第90話「ドンロンの休日③」
『時間があるなら話せないか?2人だけで』
今朝、わたしのスマホに入ったメッセージでした。
(3人のうち、『誰か』が来る)
と思っていたけれど、少し意外です。短く『行くけれど、少し待って』と返信しておきます。
「出かけてもいいけど、充分に注意してね。ここは日本じゃないんだから」
さくらちゃんが『普通の強盗』に襲われても、どうにかできるとは思えないけれど、引率者として一応言っておきます。
着替えを済ませて、ロビーでタクシーを呼んでもらって、ドンロン中心部へ。
指定された場所はガラス張りのオフィスビル。
2階のテラス席はドンロンを南北に分ける『タイムズ川』と時計塔『ビック・クロック』を一望できるスポットでした。
「来てくれて、ありがとう。水田マリさん」
「『マリ』でいいですよ。メルケン元首相」
メルケンの前のテーブルには冷えたコーヒーが置かれて、それが『待ち時間』を表示しているようで少し心苦しくなります。
「こちらも、敬称も敬語もいらないわ。それと私と藤原さくらは明日、戦う。普通に考えれば『情報収集』だと思うだろう。だが、違う」
「『日本の魔法少女の特殊性』ですよね?あなたは『元首相』である前に『物理学者』だから」
「話が早くて助かる。その前に注文しておこうか?」
「そうですね」と言ってメニューを見る。
コーヒーとホットサンドを頼むと少し意外そうな顔をウェイターがしました。
「ふふ、苦労するな。その見た目では」
「ええ、でも助かる事もありますよ。それはあなたにまず理解してもらう事でもありますが」
「なんだ?」と相手が返す前にわたしはスカートを持ち上げて、『中身』を見せます。ぎょっと驚くメルケンにわたしは言います。
「日本の魔法少女にはおむつが必要なんです」
「本当なの?日本の魔法少女はおむつが必要だなんて!」
「理由をお話ししますが、長いですよ?『日本の魔法少女の歴史』ですから」
ーーー
まず、日本の魔法少女は明治時代、『連合王国』の『同盟』によって『魔法』という概念がもたらされた。
それまでは各神社に『隠し巫女』と呼ばれる少女がわずかに『異能』を使えるだけだった。
戦時中。陸軍と海軍は逼迫した前線を挽回するために「魔法」の利用を考えた。しかし、魔法少女を生み出すのは偶然に頼らざるをえないため、見送られた。
それでも基礎研究は行われた。海軍は本土で『魔法少女』を。陸軍は半島で『異能少女』を
そして、戦後。1人の天才が現れる。
それが『長田洋子』。
魔力中毒者の『浄化』を発明。
魔法少女の生存率を向上させた『小隊ドクトリン』
この2点だけでも『天才』。
だが、彼女に試練を与える出来事が発生する。
1985年。日本海での『半島北側の国、異能少女との戦闘』
そこで彼女は敗北した。そこで彼女は『日本』を守るため、1つの計画を立てた。
それが魔法少女『レベルシフト計画』。




