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龍の血を引く者  作者: また太び
9章 未来のメッセージ
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朱音の真実

「だぁああ!くそ!大会中止かよ!」



その日の夜、紅哉たちは自分の家にいた。

リビングのソファでふんぞり返っている紅哉は、明らかに不満ありありと言った所だ。

アイドルとして呼ばれた瑠璃も大会最終日までいる予定だったので、急に中止となって仕事もオフということだ。

そんな彼女も、自分の家に帰るのもなんだか面倒だから紅哉の家にいる。



「なァセレナ」


「なんでしょうか」


「朱音さん、倒れたんだって?」


「はい。軽い貧血らしいですが、今は自室で休んでいます」


「朱音が倒れるなんて珍しい…………」


「先ほどおかゆを持っていったのですが、入り口にいたゲオルギウスに入室を拒まれましたね」


「なんでさ?」


「さぁ?わたしにはわかりませんが」



瑠璃は何となく朱音という人間の正体が分かってきた気がした。



『まさか……ね……』


『朱音の正体が気になるのか?』


『うん……』


『ならば確かめに行けばよい』


『入り口にはゲオルギウスがいるよ?』


『私とお前の幻術が合わされば騙す事が出来るだろう』


『どうすればいい?』


『私に考えがある』



ゲオルギウスは朱音の様子がおかしいことに気付いていた。



「バハムートの力を使ったからと言ってここまで寝込むほどか……?そこまでヤワな鍛え方はされていないはずだ…」



いま朱音はまるで死んだかのように眠りついていた。

うなされているわけでもなく、ただただ熟睡していた。



「疲労……なのだろうか………確かに最近は何かと力を使っていたからな」



ゲオルギウスは無理やり自分を納得させた。余り考えすぎると悪い方向にしか考えないからである。

そんな彼に突如何かが飛来した。



「ぬッ!?な、なんだこれは!?」



目を開けると、そこには巨大な龍がいたのだ。



「敵襲か!龍殺しの大剣を受けよ!」



実際のところ瑠璃が神龍と協力してゲオルギウスに幻術を見せているのだ。

何もない空間で剣を振るう彼を見ていると、それはそれで面白いのだが、今はとにかく朱音の部屋に潜入する事が大事だ。



「お、お邪魔します……」



そーっと部屋に入ると、そこには女の子らしい部屋があった。

大量のぬいぐるみとリボンだけが違う火神崎家オリジナルのメイド服。

そして机には…………。



「これ………私…?」


『そうだ。これは恐らく未来のお前だ』


「み、未来!?」


「う…うぅ……誰かいるの…?」


「あッ!」


「………お母さん……?じゃない…!瑠璃ちゃん!?どうして私の部屋に!?ゲオルギウスは!?」



朱音は狼狽えていた。見られたくないものがある。それはもちろん今瑠璃が持っている写真だろう。



「か、返して!それは!見ちゃダメだ!」



朱音はベットから降りて、瑠璃の元まで走ってこようとしたが、足をもつらせて転んでしまった。



「朱音さん!大丈夫ですか!?」


「か、身体のエーテルがないの……ここ最近寝ても全然回復しなくて…ゲオルギウスを呼ぶだけで回復した分のエーテルがなくなってしまう………」



朱音は身体を起こし、ヨロヨロとベットへ戻る。

瑠璃は写真立てを机に戻して朱音の傍に立った。



「カケルに連絡がつけば………」


「カケル…?」


「ううん、何でもない。それより瑠璃ちゃんはどうやってここに入ったの?」


「えっと……ゲオルギウスに幻術を使って…」


「…ッ!?え?ゲオルギウスに幻術効いたの!?」


「はい……そりゃもう今も廊下で剣を振っていると思いますが」


「………お母さんの幻術ですら打ち破ったゲオルギウスがまさか………着実に未来が変わっていっている?」


「朱音さん?」


「ああ、ごめん。こっちの話し。今のあたしの状態を言うと、もう歩くこともままならないってところだね。寝て何とかエーテルの維持に努めていることしか出来なくなっちゃった……」


「紅くん達には言わないのですか?」


「そろそろ隠しておくのも限界だよね………分かった。瑠璃ちゃん、そのバックを取ってちょうだい」



瑠璃は朱音に言われた通りバックを取って朱音に渡した。



「このDVD。セレナさんに渡して皆で見てね。豊姫ちゃんも、直人君たちも全員呼んでね。これは君達の未来に関係することだから……あ、佐鳥先生も」


「分かりました。お預かりします」



朱音はそう言うと、目を閉じてまた眠り始めた。

それを見届けた瑠璃は朱音に礼を言って部屋から出て行く。外では未だに剣を振るう騎士がいた。



「セレナさん!」


「あら?どうかしましたか?」


「今すぐ皆を集めてください!緊急事態です!」


「みんな、ですか?」


「はい!四条家も炎道家も全員!」



瑠璃の鬼気迫る顔を見たセレナは、ただ事ではないと感じとり、すぐさま携帯を取りに行った。

次は紅哉達だ。



「紅くん!豊姫ちゃんたち呼んで!」


「ん?なんでだ?」


「いいから早く!」


「なんだかわからないが急ぎの用事っぽいな。分かった。連絡をしてみよう」


「あ!佐鳥先生もね!」


「なんだって!?」


はい、朱音のことがわかってきた話でした。結構ちょくちょくとそういう線は貼ってきたのですが、やっぱりか、と思われると嬉しいです。それで、新しい人物のカケル。彼はどういう人物なのでしょうか?次話明らかになります

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