第83話「ヴィラン」
自由の国、ニューアーク市。ロームフェラビル。
フランク=ロームフェラは決断する。
「これは『ホワイト・ロック』いや、我が『ロームフェラ財団』に対しての宣戦布告に等しい。相手の『空売り』を利用して、利益を得る。市場は資金がある方が強者なのは自明の理である。ただちに実行せよ!」
「了解です。『Winx Club』も支持しています」
その時だった。
「『誰か』の正体が判明したかもしれません。『人民の国』のサーバーをはじめとして、100ヵ国にフリーで使える投資AIが無料でアップされています。その名も『トリクシス』!」
女性部下がその報告で気づく。
「なるほど……はじめからヒーローを倒すための『ヴィラン』として設計されたAIって事ね……」
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東京都千代田区霞ヶ関、文部科学大臣室。
「周首席、お待ちかねの『バーゲンセール』が始まりました。買う時は送付した『トリクシス』というソフトを使ってください。『ホワイト・ロック』の売りに合わせて買えるようになっています。お約束の『あと1000年の繁栄』に必要な企業。存分にお買い求めください」
淡々と『フェイズ3』が始まった。
電話の向こうで『隣の大国』こと『人民の国』の周コンペイ首席が上機嫌に言う。
『ありがとう、佐藤ゆりあ女史。早速、昨年、圧力に負けて売却した『トック・ティック』の売却先、『スモールソフト』でも買おうか!』
「いいですね。我が国は半導体『エム・ぺディア』にしましょうか。熊本の第2工場の建設も止まっていると聞きますし……」
『『コイルモータース』を含む、『Z』社もいいな。我が国の『YBD』と合わせてEV市場を席巻できる!』
「こちらは『ナイル』ですかね。ああ、でも『ネズミー』もいいなぁ〜。いいや!両方買っちゃえ!」
楽しい『お買い物』は続く。
「あ!忘れる前に『ゼネラル・オイル』も。と」
「はは、ゆりあ女史。あちらに対する意趣返しだな!」
「ええ、我々は『ヴィラン』ですから」
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ニューアーク市。ロームフェラビル。
「おかしい……『空売り』しているのに値段が下がらない」
役員が不思議そうに首を傾げる。
「つまり『誰か』が買い支えている?」
「ありえないだろう?こちらの運用額に匹敵する存在などないのだから」
そのやりとりを聞いていた、フランク=ロームフェラは失態に気づく。
「その『誰か』はこの状況を待っていたのだ!我々が『空売り』ポジションを取るのを!」
ロームフェラの優秀な部下はそれで気づく。
自らの絶望的状況に。
「と、いうことは買い戻す(ロスカットする)と『反発』どころか『急騰』する」
「しかも1回サーキットブレーカーが発動済みなので、再度サーキットブレーカーが発動し売買不可能に陥る」
ロームフェラ財団、その中核のホワイト・ロックが佐藤ゆりあの『魔法』にかかった瞬間だった。
そして、その『魔法』を解除する方法は存在しなかった。




