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龍の血を引く者  作者: また太び
8章 全国魔術師運動大会
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宣戦布告

『えー!本日の実況はわたくし、佐藤森山です!そしてなんというVIPゲスト!さぁ!ご登場ください!』


『みなさん!こんにちはー!メディアに滅多にでない刀條玲奈です!』


『えええええええええ!?!?!!』



それは驚く。日本最強の魔術師が実況席に巫女服で座っているのだ。

大統領お二人にアメリカ最強の魔術師。そして日本最強の魔術師がこのアリーナにいるのだ。誰もが驚く。



『刀條さん。あなたは翡翠学園出身ということで以前に白銀城塞学園と戦った時がありますよね?』


『はい。この学校は本当に要塞崩しがうまく、守りが素晴らしい学校で有名ですね。私の頃も相当苦戦させられた思い出があります。そしてそれがこのレースにどのように使われるか。楽しみで仕方がありませんね』


『はい!白銀学園のコメントをいただきました!さて、これから学校紹介に入りますが、優勝候補として名が挙がっているのは、やはりいつもの5校が在籍する県ですね』


『そうですね。北海道の北栄、宮城のエリナール、東京の翡翠、大阪の白銀、沖縄のケセラルトの5校が在籍する県が優勝候補となっている感じですね~』


『一番の見ものと言えば、翡翠学園と白銀学園因縁の対決でしょうか。過去の記録を参照しますと、この2校は戦績の勝率が5割というライバル校として有名ですね』


『去年は白銀が勝っていますから、もし今年も白銀が勝つと歴史が覆されますね』


『おお…!歴史が覆されるか!それともやっぱり翡翠が勝利し!勝率を保つか!目が離せない対決になりますね!』


『しかし、森山さん。今年は総合チームなので、東京チームと大阪チームとなるのでしょう。白銀だけのチームではなく、白銀の弱点を補うようなチーム構成にきっとなっているでしょうね』


『そうですね。今年は県内でチーム編成が可能という前例がない新しいものとなっています!もちろん北栄もエリナールもケセラルトも新しいチーム構成が生み出され、先が読めない展開になりそうです』



熱い司会が続く。

舞香の隣に国家斉唱を歌い終えた瑠璃と直人たちがやってきた。



「玲奈ちゃん。紅哉くんが出るから今年の司会引き受けたんだって」


「やっぱり………」


「白銀の生徒はあの子だね……やっぱり選ばれたか」


「うん……黒河ティアは白銀が誇る突撃隊長だから……」


「あれが紅哉先輩が負けたっていう生徒っすか」



準備運動をしているティアをカメラがとらえる。

すると、応援に来ているのであろう白銀の生徒がみな一斉にティアを応援する。


VR空間なので声は届かないが、カメラがこちらを見たことが分かり、手を軽く振る。



「紅くんにやたら突っかかる子だから私嫌いなんだよね」


「瑠璃……あれはツンデレ…」


「え………なら、紅くんもうフラグ立ててる?」


「いえす…」


「さっすが紅くんだな~」



瑠璃は遠い目をしている。



「彰!もうすぐスタートですわよ!」


「分かっているよ…」



『よーい!スタート!』



パァン!という音と共に生徒達がスタートした。



「あれは!?私と同じ幻術!?」



ティアの弟子、奈々はスタートと同時に黒い霧を周りへ発生させた。



「ご、ごめんなさい!」



謝りながら奈々はスタートする。霧が晴れると、そこには目を回している生徒達があっち行ったりこっち行ったりとしている。



「なるほど、瑠璃の戦法はこういう風に使われたか…」



控室にいる紅哉は今の状況を冷静に分析する。



「でも、私たちには効かないね。瑠璃先輩ほど強力じゃなさそうだし、あれなら無効化出来るよ」


「だな。瑠璃の幻術に慣れた俺達にとってあれくらいどうという事はない」



そしてモニターへ戻る。

スタート同時にティアを潰そうとする生徒は多かった。



「死ねぇ!黒河ティア!」


「はぁ……話にならない」



パートナーと連携で攻撃を仕掛けてきた生徒に対してティアはため息をついた。

高速で走りながらティアは後ろを向くと、右腕を横に払った。


その瞬間森がごっそりなくなった。

まるで巨大な爪で引き裂かれたかのような一撃に後ろを走りながらティアを攻撃していた生徒は一撃でリタイヤとなった。



「あなた如きが私に楯突くのが愚かしいのです」



ティアはそれだけ言うと、先を急いだ。遅くて鈍い弟子を迎えに……―――



「やっぱり……あの一撃は健在か………」


「紅哉……あの一撃に有効打はあるのか…?」



去年の事を知っている俊介は紅哉を心配する。



「サタンの攻撃は極力受けない事にする。それに今回はちょっと大丈夫な気がするから、心配するな」


「そうか。お前がそう言うなら大丈夫だな」



ティアのパートナーはSランク級魔物、魔王サタンだ。

攻撃とエーテル保有量はトップクラスの強さを持ち、力だけならニルが勝るが、長期戦となるとニルが厳しい。

このレースは前哨戦だが、それでも相手のパワーアップした力を見て紅哉は戦慄を覚えた。



『圧倒的な力を持っていますね。流石白銀城塞のエースと言った所でしょうか。玲奈さん、ティア選手のパートナーは何なのでしょうか?』


『あれは魔王サタンです。今のはサタンの一撃というもので、時間が経てばたつほど威力が上がる強力な必殺技です』


『魔王サタン……Sランクに相応しい力を持っていますね…』


「あれに紅くんはやられたんだよ……」



観客席で実況を聞きながら瑠璃はその時を思い出して歯をギリと悔しそうに噛む。



「おいおい、あれは相当やばいんじゃないのか?坊ちゃんでもきついぞ」


「そうですね。サタンは強力です。ですが、あれは闇属性。ヴリトラを使えば勝機があるかもしれません」


「なるほどな。ヴリトラの防御力ならば受け切れるだろうって事か」



セレナはティアと奈々の独占になっているレースを静かに見ていた。



「待ちなさい!」


「邪魔です!」



後ろから火球が飛んでくるのが鬱陶しくなったティアは両腕を振るった。

やはり、次は左右同時に紫色の爪が森を一閃し、Aランク魔術師の生徒はなすすべもなくリタイヤしていく。


それからというもの、もはや白銀に敵う生徒などいなかった。先を走る奈々をティアは守りながら進む。

全ての攻撃をティアは腕を振るうだけで無効化する。



『ゴール!1位はティア選手!奈々選手です!』



勝負にならなかった試合にティアつまらなそうに歩いて行き、奈々はそれを追って二人ともVR空間から出て行く。

VR空間を出ると、1位になったインタビューを申し込まれ、ティアは堂々とマイクを取った。



『何かコメントをください』


『では、一言だけ。火神崎紅哉!今年もあなたを倒して日本一が誰だか教えてあげます!首を洗って待っていなさい!以上です』


『おおおおおおお!!ティア様最高おおおおおおお!!』



という白銀の男子生徒の声を背に受けながらティアは控室へ帰って行く。

奈々はマイクを渡されるが、勝手に行ってしまったティアをオロオロと見ており、何も言わずマイクを返してティアを追った。

その後に、続々と弟子だけの者や、師匠だけの生徒がゴールし、本来貰えるはずのポイントの半分がチームに入る。



「ティアめ、言ってくれるな。これじゃますます負けられない」


「今年は勝とうね。私も負けられない」


「私も負けられない一戦だという事は分かりました!」


「あの紅哉先輩に楯突いた雌豚を凪咲が叩きのめします~」


「師匠と並ぶなど愚かしい。師匠の手を煩わせるまでもないですね」



豊姫と美波は純粋に勝とうと思っているが、どうも凪咲と癒理は黒い。

俊介も凪咲の言葉に引いている。


そして1試合目が終わり、2試合目に聖ケセラルト学園の登場となる。



『玲奈さん、聖ケセラルト学園とはどんな学校なんですかね?』


『ケセラルトは安定した戦いを見せる学校ですね。攻撃に偏りすぎず、守りに偏りすぎずのバランスの取れた学校です。この競技はレースですから、その片鱗が少しだけ見られるのではないでしょうか。あとここは宗教活動も積極的に行っているそうです。キリスト教に属する学校であり、信仰はとても凄いそうです』


『なるほど。だから、聖ケセラルトの沖縄チームは胸に十字架のネックレスを下げているのですね』


『白銀の大阪もエンブレムに盾の紋章が入っていましたから、なんだか今年は各優勝校が率いる総合チームみたいですね』


『そのようですね。では、各優勝校のエンブレムを見て行きましょう。北海道の北栄と言えば氷系統魔術が特化された学校。やはりエンブレムには氷の結晶が入っています。次は宮城チームのエリナールですね。エリナールは雷の紋様となっておりますが、これは?』


『エリナールのエース。タテミカヅチのマスターがモチーフになっているのではないでしょうか。彼の雷撃を現した良いデザインのエンブレムですね』


『なるほど、彼も今年で2年生という事ですから、もちろん参加しておりますよね。彼の戦い方が気になります』


『次は私から。東京チームの翡翠学園はやはり龍ですね。火神崎紅哉選手の学校には世界で2体しか存在しない希少な龍がいることで有名ですから、このようなエンブレムになったのでしょう。とてもかっこいいデザインですね』


「あ、紅くんの学校だから自分で読みたかったんだ。それに微妙に感情籠ってるし」


『しかし、火神崎選手の妹である舞香選手は出場できないということですね?』


『はい。彼女は最年少ながら封印指定魔術師なので、出場は出来ないということですね。恐らく兄の隣で戦いたかったでしょうが、出られなくて残念そうにしていますね』


「うん……とっても残念…」


「舞香ちゃん、私もすっごい残念だよ…」


「瑠璃…仲間……」



瑠璃は舞香を抱きしめる。そう、瑠璃もあと1年遅く生まれていたのなら紅哉と肩を並べてたのだ。

舞香も封印指定という肩書がなければ兄の隣で戦えた。

とても悔しいというのが二人の心境だった。


始まりました高校生が激突する魔術大会!

最初の種目だけで結構な文字数をとっていますが、みなさんどうかお付き合いください。

これから章仁たちも絡ませていくので、楽しい大会にできればな~と思っております。

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