第108話「決勝戦⑥キムベリー・ドックス」
『ユニオン・ジャック』!」
閃光が『タイプ=アヤメ』を貫く。
「司令機は落とした。これで他はただの攻撃メカになった」
さくらが笑う。
だが。
「ふふ、見事だ。AIっていうのは『最適な答え』は導き出せても、そこにある『悪意』には気付けない」
あくまで夏樹の余裕は崩れない。
「予備機は何機もあるからね。でも出さない。同じようにやられるだけだからね」
さくらも今が優勢であると認識して、笑って言う。
「じゃあ、どうするの?現状ジリ貧でしょ?」
その言葉を待っていたかのように、夏樹が呪文を唱える。
「これが本当に最後の奥の手だよ!」
夏樹は大きく息を吸う。
「『超電磁合体』!」
2体のモノノフと4体のハウンド・ドックが1つになる。
モノノフは複雑に折り重なり夏樹を中に取り込み、ハウンド・ドックのは臀部がそれに接続され、両手両脚となった。
「これが技術の到達点!
DXモノノフ、見参!」
歌舞伎のように見栄まで切る。
「……合体中に攻撃すればよかった」
ポツリとさくらが言った。
10mを超える巨体に力強そうな四肢。
相反するがチタンとカーボン製の装甲は見た目よりもずっと軽く俊敏性も兼ね備える。
さらに。
「『ワープ』アンド『ウォーター・キューブ』!」
瞬間移動して距離を取り、魔法で追撃も阻止する。
「厄介ね。魔法もそのまま使えるんだ」
いつしか戦いの場は造船所に移っていた。
「言ったよね?技術の到達点だって。さらにこんな事もできる。『ミスト』アンド『ヒート』!」
轟音と共に衝撃波がさくらを襲う。
水魔法と火炎を利用した、水蒸気爆発だった。
鋼鉄製のドックの壁が歪み、気がつけばドックの壁面に叩きつけられていた。
「わ『ワープ』!」
先程までさくらのいたドック壁面にDXモノノフのドロップキックが炸裂している。
「ちっ!逃したか?」
夏樹が悪態をつく。さくらの額に汗が浮かんだ。
(このままじゃ、負ける)
脳のどこか冷静な部分がさくらに告げる。
(盾魔法?いや、瞬間的魔力では負ける)
「『アイス・ブラスト』!」
上空に逃げたのを発見され、追撃の氷の弾丸が数千と襲ってくる。
その時だった。
さくらの中で誰かの声がした。
(『この状況を打開する魔法がないなら、作ればいいじゃない?』)
(ユニオン・ジャック、リーンベルの壁、オレンジ革命…)
欧州3大魔女の魔法。
(ワープ、イージスの盾、鷹の眼、アイス・ショット…)
今までに会った魔法少女の魔法。
無数の氷の弾丸が迫る。
逃げ場はない。
さくらは自然と呪文を口にした。
「『ジャパニーズ・ドリーム』!」




