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龍の血を引く者  作者: また太び
5章 紅哉の戦場アメリカ(続)
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戦友(とも)

「おう、お前らの荷物も無事だったぞ」



章仁が去ったすぐ後に佐鳥は戻ってきた。俺達は佐鳥から荷物を受け取ると、佐鳥はワイバーンを見ると言った。

俺達もそれに同行し、格納庫へ向かった。



「ワイバーンは健在か……」


「いや、数が足らない」



言った俺もすぐ数えると、確かに1機足らない。一体誰が……



「よし、うちらも貰って行くか」


『ええええええええ!?』


「あぁ?うるせぇな。あたしは最初からこれを盗む事が目的なんだよ」


『いやいやダメですって!』



バードレイと俺は全力で佐鳥を止めに行く。はい、二人仲良く股間を蹴られると。

ラッセルだけは何の事か分かっていない。



「アイリにプレゼントすんだよ。これを小型で作れってな」


「おぉぉぉおお…………え?アイリ?」


「あぁ。あいつはこいつを欲しがっていてな。いつかプレゼントしてやろうと思っていたんだ。でもな、流石のあたしでもワイバーンを買う事は出来ないんだわ」


「いや、当たり前ですよ」


「だから、盗む」


「それがダメなんですよ!」


「うっせぇな!これじゃねェと逆に帰れねえんだよ!」


「どういうことですか?」


「お前、仕返しの話はしたよな。さっき章仁いただろ。あいつもヘリで帰ってのは理由がある」


「あ、やっぱ気付いていたんですか」


「当たり前だ。それは空港が一番危ないからだ。空港は人が多いから暗殺に一番向いている。だから、これでこっそり帰えんだよ!」


「あ、はい…」


「ってことでバードレイ、ラッセル。ここでお別れだ」


「え!?」


「お別れ?」



突然佐鳥から別れを告げられた二人は固まっていた。俺も固まっている。



「ほら、報酬金だ」



佐鳥はアタッシュースを放り投げると、その反動でアタッシュケースが開いた。その中には札束でぎっしりだった。



「100万ドルしか残っていなかった。これで勘弁しておけ。おい、小春行くぞ」


「あ、はい!こんな形になっちゃったけど、じゃあね。バードレイ、ラッセル」


「待ってください!」



俺と佐鳥がワイバーンに乗り込もうとした時に腹の底から出したような声が格納庫に響く。



「最後に写真を撮りましょう」



涙を堪えたバードレイの声だった。隣では既にラッセルは泣いている。

俺は佐鳥を見ると、佐鳥は仕方なさそうに降りる。俺もその行為にほっとした。



「小春お姉ちゃんああああん!」


「あははは…泣いちゃダメだぞ。君は男の子だろ?ちゃんとお兄ちゃんみたく男らしくしないと」



抱きついてきたラッセルを受け止めて俺は舞香にするように頭を撫でた。



「あたしが撮ってやるよ。お前ら、さっさと並べ」



佐鳥は一度だけ遠い目をすると、すぐいつもの鋭い目に戻る。

俺を真ん中で右には抱きついたラッセルと左には精一杯の笑顔を浮かべたバードレイ。

俺はアメリカでの短い日々を思い出した。

女装をさせられて嫌な事がたくさんあったけれど、それよりも彼らに会えてよかった。

彼らは既に英雄となる存在と知った時は暗い気持ちなった。でも、それでも彼らは人間だった。ちゃんと笑えるし、こんな女装野郎と一緒にいて泣いてくれた。

それで十分だ。何が英雄だ。何が叶わないのが運命だ。そんな運命に負けるなよ!バードレイ!お前が世界を変える歯車になってみせろよ!

そして俺は最高の笑顔を作る。


『子供たちの平和を守ってみろよ!自分の願いを叶えてみせろよ!そして本当のヒーロー(えいゆう)になってみせろよ!』



カシャ!


俺とバードレイは佐鳥からデータを移して貰い、互いに写真を見て笑った。

俺はバードレイの涙と赤くなった顔を見て笑い、バードレイは恥ずかしさを通り超して笑いとなる。



「またいつか会おう!バードレイ!ラッセル!」


「もちろんです!それまでお元気で!」


「うん!僕もっと強い魔術師になるね!」



二人と握手をすると、ワイバーンを動かし始めた佐鳥の元へ戻る。

二人はそんな俺達に軍人さながらの敬礼をしてくれた。

佐鳥は本物の軍人の敬礼を見せ、俺もそれを真似て二人へ本当の別れを告げた。


そして格納庫の扉が開くと、ワイバーンは曇天の空へ飛び立った。



『行っちゃったね、兄貴』


『そうだね。でも、また会えそうな気がするんだ』


『え?どうして?』


『それは俺にも分からない。でも、なんだかそんな気がするんだよ』


『また兄貴の勘?でも、兄貴の勘って結構当たるよね』


『さぁ、どうだろうな。よし!俺達もいつもの日々に戻るか!まずはこの間の孤児院に行こう』


『了解!兄貴!』



バードレイとラッセルは紅哉と佐鳥と過ごした短い日々を忘れる事はないだろう。

短い時でも、彼らにとっては黄金に輝くような日々だったはずだ。

そして何より、あの二人はバードレイとラッセルにとって戦場で出会ったかけがえのない戦友なのだから…………―――――――


はい!アメリカ編終わりです!さて、バードレイが最後意味ありげの言葉を残しましたが、さぁどうなるんでしょうね?

次はエヴォルトと豊姫のお父さんの話です。これからも龍者りゅうしゃをよろしくお願いしますね^^

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