は資料を置く。


「コーラ1本買うのに3億ルピアだって。『物価』が上がってるんじゃない。『信用』が下がってる」

「『ない』の間違いじゃない?」


沙織が笑って修正する。


「どうする?ここを『理想の島』にするのも悪くないと思ったけど?」

「ゆりあさんの案に乗るのは癪だけど……」


2人は目を合わせる。


「「こっちの方がおもしろそう」」


2人の声がピッタリと重なった。


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