未来の瑠璃と未来の紅哉
『紅くーーーん!やっほー!ちゃんと見てるかなー!?』
「うお!?」
「わ、私!?」
「瑠璃先輩!?」
危なく椅子から転げ落ちるところだった。
先ほどはサラッと見ただけなので、映像を結構飛ばしていたようだ。
『えっと、私の時代の過去?にもやっぱり未来から来た朱音さんがいたんだよねぇ……それで、なんだか私と紅くん死んじゃうって言うからメッセージ残すんだって~。紅くんも納得行ってなかったよ』
「なんだか美人になっているな……」
「未来の私……」
『私からのメッセージは、ただ一つ!紅くん大好き!!えへへ、これアイリちゃんが編集するんだよね?なんだか恥ずかしいなぁ。でも、これ紅くん宛てでしょ?間違っても皆で見るとかないよね?そしたら絶対過去の私公開処刑だよ?これ』
「ならそんなメッセージ残さないでえええ!!」
「飛ばして正解なメッセージだったな……」
「わ、私じゃないのに恥ずかしいよ……」
「なんで豊姫も恥ずかしがっているんだ…」
『まぁこんなところかなぁ~。私が死ぬなんてあり得ないと思うからね。ほら、紅くんが守ってくれるし。でも、もし!もしだよ。もし私が死んじゃったら、豊姫ちゃんに申し訳ないかなぁ………なんでって?そりゃ多分朱音を豊姫ちゃんに預けちゃうことになっちゃうからだよ。紅くんは恐らく私より先に死んじゃうと思う……考えたくないけどね…。それに紅くんは私より豊姫ちゃんを大事にしているから、きっと安全な場所まで逃がすと思う。だから、先に謝っておく!ごめんねって。余り長く喋るのも嫌いだからこれくらいで!過去の紅くんが未来を塗り替えてくれると思っています!じゃあね!』
とびっきりの笑顔を浮かべて未来の瑠璃は席を立った。
「今の瑠璃と余り変わらないな。ホントに…」
「そうだね。ホント瑠璃先輩は自分のことよりも人のことばっかり」
「あはは……そんな意識したことはないんだけど…」
映像が流れて行くと、また舞香が映った。
今度は何だろう?と見ていると、パソコンの画面に選択肢が現れた。
「ん?」
「えっと、これはまだなのかな…?」
「そうですね。まだ私たちには早い映像みたいです」
画面には『バハムート撃破後に見てください』の下に『本当に進みますか?』『はい』と『いいえ』があった。
俺達はまだ見るべきではない。
「まだ早いな。さて、俺の映像はここまでのようだな」
俺はパソコンからディスクを取り出すと、ケースに入れた。
「全く…未来の私はなんてものを……」
「俺達だけでよかったな。これ、あそこにいた全員に見られたらと思うと、明日どんな顔をして会えばいいのか分からなくなるところだった」
「うぅ……私のなくてよかったぁ……」
「ふふっ。案外豊姫ちゃんのDVDに紅くんのメッセージが入っているかもね?」
「や、やめてくださいよぉ…」
「からかうのもそれくらいにしておけって……豊姫顔が真っ赤じゃないか…」
相変わらずその方面の耐性がゼロの豊姫は、湯気が出そうなくらいに真っ赤だ。
「次は私!」
瑠璃はケースからDVDを取り出すと、パソコンへ入れた。
『やァ、これを見ているのは過去の瑠璃でいいのかな』
「俺か………自分が二人いると思うと、かなり複雑な気分なんだが」
「うわ!紅くんおっとな!かっこいい!」
「うわぁ……紅哉くん渋さが出ているね」
残業でもしていたのか、未来の俺は欠伸を噛み殺していた。先ほどの自分のDVDでも仕事をしていた映像があったが、そこまで忙しいのだろうか。
『いま仕事明けでさ、すっごい眠いんだよな。今の時間を教えてやろうか?午前3時だぜ?なんでこんな時間に過去へのメッセージを撮らないといけないんだよ……』
『師匠はいつも忙しいのではありませんか。今度今度と言っていつ撮るんです?ちなみにこれを撮るまで師匠は『今度でいい』と言った回数は8回です』
『あぁ!もう具体的な数字出すなよ!もう諦めるよったく………さて、いざ過去へ送るメッセージと言っても余り思い浮かばんな…………あ!俺達の娘が生まれたんだ。瑠璃は朱音、豊姫は理沙を産んでくれた。本当に俺の子を産んでくれてありがとうって感謝したよ。毎日忙しいけどさ、家に帰ると豊姫と瑠璃が赤ちゃん抱えて待ってくれているんだ。こんなに幸せなことはないって思った』
未来の俺は照れ臭そうに頭を掻きながら娘LOVEな親父面を晒している。
『まぁ未来がどうなっているのか分からないけど、俺は命に代えてでも家族を守ってみせると誓ったんだ。おいおい、なんでお前がそんな顔するんだよ。お前も俺の弟子だ。つまりは家族ってことだぞ?大丈夫、みんな守ってやるさ。ってこんな臭いセリフあんま吐きたくないからここでやめやめ!』
『師匠、まだ尺がありますが?』
『まだあるのか?そうだなァ……ティアと奈々について語ろうか。あいつ大学卒業したらアメリカに行って大統領の警備隊に配属されたんだってよ。元から優秀な奴だったし、あんまり驚かなかったのが事実かな。そしてティアの弟子、奈々だが……あいつは…………グガランナに飲まれた』
「え?飲まれた?」
瑠璃が目をパチパチさせながら未来の紅哉の言葉を舞待った。
『正確に言うと、グガランナの心臓の一部となった、かな。ティアからこの話をされた時は何を言っているんだこいつはって思ったが、これが事実なんだ。時々世界で大嵐が吹くことがあるんだが、これはグガランナのせいだって言われている。この世に生を得た喜びで地上を破壊しているようだ。全くえらい迷惑な子だよ。だから、ティアに連絡して奈々には極力グガランナを使わないよう言ってくれるかな?恐らく飲まれた原因は手綱が切れたせいだ』
「なるほどな。これは伝えないといけない事だ」
「やっぱり危険な魔物なんだね……グガランナって…」
「私とペガサスでもあの大砲は防げないと思います…」
『さて、愚痴を少し言って〆ようか。最近舞香の機嫌が悪いんだ。何故だろうな?生理なわけないし、男の俺には分からん。なァ、癒理はどう思うよ』
『恐らく焦っているのかと』
『焦っている?何に?』
『結婚』
『………え?マジで…?』
『はい、マジです。ほら、ここ最近私たちの周辺で結婚ラッシュじゃないですか。そのせいで焦っているのかと』
『あぁ~なるほどね~。えっと、直人と美波さん結婚しただろ?あと龍一さんとセレナか。確かに身内での結婚ラッシュが凄まじいな。でな、気分が悪いせいか、ここ最近ぬいぐるみのデザインがえぐいのばかりなんだよ。瑠璃は知っているよな?俺の家の財政が舞香がデザインしたぬいぐるみで賄われていること』
「うん。舞香ちゃんがデザインしたぬいぐるみって日本で大ヒットしてるもんね」
『工場の社長さんも思わずドン引きのデザインでさ、この前朱音に見せたら泣いちゃったんだ。それだけ怖いぬいぐるみなんだよ………それに俺に対する八つ当たりが酷いし………俺の癒しはファーヴニル部隊隊長室と自室だけだ……』
「どんだけ狭い思いしてんだよ俺……」
『まぁ……こんな日常がとても楽しいんだけどな。俺達が学生の頃はとにかくドタバタの連続だった。それが大人になってみればぴたっとなくなった。嬉しいような、寂しいような複雑な思いだよ。でも、朱音と理沙の娘二人に豊姫と瑠璃がいる。俺はなんて幸せ者なんだろうな。おっと、またノロケになるところだったな。癒理、もういいだろ?マジで眠いからさ、収録終わりにしようぜ~』
『仕方がないですね。では、カメラ止めますよ』
『おう!じゃあな!瑠璃!』
未来の俺は最後に一度だけ手をカメラに振ると、そこで映像は暗転した。
ええっと、誤字があるのは仕様です(ぉぃ
出来るだけ処理しようと頑張っていますが、何分リアルが忙しい身でして……
でも!更新は出来るだけ早めにしたいと思っていますよ!




