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龍の血を引く者  作者: また太び
8章 全国魔術師運動大会
71/162

白銀城塞学園BチームVS翡翠魔術育成学校Aチーム

「次は師匠、私たちの番ですね」


「あぁ、気合入れて行くぞ。俺達の試合には白銀のBチームが入っている。エースのAの力を見せてやるぞ」


「はい!あの師匠に宣戦布告した愚かな女に思い知らせてやりましょう」


「や、やりすぎるなよ…?」



紅哉と癒理は拳を軽くぶつけて会場へ足を踏み入れた。



『さぁ!5試合目は翡翠のAチーム!白銀のBチームとの対戦が目が離せない!ご覧ください!この歓声を!日本が誇る龍!さぁ!成長した彼は何を見せてくれるのでしょうか!』


『凄い歓声ですね。東京で行われているという事で、圧倒的に観客が東京民が多いようです』


「紅哉の番ですね。さて、白銀の生徒はどう出るか」


「坊ちゃん頑張れー!!」


「紅哉!負けるんじゃないよ!」


「雅文!カメラの準備は大丈夫ですか!?」


「だ、大丈夫だよ。直海が元気になってから凄いやりずらい…」


「紅くん頑張ってー!!」



セレナ、クロフィード、麗華、直海、雅文、瑠璃は紅哉の姿をその目で捕えていた。



『さて、紅哉選手の弟子は癒理選手となっていますが、彼女はどのような方なのでしょう?』


『彼女は相当近接に優れた魔術師です。紅哉選手と毎朝トレーニングを欠かさず、己の身体を鍛えてきた方ですね』


『それは相当期待できそうですね!』


「お前、ティアのいつも隣にいる―――――」


「紅哉!あなたのせいで最近ティアがおかしいのよ!」


「え!?俺なんかしたか!?」



VR空間に入って準備運動をしていると、隣に白銀の生徒がやってきた。

水色の髪色、髪は短くカチューシャをつけている。

このTHE優等生は去年も何かと紅哉を睨んでいた生徒であり、紅哉は出来るだけ彼女と関わりたくなかった。



「何もしてないのよ!だからこそおかしいの!」


「分かんねェよ!俺は無実だろ!?」


『おっと!?早速白銀城塞の守りの神!相原あいはら 理江りえ選手と紅哉選手が揉めているぞ!?』


『これは何か違うような……』



「あれは……豊姫ちゃんのライバルだね」


「うん……理江のユニコーンはペガサスと同じ能力を持っている………ティアがお兄様で理江が豊姫ってとこ…」



「後で問いただしますからね!」


「だから俺は知らないってば!」


『それではスタートします。よーい!ドン!』


「ウオオオオオアアアアアア!!!」



紅哉は開始と同時にユニゾンして龍の威厳を周りに最大限で散らす。

それだけで理江を除く2人は立ちくらみに襲われ、地面に膝をつく。



「うるさいですね!」


「お前はやりずらいんだよ!退けろ!」


「断固拒否します!ティアと戦わせませんよ!」


「はあ!?あいつ俺に宣戦布告してただろ!」


「知りません!ティアとあなたが戦ったらきっとティアは壊れますから!」


「知った事じゃねェよ!」



紅哉と理江は喧嘩しながら戦闘を繰り広げる。

紅哉に速度を出させないように絶妙なタイミングで邪魔を入れてくる理江には本当に感服する。



『マスター、やはりこいつ出来るな』


『やな子ねぇ……ちょっとアタシにかしなさい』



ニルの意識をヴリトラが塗り替えると、紅哉の影から無数の龍の尾が出てくる。



「な!?なんですかこれは!?」



龍の尾は槍のように理江に襲い掛かり、何本目かで理江は当たってしまった。



『もらったわ!』



そこからヴリトラのドレイン&弱体化の効果が理江を襲う。



「あぐぅ!?か、身体の力が…!」


「はっはっは!ざまァねェぜ!じゃあな!」


『ナイスだヴリトラ!後で飴ちゃんを買ってやろう』


『ホント!?嬉しいわ!』


『おいマスター……』


「はっはっは!そこで寝ていろ!!」



紅哉は龍の尾に捕まっている理江に覇龍圧殺をしかけた。

強力な重力により、理江の足は地面にめり込む。



「こ、紅哉!!あなたって人は!」


「じゃあな!去年の俺とは違うんだよ!はーはっはっはっは!」


『悪役ね』


『そうだな。あの女が可哀想に見えるぞ』



紅哉は4mに達しない程度で飛行して理江との差をつける。

そして癒理はスタート直前まで精神統一をしていた。



『よーい!ドン!』


「リン!」


「あいよ!ゲイボルグウウウウウ!」



癒理とリンが取った行動は驚きのものだった。

リンは霊体化しながらゲイボルグをチャージしており、すぐ隣にいる白銀城塞の弟子の心臓を槍が貫いた。

そして癒理は左側にいる生徒の胸を鉄の槍で確実に仕留める。忍者の末裔だからこそ出来る殺意を隠して獲物で殺す戦法。魔術障壁を出すことも忘れたまま生徒は何が起きたのか分からずリタイヤした。



「リン!ユニゾンを!」



癒理はリタイヤの光に目もくれずすぐさまユニゾンをする。

そして走りながら風のルーンを刻むと、先頭を歩いていた生徒を一気に追い抜かす。



「他愛もないですね」



癒理の攻撃はやまない。癒理はここで全ての生徒をリタイヤするつもりだ。

ある程度距離が離れると、一度立ち止まりゲイボルグを回し始めた。



「リン、今の私達なら2連行けるでしょう」


『あぁ!問題ないぜ!』



槍に禍々しいオーラが溜まり、そして癒理はやってきた生徒へ――――



「ゲイ!ボルグ!!」


「ガアア!?」



胸を貫き心臓を殺す。

そして癒理は舞うようにクルリと回り――――



「2連ゲイボルグ!!」



心臓を貫いて殺したはずだが、癒理は止まらない。リタイヤの光に包まれた相手に対して次は頭を貫いた。

癒理は開始1分も経たずにして3校の生徒を3人葬った。



「行きましょう。師匠が待っています」



今の光景に会場が静まり返っていた。

あの白銀城塞が何もせずやられたのだ。



『…………』



実況席の森山も言葉を失っていた。



『ゲイボルグは流石ですね。まさか開始と同時に英雄だけ召喚して一番厄介な白銀を取りに行くとは』


『こ、これで他の校は師匠だけゴールしてもポイントが半減しますね…』


『紅哉選手の弟子……彼女の技術は相当なものですね』


「流石癒理さんです。彼女なら開始と同時に全員リタイヤさせると思いました」


「なんて残酷な学生だい……セレナ、お前はこんな子も鍛えていたのか」


「ええ、彼女の家は忍者の末裔ですから、暗殺術なら得意です。それも一撃必殺のゲイボルグとは相性がとてもいいので」


「それにしても最後躊躇なく頭を狙ったぞ」


「VR空間だから、という意識なのでしょうね」



クロフィードは癒理の行動に驚いていた。それは直海たちにも言えることで、平気な顔をしているのは麗華、セレナ、彰、遊佐だけだった。



「俺、もう癒理ちゃんに逆らわないっす…」



場所は移り、今の光景を見ていた美波は震えていた。

親友が何の躊躇もなく確実に命を取れる急所を狙ったことに。



「癒理さん……」


「あれくらい普通ですよ~ああしないと癒理さんの英雄の価値を下げますからね~」


「そうだね。クーフーリンと言えば魔槍のゲイボルグ。投げれば確実に心臓を穿つもの。当たって普通なんだよ」


「そういう事ですよ~。身内に使われる事はないのでご安心を~」


「そ、そうだよね……」



「ちょっと!どういう事ですか!?私の弟子が一撃リタイヤ!?」


「癒理のゲイボルグ躱せなかったんだろ!?」



弱体化させられたのにも関わらず紅哉の後ろをついてくる理江に紅哉は驚いていた。



『しつこい娘ね』


『マスター。もうすぐ合流地点だぞ』


『あぁ!弟子の可能性はこれで消えた。ニル、俺、リン、癒理の4人で攻めるぞ』


『くっくっく!面白い!』


『はぁ……お留守番のアタシは暇ね。ずるいわニル』


『我慢しろ。お前は本来いない存在なのだ』



紅哉は遂に合流地点に来ると、癒理も丁度出てきたところだった。



「癒理!4人で攻めるぞ!」


「はい!師匠!ユニゾン解除!」


「うっしゃー!旦那行くぜえええ!」


「グオオオオオオオ!!」


「く!?これが狙いですか!」



紅哉もユニゾンを解除すると、天へ雄叫びを上げるニルが理江の行く手を阻む。



「タコ殴りじゃああああああ!!」


「旦那いい性格してるなああああ!」


「オレも大賛成だああああああ!」


「行きます!お覚悟を!」



ニルがカオスブレスを放つ。これを避けた理江の所へリンが高速の打突を仕掛ける。

更に癒理もそこへ加わり、全方位魔術障壁を展開するしかなくなる。

最後に正面から紅哉が迫る。



「はぁあああ!」



紅哉は理江の元へたどり着く前に地面に足を付ける。

ガリガリガリと地面を削りながら紅哉は姿勢を低くし、右腕をそれより更に低くする。



「リン!」


「あいよ!!」



癒理とリンは紅哉の一撃を最大にするためにお膳立てをする。

まずリンがゲイボルグで障壁を破り、そこへ癒理が足を払って態勢を崩した。



「オラァ!おまけだ!ドラグシールド展開!」



遠くにいるニルが龍の紋様が描かれた球体に理江を閉じ込める。

そこへ紅哉が理江の元へたどり着いた――――



「龍!!砲!」



タン―――――!

彼は放つ、師匠の技を己のものとした一撃を!

紅哉は龍のオーラを纏った手の平を理江の腹部へ突き刺した。

そして次の瞬間――――!!


ゴウウウウウウウウウ―――――!!」

竜巻が理江を貫く。



「馬鹿……な!これじゃ…ティアが紅哉と…!」



それだけ言って理江はリタイヤの光に包まれた。



「よし!後はゴールするだけだな」


「行きましょう。リン、お疲れ様でした」


「あぁ、楽しかったぜ」


「ニルもお疲れだ」


「おう。後でアイスな」



癒理と紅哉は再びユニゾンすると、誰もいなくなったレースを駆けて行った。



「あれはわたしの技をアレンジしたものですね」


「おう、どっかで見たことあるなって思ったらそれだったか」


「ちゃんと師匠出来ているのね、セレナ」


「ええ、紅哉はわたしの自慢の弟子です」



歓声が沸く中でセレナは紅哉の技に満足そうに腕を組んでいた。

クロフィードも紅哉の成長を喜んでおり、麗華も少し涙ぐんでいる。



「紅哉、強くなったのね。私が見ていない間にこんなに…」


「そうだね。僕も紅哉の成長には驚いているよ。こんなに息子が逞しく育っている」


「女の子に容赦ない紅くんもかっこいい!」


「お兄様は戦いになると何も見えなくなる人だから……」


「先輩かっけー!俺もいつかああなるっす!」


「彰!見まして!?あのお兄様の一撃を!」


「うん、素晴らしい一撃だね。紅哉兄さんは日々パワーアップしている」



瑠璃たちも興奮して紅哉の勝利を祝った。



『では、紅哉選手。ティア選手が宣戦布告しておりましたが、どう思われていますか?』


『え~、彼女には前回やられてしまったので、今年は必ず勝ちたいと思います。そして優勝して全国1位は我ら東京だと、彼女には思い知らせてやります!!』


『おおおおおおおお!!!』



1位を勝ち取った紅哉はインタビューを受けて、観客席の瑠璃へ向けてガッツポーズをした。



『次は開始すぐに相手の選手をリタイヤさせるという癒理選手に話を聞きたいと思います。あれは狙ったものでしたか?』


『はい。師匠の負担を出来るだけかけないようにパートナーと考えたものです。これは私の独断で行いました』


『クーフーリンのゲイボルグを躱す事が出来ない生徒が多かったようですが、あれは避けれるものなのですか?』


『運が良ければ避けれるんじゃないですか?』



紅哉が降りて行ったこともあり、癒理はポニーテールを揺らして師匠の後を追って行った。



「師匠、1位でしたね」


「そうだな。初戦にしては良い動きだったぞ、癒理」


「…!ありがとうございます!この栞奈癒理!これからも師匠の期待に応えられるように精進して参ります!」


「余り身体を壊さない程度にな?」


「やってくれましたね」



控室に続く廊下で紅哉は壁に背を預けていた一人の女生徒と出会った。



「癒理、先に行っていろ。このお方は俺に話があるそうだ」


「はい。お気を付けて」


「何もないってば…」



視線で人を殺せそうな冷たい視線を一度だけティアにぶつけると、癒理は去って行く。



「んで、白銀のエースさんは俺に何のようだ?」


「あ、あなたがうちの理江をコテンパにしたから何か言おうと思ってたのよ!」


「いや、俺達敵だし……」



いきなり慌て始めたティアに紅哉はどうすればいいのか分からなくなる。



「い、いいこと?私はあなたをコテンパにして二度と私に逆らえないようにしてあげます!」


「え?俺って逆らったか?というか敵として普通じゃないか?だって、俺達って世間から見ればライバルなんだろ?」


「あ……う…」


「ん…?大丈夫か?」


「だ、大丈夫です!そ、それよりあなたは選手専用のホテルに泊まっているそうですね」


「そうだな。お前もそうだろ?」


「ええ、私たちも大阪が貸し切ったホテルに泊まっています」


「で?」


「で?とは」


「いや、な?だって翡翠と白銀は別のホテルだろ?会えないじゃん」


「だ、誰があなたと会おうなどと!べ、別に今夜の祭りを一緒に回ろうとか思っていませんから!」


「祭り行きたいのか?まぁ俺もホテルにいるだけだし、暇って言えば暇だしな」


「ほ、ホント!?はっ!?あ、あなたがどうしても私と回りたいのなら仕方なく行ってあげてもいいですよ?」


「別に頼んではいないが……」



喜んだり怒ったり大変な奴だな~程度にしか思っていない紅哉にティアはどうして察してくれない!というジェスチャーをする。



「い・い・か・ら!私と一緒に祭りを回りなさい!これは決定事項です!では!」


「忙しい奴だな~」



これがデートのお誘いだという事を全く理解していない紅哉は頭を掻きながら控室に戻った。


癒理のチートさが分かった回でしたね(客観的思考)

凄いですね、開会式から少ししか経っていないのにもう3つ目の投稿です。正直どれだけ伸びるか私自身わかっていないのですが、書けるところまで書こうと思っています。今回の第8章は書いていて一番楽しいですからね、もっとキャラが生きるように頑張ります。

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