全国魔術師運動大会の開会式
バン!バンバン!!
祭りに相応しい花火の音ともに全国魔術師運動大会は始まった。
東京の街は交通機関が全てバス、電車、新幹線、飛行機しか動いておらず、観光客はみなワイワイ騒ぎながら道をゆく。
通路には全国から集まったB級グルメの屋台や、くじ引き、射的など遊びが盛りだくさんの屋台が出ており、東京はかつてないほど賑わっていた。
そして紅哉たち選抜メンバーは今年出来たばかりの超巨大国立魔術師育成アリーナの待機室にいた。
相変わらず会話などないが、みなやる気に満ちている。
既に会場は満員ということで、入場できなかった人のためにもアリーナ周辺に巨大モニターが設置され、そこで応援も可能ということだ。
「舞香たちは無事入れたか……」
「紅哉兄さん、雅文さん達も無事入場出来たって」
「そっか。やっぱり来たか」
「お兄様、一日目は全て師弟タッグペアレースで終了ですわ。わたくし達は出ませんけれど、応援しておりますわ」
「ありがとう。俺頑張るよ」
「彰、今の言葉聞きまして?お兄様がわたくしにありがとう、と…」
「あぁ、聞いたよ。兄さん、そういえば国家斉唱は瑠璃さんが歌うって知ってるかい?」
「そうらしいな。ホント凄いとしか言えない。確か、これを見にアメリカの大統領と日本の大統領が来るんだろ?日本の国家斉唱を歌うなんて凄いぞ」
「一応アメリカ最強の魔術師も来るよ。その護衛としてね」
「マジかよ……下手なこと出来ないな…」
「東京チーム!そろそろ時間です!準備してください!」
紅哉たちはこの日のために作られたエンブレムと制服を着て開会式に臨んだ。
盛大なオーケストラと共に各県の代表生徒たちが行進していく。
『次は、東京代表チームの登場です。みなさん、盛大な拍手でお迎えください』
アナウンスが終わった瞬間に紅哉たちはゲートから行進しだした。
花火、オーケストラ、歓声、空を飛ぶ飛行機などの音が一斉に紅哉たちの耳に入る。
紅哉たちは周りに手を振りながら行進して行き、所定された位置へ止まる。
「雅文!紅哉ですよ!ちゃんと撮りましたか!?」
「撮ったよ。それにしても直海、ちょっとはしゃぎすぎじゃないかな?」
「何を言っているのですか!去年は寝たきりで来れなかったのですよ!?」
「直海、落ち着いて…」
移るは観客席。そこには炎道家と四条家と火神崎家が勢ぞろいしていた。
龍の秘薬によって元気になった直海はこうして麗華たちと一緒に紅哉の晴れ舞台を見ている。
「いやー!坊ちゃんも立派になったもんだ!」
「わたしが育てましたからね。当然です」
「セレナドヤ顔……」
「うっはー!このポップコーンうまいね!」
「朱音さん…ここでもメイド服なのですか……」
出来たての塩ポップコーンを馬鹿食いしている朱音をやや引き気味の龍一。
炎道家と火神崎家のメイドたちも来ており、ジャンケンで負けたメイドが少しだけ家に残るという激しいジャンケン大会があったことは誰も知らない。
「ねぇお母さん!あとでチョコバナナ買ってね!アイリ食べたい!」
「はいはい。今は我慢しようね。瑠璃さんの国家斉唱が始まりますよ」
式台ではアメリカの大統領と日本の大統領が挨拶を終えた所で、これから瑠璃による国家斉唱の番だった。
『次は国家斉唱となります。歌ってくださるのは芸能界で歌手活動をしながら、翡翠魔術育成学校に通い、今年で3年生になる須野原瑠璃さんです』
拍手とオタク達による『瑠璃ちゃーーーん!!』という声が聞こえる。
翡翠の制服を着た瑠璃が式台に上がると、声は止む。
静かに礼をすると、ピアノオンリーの君が代が始まる。
それは普段の瑠璃とはまた違った心に響くような歌声だった。
無事何もトラブルがなく終了すると、瑠璃は何か一言あるようだ。
『日本の国家斉唱を歌わせてもらいました須野原瑠璃です。今日は皆さんが日頃から学び、鍛えてきた魔術を披露する日です。私も1年生、2年生と選抜メンバーとして出させてもらい、奮闘した思い出があります。負けて悔しかったとか、勝って嬉しかったとか、いろいろな感情が生まれる場でもありますから、どうか、悔いが残らないように皆さん頑張ってください。以上です!』
瑠璃には登場した時の盛大な拍手とは違って、今回は温かな拍手だった。
『ありがとうございました。次は本日の競技について説明させてもらいます。皆さん、お手元の資料をご覧になってください。では、本日の競技は―――』
「雅文、カメラに収めましたか?」
「もちろんだよ。瑠璃さんは紅哉のお嫁さんだからね。未来の僕と直海の娘ということでもある。収めないはずがない」
「セレナお姉ちゃん。今日は何やるの?」
「アイリ、貰わなかったのですか?」
「うん。邪魔になるだけだと思って」
「仕方ないですね。今日は師弟タッグペアレースですよ。紅哉と癒理さん、豊姫さんと美波さん、俊介さんと凪咲さんが出る競技です」
「面白そうだね!でも、紅哉くんと癒理ちゃんなら1位かな?」
「さぁ…それはどうでしょうかね」
「やっぱ祭りっていいねぇ。あたしも競技に参加してないけどテンション上がってきたよ」
朱音は歩きながらジュースを販売している女性を呼び止めて炭酸ジュースを買う。
「朱音さん…それだけでお腹がいっぱいになるのでは…」
「はっはっは!龍一さん甘いね!あたしの胃袋はそんなちゃっちいもんじゃないでい!」
そして競技へ移って行く。
「舞香、優勝候補はどこなんだい?」
「全国で5本の指に入るのは………まず東京の翡翠…次に北海道の北栄学園……次は宮城のエリナール学園……あと、大阪の白銀城塞学園……最後に沖縄の聖ケセラルト学園…の5校……」
雅文の質問に舞香は淡々と答える。
「一番翡翠の敵になるのは白銀城塞……ここは本当に要塞崩しが強い…去年もお兄様と瑠璃はここに負けた……」
「本当かい!?」
「ええ、伊達に学校名に城塞が入っているだけあります。防御を固めるのが得意な学校でして、紅哉と瑠璃さんはこの防御壁を破れず負けました」
「坊ちゃんの成長が気になる所だな。エヴォルトは使えないんだろ?」
「うん……この大勢の前でエヴォルトはダメ………お兄様も使わないって言ってた…」
「紅哉君。ヴリトラは影でちょこっと使うみたいだけどね~」
「ヴリトラは安心ですよ。影からでも攻撃は可能ですから」
「麗華、確か奏と彰も出るわよね?」
「そうよ。紅哉のアシストをするつもりだそうよ」
「魔神もいます。今年は去年と違う所を見せて欲しいところですね」
セレナは期待を込めた眼差しで紅哉たちを見ていた。
「1戦目は白銀が出るみたいだな。みんな、しっかり見ておけよ」
「うん。このレースも相手の力量を知る機会だからね」
俺、火神崎紅哉は先ほどいた会議室で巨大なモニター越しに相手のレースを見ていた。
直人、遊佐、奏、彰は退出しており、今日はもうお役御免だ。
恐らく舞香が取っていた観客席に行っている事だろう。
「全員Aランク魔術師だな。豊姫、白銀にSランク魔術師が入ったという情報はあるか?」
「あるよ………2年生に3人……1年生に2人………これはやばいかも」
「マジか……!こっちに3人しかいないのに…」
「フルにSランク魔術師を取ってきましたね。師匠、もし突破出来ないのなら、私のゲイボルグを使います」
「あぁ、お前の事は頼りにしているぞ」
「紅哉先輩~凪咲のイフリートを舐めないでくださいね~」
「分かっているさ。お前の強さは既に見たぞ」
頼もしい後輩に俺は拳を握りしめた。
そしてVR空間に8人の生徒が現れる。師匠と弟子を合わせて8人ということであり、本当は4人対戦ということだ。
白銀の生徒はすぐに分かった。エンブレムにかっこよく『白銀』と書かれていたからだ。
「あいつ……去年の…!」
「あの子やっぱり選ばれたんだ……」
白銀の生徒。美人だが、目つきが鋭く、気が強そうに思える。
金髪は長く片方だけリボンで結んでまとめている。
背は平均的、胸はまぁ大きいと言えるな。実際白銀でも人気がある女生徒らしい。
そんな白銀の生徒の背後にいるのは対照的に気が弱そうな女生徒だ。
薄い紫の髪は短く、ウサギの髪留めが目を引く。だが、俺は思う。この白銀の生徒より弟子の方が危険だと。
「豊姫、名前は?」
「北上 奈々(なな)。弟子の方だよね?」
「あぁ。あと師匠の方も」
「黒河 ティア。白銀城塞学園の2年生。学園のアイドルらしいよ」
「はぁ…?まぁあいつに去年負けたわけだし、今年はリベンジと行こう」
レース第一戦目。白銀城塞学園の黒河ティアとその弟子、北上奈々の力量を俺たちは拝見するとした。
新しいキャラの登場ですね。ティアさんと奈々さんです。
白銀城塞学園……なんだか鉄壁なイメージが凄いですね、考えておいて……去年瑠璃と紅哉はこの学校に敗北しましたということで、リベンジです。
結構この8章は長くなるような?気がします?かな?まぁ私の執筆しだいですが、今指が乗っているので書けるとこまで書いていきたいと思います。




