義理の兄妹の紹介
「ただいま……」
「ふぅ、2階も思っていた以上に混んでいましたね」
「おう、お帰り」
彰が去ってから数分後に舞香とセレナは帰って来た。
「お兄様……さっきからずっとお肉食べてるけど…胸やけしないの?」
「ん?あぁ、後で響くかもしれないが、今はいいんだよ」
彰の態度がむかつく俺は後先考えずひたすら肉を食べている。過度なストレスで食欲が増す人がいるそうだが、その気持ちが少しだけ分かった気がした。
しばらく3人で話していると突如パーティー会場に雅文の声が響いた。
『今日は我が屋敷のパーティーにお集まりいただき誠にありがとうございます』
それから雅文による感謝の意が込められた辞が続く。
「そういえばお兄様……」
「なんだ?」
「さっきトイレで……お兄様の妹を名乗る女と会ったよ…」
「なんだって?それは、養子の子なのか?」
「ええ。自分の事を炎道奏と名乗っていました。銀髪でどこか舞香と似た感じの子でしたね」
「私と…?それは嫌…」
無表情だが、その瞳は心底嫌そうな感じであった。
「それなら俺も炎道彰っつう男と会ったぞ」
「お兄様も…?」
『それでは、ご紹介いたします。炎道家時期当主、炎道彰です』
雅文に紹介されてステージに現れたのはやはりさっきの男だった。
堂々とした足取りでステージを歩く彰はこの観衆の多さに一つも物応じしない。
「あれが……紅哉の言っていた男の子ですか?」
「あぁ、魔術師としても相当強いと思う」
「紅哉がそこまで言うのならば、相当なのでしょうね」
『次に彰を支える妹、炎道奏を紹介します』
彰による簡単な紹介が終わると次にステージへ現れたのは炎道奏という少女。
肩より少し長めの銀髪はライトに照らされてより一層美しさを増す。顔立ちは西洋人形のように可愛らしく保護欲をかきたてる。
身長は舞香より大きいがそれでも小さい方だろう。
「確かに舞香と似てるな……目、口元が似てる」
「ですよね。やはり旦那様は……いえ、すみません」
「気にしなくていい。それよりも舞香、どうだ?」
「ん……そこまで強くない…A+くらいの魔術師」
いや、A+と言ったら最上級の魔術師なのだが、我が妹はA+の魔術師でさえ強くないと申す。
「俺と舞香と同い年なんだよな?」
「ええ、そのようですね」
『皆さんには、この子達が炎道家を継ぐに相応しいか、少しお力をお見せしましょう』
「はぁ?まさか壁でも壊すわけじゃないよな。そんな事してもどうにもならんけど」
『協力して貰うのは我が息子の火神崎紅哉と火神崎舞香です』
完全に傍観者面していたらこれだ。俺を呼んだのはこの事だったかもしれない。
それと同時にさっきの彰の言葉を思い出した。イベント、という言葉を。
だから、今日のパーティーへ雅文は連れてきたかったのだ。
しかしまぁ俺も嫌って事ではない。あのイケメン面を殴り飛ばせるのなら万々歳だからな。
「いいのですか?紅哉、舞香」
「あぁ、別に構わない。ちょっと行ってくる」
「私も……あのメス豚ブッ飛ばしてくる…」
「お前が本気出したら世界壊れるからやめなさい」
「むむ……分かった…」
ステージに上がると奏と言った女の子から妙に熱い視線を感じる気がする。
「お兄様ぁ!」
気のせいじゃなかった。
「言った通りになったでしょう?兄さん」
「言った通りも何も、お前、最初から知っていた事を予測して当てたように言うのはやめろよ」
「あれ?そう聞こえましたか?」
「彰の喋り方はいちいちむかつきますわね。お兄様もそう思いません?」
「あぁ、それには同意する」
「え!?そんな二人して」
「ふふ、仲が良いのはいいことだね。さて、すまないな紅哉、舞香」
マイクを外した雅文がこちらに歩いてきた。
「お前の趣向に乗るのは癪に障るが、彰の強さを測るには絶好機会だと思って自分を納得させている」
「すまない。君達二人以外に適任が見つからなかったんだ。思う存分やってもらって構わない」
「てっきり負けてくれとか言われたらどうしようかと思ったよ。まぁそんな事言われても関係ないがな」
「流石兄さんだ。これは僕も少し身を引き締めないとダメだね」
「ルールをこれから説明する。まずバトルフィールドはアイリが寝る暇を惜しんで作ったVR空間(バーチャル空間)で行ってもらう。特に戦闘でのルールはないが、こちらで戦闘不能と確認した場合強制転移で試合は終了だ」
アイリ、えっと四条アイリだったか。四条家は皆戦闘に秀でた超人ばかりだと思っていたが、研究で才能を発揮する者もいるんだな。意外だ。
雅文のルール説明が終わると、まず最初の対戦は舞香と奏だった。
「んじゃ……行ってきます…」
「お兄様見ててくださいね!」
二人の妹は術式が組まれた床に乗ると光包まれて消えて行った。
普通最初の話しらへんは気持ちが乗ってくるはずなのですが、どうしてここを書いている私は気持ちが乗ってきていないのだろう。
ちなみにこの手直しをしている時期は118話の頃ですね。




