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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第4章「魔法少女ワールドカップ編」

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第96話「セラフィナ=シルバーフォックス2」

マコト=ニシダまでの距離、160m。最初の1撃を外してしまえば盾を展開されて勝利は危うくなる。


(もう少し距離を詰めたい。確実に当たる距離まで!)


「待っていましたよ。セラフィナ=シルバーフォックスさん」


マコトの声。


(なぜ?気づかれていた!)


「ふふ。あなた、私の『盾の上』に乗ってますよ?この公園、景色も良くて緑も多くていいけど、ぬかるみが多いのがイヤです。私の盾がなければあなたの靴、今頃ドロドロです」


缶入りのエナジードリンクを飲みながらそう言った。


「それにしても3月でもドンロンは寒いですね。ココアにすればよかった」

「それはすまんな。真琴女史。紅茶ならすぐに用意できるが?」


答えたのはエリザード女王。


(どうしてこんなところに?)


「審判だよ。セラフィナ女史。

それにしてもマコト女史は英語が苦手か?」

「ええ。あまり得意ではありません」


試合中に審判とコミュニケーションを取るな!と言いたいが禁止するルールもない。


「さて、はじめますか?」

「そうね。『ネバーエンディング・フォグ』!」


炎と水で水蒸気を生み出して姿を消す。


「『イージスの盾、プロペラ』で!」


風が起こり霧を吹き飛ばす。隠れる前にわたしの姿が見つかる。


「くっ!」


風を起こしたプロペラはそのままわたしに襲いかかる。上に飛んでそれを避ける。


「いいんですか?それで?『イージスの盾』!」


今度はわたしの真上に盾が出現する。嫌な予感しかしないのでさらに距離をとって逃げる。


「やだなぁ。私は防御職なんですが?」


ベンチに座ったままのマコトがそう言う。


(ピンチの連続だったけれど、チャンスも見つかった。100m先に池がある!)


マコトの座るベンチの奥、そこに行けば『わたしのフィールド』になる。


(それなら、マコトを移動させるのがミッションね!)


「『ファイヤ・バード』!」

「そんなものが効くと思って……わっ!」


たまらずマコトが動く。狙ったのはエリザード女王。審判を攻撃してはいけないというルールはない。エリザード女王の防御のためにマコトは動かざるをえなかった。


「双方共に『狙い』があるようだな。そのためなら『私』をも『駒』にする。ビギナーとは思えんな」


心底嬉しそうにエリザード女王が言う。本当はエリザード女王を精神操作で操れたらもっと良かったけれど、さすが『欧州3大魔女・筆頭』だ。操れない。


その言葉の間もわたしは動く。身体強化を使って人間の限界を超える。


盾を作る間を与えずに格闘戦に持ち込む。

やはり、盾の防御が絶対的である分、マコトの格闘能力は低い。思わず池の方へ距離を取ろうと逃げていく。


わたしの思い通りだとも知らずに。


(あと50m。この距離なら!)


「使っていいんですか?」


マコトが口を開く。そして、その言葉は


「そろそろ、『限界』では?」


(な、なんで、知っているの?)


そうわたしは2つの敵と戦っている。

目の前にいるマコトと自分の『膀胱』。この2つと。


「それでもこれは罰!『友達』を殺した自分の!」

「はぁ……『イージスの盾』……」


ため息と共にマコトは盾を出す。サラダボウルをひっくり返したようなドーム型。透明ではなく白く濁って外の様子が見えなくなる。ただし、池の端は盾のドームの内側にある。


「打っていいですよ。これであなたが『失敗』してもカメラには映りません」

「つまりこの『盾』は『わたしの尊厳』を守るためのもの。だと!」


少しだけ吹いていた風も盾で止まり、ドームの中は3人の呼吸すら聞こえそうな程静かだった。


試合の様子は市内の防犯カメラと複数のドローンで撮影されている。それはロイヤル=エルバード・ホールの関係者やアーカイブにも残る。


「……試合を棄権します」


わたしは審判であるエリザード女王に告げる。


「勝者、真琴女史!」


短くエリザード女王が言った瞬間、ショーツの中で決壊した。


マコトはそれを予期していたかのようにベンチに置いていた自分のリュックサックから紙おむつを取り出した。


「使ってください」


短くそう言った。


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