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魔法少女はおむつが必要だなんて聞いてません!  作者: 062
第4章「魔法少女ワールドカップ編」

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第87話「ガスの魔女の毒」

連合王国・シリー諸島沖。

連合王国海軍 旗艦『クイーン・エリザード』特別観覧席。


「ただいま戻りました」


瞬間移動でさくらが戻ってきた。


「さくらちゃん、きちんと送った?」

「はい。大阪まで。私、ニューアークに行った事ないので、大阪の梓さんにお願いしました」


そのやりとりが終わったのを見て、エリザードが口を開く。


「ところで、マリアは先程、ゆりあ女史が来る直前に何を言いかけた?」


マリア=ティモシェンコがなんでもないことのように言う。


「エキスパートで勝ち残ったのは『日本』『欧州の工業国』『連合王国』『ロクライナ』。」


そこでマリアは全員を見渡す。


「でも現状、『さくらちゃんに対抗できそうな選手』がいないって事よ。審判委員長としては、怪我防止のためにも『棄権』しないか?ってお誘いよ」


この場にはその4カ国の引率者が揃っている。それを踏まえてのマリアの発言だった。


「つまり、『戦わず、負けを認めろ』と?」


エリザードの語気が強くなる。あくまで「わかる者には」の範囲であるが。


「そうよ。でも、『それじゃ、面白くない』でしょ?」


悪戯っぽくマリアが笑って言う。

続きを興味深げにエリザードが促す。


「それで?」

「私達は『自由の国』に選手交代を認めた。

ならば、『全ての国』にそれを認めるのよ」


(これは毒だな。ガスの魔女の……)


この中で、ウーチン大統領だけがそれを理解する。


2009年1月、『北の大国』と『ロクライナ』のガス供給交渉。交渉前、そもそもの前提から崩された。欧州を巻き込む『エネルギー危機』として発展させ、気がついた時には遅かった。


先程見た、日本の佐藤ゆりあに通じるものがあった。


「ならば、我が『連合王国』は私が出よう!」


エリザードの言葉に皆がそちらを見る。


「我が国で藤原さくら女史に匹敵できるのは、『私』しかいない」


その言葉を意訳するならば、「藤原さくらは『欧州の3大魔女』と同格」と認める発言である。


「それもそうですわね。『私』も出ましょう」


『鉄の女』ユンゲラ=メルケンの参戦表明。


(これか!『ガスの魔女』の作り出したかった状況は!)


黙って聞いているウーチン大統領は内心で楽しんでいる。所詮は対岸の火事。これほどまでにマリア=ティモシェンコに感謝した事などない。


「それで、どうするのだ?言い出しっぺは?」


エリザードがマリアの方を見ながら言う。


「『女王・エリザード』が出るなら、私が出ても勝てないわ。だから、審判委員長業務に専念するわ。ウチの『若手』にはあなたにぶつかれる『経験』を積ませる事にするわ」


(妙だ。いや、まだ『毒』が隠されている。きっと何かあるはずだ)


誰にも気取られないようウーチン大統領は表情を引き締めた。


「決まりね。では次の対戦カードは……」


 ・『長田洋子の再来』藤原さくらVS『鉄の女』ユンゲラ=メルケン


 ・『魔法の国の女王』エリザード4世VS『ロクライナ期待の新星』N(エヌ)


「……こうなるわね。こんな好カードだし、ビギナー1回戦と同じく、『1ON1(タイマン)』でいいよね?」


『ガスの魔女』は静かに笑った。

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