表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍の血を引く者  作者: また太び
8章 全国魔術師運動大会
66/162

顔合わせ

日曜日。紅哉たち要塞崩しの東京メンバーが本番で使われる競技場に集められた。


翡翠学園のエンブレムを付けて紅哉達は会議室に入ると、そこは厳粛な空気に包まれていた。

それもそうだ。互いの手など見せるはずもない相手が集まるとこうなるに決まっている。

同じ味方とは言え、個人種目などでは敵なのだ。

要塞崩しで総合的に県の評価され、個人種目で県の中の学校が評価される。


紅哉、豊姫、遊佐、癒理、美波、直人、凪咲は空いている後ろの椅子に座る。



「おい……あれが翡翠の龍人だぞ……」


「あぁ……あっちは天馬使いだ…」



紅哉と豊姫のひそひそ話が会議室を満たし始める。



「先輩たちは有名なんですね……」


「瑠璃の時よりはマシだ」


「瑠璃先輩の時はもうサインしてくださいって感じだったからね…」



紅哉は眠いのか欠伸をし、豊姫は照れながらも美波の言葉に答える。

癒理は長い黒髪のポニーテールを揺らしながらかっくりと寝ており、直人はがちがちに震えている。

凪咲はこんな場所なのにバックから携帯ゲームを取り出してテーブルで隠しながらプレイする。

遊佐は端末で何かを調べており、気になって豊姫は少しだけ見てみると………


『今日の電化製品の特売!!!!!』


そっと視線を戻した。



「うわ……マジかよ……」


「紅哉くんどうしたの?」



紅哉が見ている先には銀髪の女の子が笑顔で手を振っていた。その隣には美形の男の子も手を振っている。



「知り合い?」


「義理の弟と妹だ…」


「紅哉くんに弟さんと妹さんいたんだ。凄い笑顔で手を振っているけど」


「無視しているから気にするな」


「みんな集まっているな。これから要塞崩しについて説明する」



時間ピッタリに会議室に入って来たのは翡翠の教師だった。



「去年と同じようなメンバーなわけだが、一応説明しておくぞ」



そこから要塞崩しのルールがもう一度言われる。

学生の魔術師にとって要塞崩しのルールなど知っていて当然なので、これは確認のための説明だ。

選抜で選ばれてルールを間違って失格など、あってはならない。

これは学校だけでなく、全国なのだ。一人だけ笑い者になるのならまだしも、その学校自体非難されたら目も当てられない。

だからこそ、もう一度改めて確認するのだ。



「以上だ。2年生はもう大会の空気を知っていると思うが、1年生は飲まれると思う。2年生の諸君はしっかり1年生をフォローするんだぞ」


『はい!』



大会の雰囲気はもの凄く重い。学校の看板を背負った生徒と死闘を繰り広げるわけだから、いつの間にか歩けなくなるほど精神が来ていたりする。

紅哉はチラリと左側で寝ている癒理を見た。



『ないな。こいつは大会の雰囲気にのまれることなんてないな』



一瞬で考えを訂正した。

そして美波たちを見ると、美波と直人は既に緊張していた。凪咲は先生が前にいるというのに下を向いてゲームをしているのだが、何だろう、この1年生の差は。



「では、これから先生たちで考えた今年の東京チームのエンブレムをくばる。これは君達にしか付けられない貴重なものなんだぞ?」



渡されたエンブレムは赤く、真ん中に『東』と書いてあるが、その東のバックにはどう見てもドラゴンが描かれている。


他の選抜メンバーがじろりと紅哉を見た。

それに紅哉は思わず目を逸らす。


いやだって、俺知らないし。


というアピールを込めた逸らしだった。



「さぁ!休日集まって貰ってすまなかったね。もう今日は解散でよろしい!」



ゾロゾロと選抜メンバーが出て行く中で、みんな退出際に紅哉を一度だけ見て行く。

それを紅哉は外の景色を見てやり過ごす。



「かっこいいエンブレムっすね。これ紅哉先輩の龍っぽいっす」


「ですね~翡翠のチームって感じがバリバリします~」


「恐らくそれが目的でしょう。これは翡翠のチームだぞ、だから国は私達に金を寄越せ、と」



今まで口を開かった遊佐が端末から目を話して会話に混ざって来た。



「よく通ったと思うよ。だって龍は翡翠だけのものだもん。これ、他の学校からすれば私たちはつきものみたいに見えるよ」


「でも、龍の圧力は大きいですね。去年荒れに荒れまくった要塞崩しにまた紅哉さんが入るのですから」


「去年知っている人なら分かると思うな~」


「どんな感じだったんです~?」


「紅哉くんが暴れた、かな?」


「ええ、一人で相手の生徒を40人中32人屠りましたからね」


「屠ってねェよ!リタイヤさせたんだよ!」



そこだけは訂正しておく。何故なら、否定しなかったらどこかの狂龍に思わるかもしれないから。



「うわ~見てみたかったです~。先輩激しいんですね…」


「凪咲、その言い方は誤解を招くからやめようね」


「先輩の逞しい剛腕のテクニックでみんなやられちゃったんですね~」


「だからやめろってば!もう、帰るぞ…」



誰もいなくなった事を確認して紅哉は席を立ちあがる。

豊姫たちもそれに続いて競技場の会議室を出た。



「お兄様――――!!」


「ぐへぇ!?」



会議室を出ると、紅哉の腹に何かが突撃してきた。

余りの不意打ちに腹筋を固める余裕もなく、紅哉は直撃を喰らった。



「お兄様お久しぶりでございます!奏ですわ!覚えていますか!?」


「あぁあぁ………うぅ……」


「お兄様!?お兄様!?しっかりしてくださいまし!あ、彰あああ!お兄様が!」


「落ち着いて奏。紅哉兄さんは少しダメージを負っているだけだよ」


「誰がそんなことを!?許しませんわ!」


「それは奏なんだけどね……って聞いてないや…」



シャドーボクシングを始めた奏に豊姫たちは面食らっていた。

癒理だけは知っているので、特に驚いていない。



「おや、これは兄さんの友人ですね。僕は炎道彰。炎道家時期当主です。お見知りおきを」


「あ、はい。よろしくおねがいします」


「この前ぶりですね。癒理さん」


「そうですね。あの時はお世話になりました」


「直海さんの癌が治って良かったです」


「一時はどうなるかと思いましたからね。あんなに焦った師匠は初めて見ました」



彰と癒理は気が合うのか、ごく自然に会話をしている。それが余りにも不自然で、美波は驚いていた。



「あら?あなた方はお兄様の……これは失礼しましたわ。わたくし、炎道奏と申しますわ。お兄様の義理の妹、という位置付けですわね。義理なのですから、結婚もありという事をお忘れなく」



シャドーボクシングをやめた奏は何とも反応に困る自己紹介をした。

豊姫は紅哉の彼女という事であり、何とも言えない顔をする。

美波は少し疑問に思った事があった。



「あれ、でも紅哉先輩って火神崎ですよね?」


「ええ、そうですわ」


「でも、奏さんは炎道ですよね?」


「間違っておりませんわね」


「え?」


「は?」


「苗字違くないですか?」


「わたくしの家とお兄様の家は大変複雑でしてよ?」


「す、すみません……興味本位で聞くものではないですね」



豊姫は紅哉の家庭の事情を知らない。今度話すと言ったが、いつ話してくれるのだろうか。

この前も直海さんという紅哉の母親の退院祝いに行った。しかし、あの人達がどういう人なのかは分からない。

瑠璃はこの事を知っているのだろうか。豊姫はそれを考えたらチクリと胸が痛んだ。



「では、お兄様。わたくし達もやる事があるので物凄く心惜しいですが、さようならですわ」



奏は倒れて白目を向いている紅哉に近づく。



『あっ!』



奏はごく当たり前のように頬へキスをしていった。

王族のお姫様にとってこれは普通のことなのだろう。声を上げた豊姫たちに『何故ですの?』という顔を向けてから競技場を出て行った。



「あ~奏は外国の子で、これが挨拶みたいなものだから気にしないでね。それじゃ、僕も行かないと。癒理さん、また今度」


「ええ、今度は模擬試合しましょう」



奏の行った行為の説明をぱぱっとして方向音痴の奏を彰は追った。



「ほら、紅哉くん起きて~!」


「では、凪咲が目覚めのキッスをします~」


「早まるなっす!瑠璃先輩に殺されるっすよ!」



結局男の直人が紅哉を起こして事なきことを得た。

奏と彰は挨拶に来ただけなのだが、紅哉が気絶してしまったため、滅茶苦茶になってしまった。


豊姫と紅哉が付き合っていることを知っているのは、渡辺、瑠璃だけですね。紅哉が歩む道は既にいばら道ですが、彼に未来はあるのでしょうか!

そこは私の腕しだいですね。さて、次はどんな話になるか……ご期待ください!っていうほど読者がいるような、いないような……いえ!めげませんよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ