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龍の血を引く者  作者: また太び
7章 第二の神の遺産
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幸せな一枚

「セレナ!セレナはいるか!」


「はい?どうかしましたか?紅哉」



朝起きるなり紅哉はリビングで新聞を見ていたセレナに詰め寄った。



「車を出してくれ!大至急だ!」


「分かりましたが、どこへ?」


「直海の病院だ!」



セレナは紅哉の意図が分からないなりにも新聞を畳んで車を出しに行った。

そして瑠璃と舞香も起きてくる。



「病院に行くぞ!」


「うん!」


「分かった……」


「龍一さん!後で構わないから直海の病院に来てくれ!朱音さんも!あとアイリを起こせ!」


「はい?分かりました」


「どうかしたのかな?紅哉君」


「さ、さぁ?」



紅哉達が外へ出て行ってからホースを持ちながら庭からリビングへひょっこり顔を出した朱音が龍一に問う。

龍一は洗濯物が入ったカゴを持ちながら首をひねっていた。


病院に着くと、紅哉の3人は飛び出した。面会用のカードを貰い、早歩きで直海の病室へ入る。中には既に悲しみに暮れている四条家と雅文の姿があった。

幸運な事に直海は身体を起こしており、やつれながらも紅哉達を笑顔で歓迎した。



「直海、これを飲んでくれ」


「どうかしたのですか?この赤い小瓶は?」


「ニル達の里に伝わる秘薬だ。龍神の血とホープフラワーっていう野草を組み合わせて作られたもんだ。飲めば万病が治るっていう」


「お母さん……飲んで…」



ふざけている訳ではない紅哉の真剣な眼差しに直海は小瓶を開けて飲んだ。



「うっ……!」


「直海!?」



飲んだ瞬間直海の身体から赤いオーラが立ち上る。

雅文は思わず直海の身体を支えようとするが、直海は手で制した。

しばらくすると、赤いオーラは収まり、直海は息を吐いた。



「何でしょうか……身体がとっても軽い気がします」


「ほ、ホントか!?だ、旦那これは!」


「分かった!すぐ医師を呼んでくる!」


「直海!?平気なのかしら!?」


「麗華、あなたらしくないわよ?」



クロフィードは信じられないような目を雅文に向けると、病院のルールを無視して雅文は走って病室を出て行った。



「紅哉、あなたはこれをどうやって…?」


「神の遺産を使った」


「では、舞香の感情は…」



そこで直海は少し俯いてしまうが、その手を舞香は取る。



「お母さん……いいの…お母さんが死んだら、感情が戻った私はきっと悲しむ……戻るなら、笑顔で戻りたいの…」


「舞香…!」



相変わらず無表情だが、直海には気持ちが伝わったらしく舞香を強く抱きしめた。



「先生を呼んで来たぞ!」


「少し離れていてください」



医師は直海の身体をチェックし始めるが、していくうちにどんどん顔が驚愕で固まっていく。



「これは…!直海さん、今すぐ精密検査に移ってもいいでしょうか?完全に癌が消えたかどうかをチェックします」


「はい。それじゃあね」



病人とは思わない軽い足取りで直海は病室を出て行く。

その様子を紅哉と瑠璃は静かに見ていた。クロフィードと麗華は二人で抱き合って泣いているし、雅文も目に涙を浮かべていた。



「瑠璃、本当にありがとう」


「ううん。黄金の指輪を取って来てくれなかったら出来なかったんだよ?お相子ね?」


「そっか」


「紅哉」


「ん?なんだ?」


「ありがとう。父親として息子を誇りに思うよ。もうお前はいつの間にか僕たちを助ける側になっていたんだね。子供の成長はとはこんなにも早いものなのか、と実感させられた。炎道家当主としてもう一度礼を言う」


「四条家代表としてオレからも礼を言う。坊ちゃん、本当にありがとう。奥さんにはまだ生きて貰いてぇからよ」


「四条麗華の個人で礼を言うわ。紅哉、あなたは本当に立派な子に育ったわね。セレナを師匠にして正解だったわ。本当にありがとう」


「い、いや、俺はそんな大した事はしてない。直海が死んだら舞香が悲しむと思ってだな、俺はそんな…」


「お兄様照れてる……」


「紅くんらしいね」


「あぁもう!うるさい!」



紅哉はにやにやしている皆の視線が耐えられなくて病室を飛び出して行った。

後から到着したセレナは意気消沈しながら病室に入り、直海の事を聞くと花束を落としたという。


数日後、大勢の看護婦と医師に見送られて直海は退院した。



「あら?みんなお出迎え?私は麗華だけでいいって言ったのに……というか、皆何事かと見ているわ」



そこには炎道家のメイドを含む全員と四条家。そして火神崎家のメイドを含む全員と豊姫、美波、凪咲、俊介、遊佐、直人、癒理、瑠璃、渡辺、人間の姿になれるパートナー全員が直海を出迎えていたのだ。

60人近い出迎えに直海は苦笑いを浮かべる。



「記念に写真を撮ろうか」



雅文は既に準備していたのか、いかにも高そうなカメラを革のバックから取り出す。



「紅哉、こっちにいらっしゃい」


「ほら、お母さんが呼んでいるぞ。マスターよ」


「今日だけだからな!」


「はいはい」



紅哉のツンデレに直海はにこにこと笑い、舞香と手をつなぐ。



「んじゃ、私は紅くんの隣っと!」


「待ちなさいですわ!お兄様の隣はこのわたくしなのですわよ!邪魔者は退けてくださいまし!」


「あ、瑠璃先輩ずるいです…」


「では、私もなんとなく参加してみましょう」


「ええ!?遊佐さんも参加するの!?」


「凪咲も紅哉先輩の隣がいいです~」


「癒理ちゃんはいいの?」


「私は師匠の影に生きるものですから。隅が似合っています」


「まぁまぁそんな事を言わずに参加しようぜ?」


「あ、こらリン!」


「いや~紅哉兄さんは人気だ」



紅哉の隣でもめている女子の中にリンは癒理を投入させる。

その様子を俊介と直人は茫然と見ていた。



「なぁ……理不尽だよな」


「そうっすね……どうしてこんなに差があるんすかね…」


「おかしい…」


「くうぅん…」


「ワンワン!」



スコルは主の気持ちを悟って悲しそうに声をだし、ハティは直海に興味があるのか近寄って撫でられていた。



「よーし!撮るよー!」


「お、おい!押すな!倒れるってば!」


『ハイ!チーズ!』



真ん中に直海。その右側に舞香、アイリ、麗華。直海の後ろには前のめりに倒れた紅哉を額に手を当てているセレナ。セレナの左側に紅哉を心配している龍一と右側にはそれを面白そうに笑っているクロフィード。

女性陣と言えば、紅哉を倒した拍子に雪崩のように倒れて行く。

ニルは背の高さから直海の前に来ており、相変わらず腕を組んでいる。

リアは舞香の後ろで倒れた紅哉を見ていた。そしてヴリトラはリアの隣でセレナ同様紅哉達に呆れている。

リンはこれを狙っていたのか、倒れた紅哉と癒理を見て腹を抱えて笑っており、直人と俊介は仲良く肩を組んでピースをしていた。

スコルとハティは青く澄み切った大空へ雄叫びを上げている。

オーディンと言えば、カメラの端に写っていた。こういう雰囲気を悪くないのか、どこか笑顔を浮かべているようにも見える。

そして麗華のパートナー佐々木小次郎はクロフィードの隣で満足そうに腕を組む。



直海は若々しくカメラへピースをしていたのであった。


えーと、これ7章にまとめてもいい気がしたので、あとで章管理で7章に変更しておきます。すみませんでした………

では、謝罪もここくらいにしておいてと。直海の癌が治りましたね。

次はどんな話になるのか、まだ私は考えておりません(おい

その前にニルとヴリトラのショートコーナーを挟みます。

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