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龍の血を引く者  作者: また太び
9章 未来のメッセージ
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舞香のメッセージ(紅哉)

朱音から渡されたDVDは未来からのメッセージだった。

それは各個人へ宛てられたメッセージであり、これから起きること、やらねばならない事が詳細に示されていた。



その日の夜にアイリよって複製してもらった未来のDVDが皆の手に渡った。

もちろん自分だけに当てられたメッセージのみだ。それは何故か?一言で言うならば恥ずかしいこともあるからだ。


俺、火神崎紅哉は自室で自分のパソコンを立ち上げて再びDVDを見返していた。

DVDをセットしたところで部屋の扉がノックされる。



「ん?どうぞ」



開いた扉の先にいたのは瑠璃と豊姫だった。

もう夜も遅いということで二人は俺の家に泊まっていくことになったのだ。



「紅くんもやっぱりDVD見ようとしていたんだ」


「私たちも見ていい?パソコン家にしかないから…」


「あぁ、いいぞ。それに俺宛てなのは豊姫だしな。ちょこっと瑠璃も入っていたが」



俺は押入れから折り畳み式の椅子を二つ取り出すと、机の隣に置いた。

二人はそれに座り、パソコンの画面がうまく見える位置に椅子を微調整する。



「んじゃ、始めるぞ」


『やっほ~お兄様~!あたしあたし!舞香だよ!』


『…………誰…?』


『ふふ……恐らくこれを見ている昔のお兄様は「誰?」という至ってつまらないコメントをしているでしょう』


『当てられた!?』



3人揃って驚いていると、画面の中の大人びた舞香は腕を組んでニヤニヤと笑っている。



『さてお兄様、このDVDが朱音から渡されたという事は、彼女の正体に薄々気づいているんじゃないかしら』



未来の舞香は感情が完全に戻っていた。しかし、どこかSっ気っぽいのは気のせいだろうか。



『ズバリ彼女は未来人でーす!やっぱり私はハイテンションなのは無理だわ。ああいうのは奏に任せるべきね。話が逸れたわね。簡単に言うと、あの子はお兄様と瑠璃の娘』


「ま、そうだろうな。あのホテルからおかしいとは思っていた」


「そうだね……朱音さんの様子がおかしかったもん」


『パートナーのゲオルギウスは誕生日プレゼント。まぁおかしな話だけれどね。あの子の能力は見たかしら?龍の力を使えるのだけれど』


「なんだそれは?」


「あぁ……あれね…」


「瑠璃はあるのか?」



瑠璃は今日あった朱音との出来事を俺と豊姫に話した。瑠璃の周りに宝玉が現れ、大剣に吸い込まれて行った、と。



『私たちの時代では、お兄様や瑠璃を始めた火神崎家、炎道家、四条家は皆死んだわ。あぁ、彰と奏とアイリと豊姫と直人、凪咲、遊佐、俊介は生きているわ。驚いた?もうお兄様たちがなくなって4年?5年?そのくらい経ちそうね。ごめんなさい、少し曖昧だわ』


「え?紅哉くん、瑠璃先輩はいないの……?」


『今深く言うつもりはないわ。いまはこれから来る龍の襲撃……バハムートの復活に備えなさい』


「やはり王が蘇るか」


「ニルか」



いつの間にか後ろにはニルとヴリトラが同じくパソコンを見ていた。

彼女らの表情は真剣だ。



『これを見ているお兄様の年月はいつかしら?いい?バハムート復活は2055年8月1日午前9時よ。必ずメモっておきなさい。もしかすると過去への干渉が強すぎて未来が変わる可能性もあるかもしれない。だけど、大体この日だと覚えておきなさい。それに過去の私宛てのメッセージもあるから、うまくリンドが応龍に接触することが出来れば、バハムートの具体的な復活日が分かるわ』



そう言うと、舞香は椅子に深く腰掛けた。



『ここからは私の愚痴よ。つまらないかもしれないけれど、まぁこれはお兄様宛てだものね。きっとお兄様なら聞いてくれるはずだわ。お兄様、この世界は随分と錆びてしまったわ。今は余計な心配をかけたくないから余り言わないけれど、ホント生きにくい世界になった。精神的にも、肉体的にもね……。アイリ、確かお兄様たちが生きていた頃の映像あるわよね。あれ、ここで流してくれる?ええ、朱音が小さい頃よ。あぁ、理沙もいたわね。いいわ、流して』


「理沙…?」


「あれ?朱音さんの下の名前って理沙だよね?」



映像が切り替わると、そこには庭で遊ぶ赤髪の少女二人が駆けっこをしていた。



『おとうさーん!』


『あぁ、分かっている。少し待っていろってば』


『「あぁ、懐かしいわね、お兄様。確かこの時のお兄様は仕事の作業が忙しかったけれど、娘と遊びたくて苦悩していた記憶があるわ」』


『ニールー!ヴリトラー!お父さん引っ張って来てー!あとお母さんもー!』


『って言っているぞ?』


『お前に引っ張られたら腕が引きちぎれる。今行くー!』


『んじゃ、アタシは瑠璃を連れてくるわね』


『瑠璃は豊姫と一緒に洗濯物を干していたはずだ。向かいの庭にいるんじゃないのか』


『分かったわ。それじゃ行ってくるわね』


『オレはマスターの仕事が終わるまで朱音を相手しておいてやろう』


『すまないな。てか、お前結構ノリノリだよな』


『ッ!?そ、そんなことはない!』



何とも和むホームビデオだろうか。

どうやら俺の視点らしい。カリカリとペンの走る音は恐らく書類に何かを書いているのだろう。



「朱音さん可愛いなぁ!」


「そうですね!あんなに元気に」


「可愛いわね。ニルはどう思うかしら?」


「ふん、うるさいだけだろう」


「あら?そういう未来のあなたはノリノリみたいよ?」


「ニル、そういうのはツンデレっていうんだぞ」


「うるさい!」


『おとーさん!』


『ぬお!?って理沙か。危ないだろ?いまお父さんは仕事中なんだ。もうすぐ終わるから朱音と待っててくれないか』


『はーい!』



テーブルに置かれたカメラに一人の少女の顔が映った。

綺麗な赤髪だが、少しくせ毛がある。俺はさりげなく隣にいる豊姫を見た。



「に、似ているな……」


「だよね!これ豊姫ちゃんの娘だよ!」


「え?わ、私…?こ、紅哉くんの子供……はうぅ…」


「お、おい!?豊姫が倒れたー!」


「と、豊姫ちゃん!?大丈夫!?」



豊姫は椅子ごと後ろに倒れてしまった。

ヴリトラはやれやれと言った風で、豊姫を抱きかかえると俺のベットまで運んで行った。



『「ねぇお兄様。私達はこんな未来を守りたかったのよ。でも、それは叶わなかった。プレイ時間カンストデータ消滅?違うわ。CDを焼いてプレゼントしようしたけどうまくコピーが出来てなくて数時間がパー?ふふ、違うわね。料理をしたけど全然うまくならなかった。そうね、あれは私には向いてないだけよ。何が言いたいかと言うと、プレイ時間カンストを認めてくれるお兄様。アイドル活動はもうやめたけれど、定期的に歌手のカバーとして歌う瑠璃。料理が下手で失敗する私を何度もめげずに頑張ろう!って言ってくれた豊姫。あんな日常がとても楽しかった」』



映像はまだ楽しそうに駆け回る朱音と理沙とニルが映っている。

そして恐らく未来の俺の近くには、洗濯物を干し終わった瑠璃と豊姫がいることだろう。



『「お兄様たちが描く未来はどうなっているのかしら……出来ればこの時代の私がその目で見たかった。過去の時代の私はなんて良いご身分ね。お兄様に話しかければ必ず振り返って貰える。何かを頼みごとすれば嫌々言うけれど、何だかんだ言ってちゃんと頼みを聞いてくれる。もう私は甘えることも出来ないの………ねぇお兄様、未来を救ってね。私は朱音に全てを教えたわ。もう休んでいいよね?お兄様……」』



映像はそこで途切れた。

最後の舞香の言葉はどこか涙が混じっていた気がした。豊姫も頭が冷えたのか、今の言葉を聞いていたようだ。


明らかになると思われていたカケル君は出ませんでした。まことに申し訳ございません。

もう少し先になると思われますね。

ここから先は少しメッセージが続いていきます。あと、ショートコーナーも挟みます。

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