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龍の血を引く者  作者: また太び
5章 紅哉の戦場アメリカ
35/162

チープマシンtype‐Ω

「なんだあれは……まさか、ここに来ることがバレていたのか?」



作戦開始まであと5分を切った所で、俺達攻撃隊は所定の位置に着いて敵の施設を様子を見てみた。



「米軍の戦車ですね……型落ちですが、火力だけなら今の戦車にも劣りません」



佐鳥の言葉にバードレイが答える。

そう、研究施設の前には戦車が多数配備されており、これじゃ突撃もままならない。



『作戦を確認する。あたしたちの目的は研究施設に潜りこみ、破壊活動及び子供の奪還。以上だ』


『待ってください!これだけの戦車を相手にどうするんですか!?突入する前に蜂の巣にされますよ!』



他の隊員からも声が上がり、佐鳥は鬱陶しいように耳の穴をほじくる。

バードレイもラッセルも悔しいながらも、他の隊員の言葉に言い返す手段がないらしい。

なんとなく佐鳥が批判されているような気がした俺は、説明を佐鳥に求める。



「ああ?こんなかを突っ込むだけだ。お前、なんとかしろ」


「ええ!私ですか!?」


「そんな無茶です!いくら小春さんが武道に通じている人でも、戦車には敵いません!」


「そうだよ~!佐鳥お姉ちゃんは小春お姉ちゃんを見殺しにするの!?」


「しねェよボケが!こいつに出来るからあたしは言ってんだ!黙ってろ!」



バードレイとラッセルを一喝した佐鳥は、俺の方へ向くなり、蹴りを入れてきた。



「おら、作戦開始だ。本当はお前じゃない他の部隊が突撃すんだが、誰も動かねェ。お前がなんとかして来い」


「うう……分かりましたよ」



俺は蹴られた尻をさすりながら、隠れている草原から勢いよく飛び出す。



「ヴリトラ!」


「シャアアアアアアアアア!」



巨大な黒紫の炎が現れるなり、正面にいる戦車へ向けてソニックブレスを放つ。強烈な超音波は破壊力を持ち、雇われたのであろう傭兵と戦車をまとめて壁へ押し潰す。



「ヴリトラ、殺してはいないよね?」


「当たり前よ。ほら見なさい。戦車も破壊してないわ」


「上出来。ありがとね」



俺は背後にいる佐鳥へ、サインを出すと、隠れていた傭兵たちが全員雄叫びを上げて突撃して行く。



「よくやった。セレナに聞いていたが、あれがヴリトラか」


「ええ。内緒ですよ」


「分かっている。岸部!正面の戦車を潰した!全員突っ込ませろ!」


『分かりました!』



佐鳥は俺への返事をするなり、岸部に無線で突撃の合図を出す。すると、研究施設内からぞくぞくと兵士が現れ、ここは一気に戦場と化す。



「小春お姉ちゃんって魔術師だったんだ!すごーい!」


「脱帽ものでした。あれがパートナーというものなのですね?炎でよく分かりませんが」



バードレイとラッセルは走ってくるなり、俺に賞賛の言葉を贈る。欧米では魔術師が希少化していることもあり、一般市民が魔術を近くで見るのは珍しいのだろう。



「おら!無駄話ししてないであたしたちも行くぞ!」


『はい!』



佐鳥は煙草を吐き捨てると、手に光が溜まる。すると、そこにはグレネードランチャーが握られていた。

走りながら佐鳥は兵士に向かって躊躇なくグレネードランチャーを発射し、兵士の断末魔が響く。

俺は佐鳥が『敢えて』見逃した兵士に向かって格闘使い、意識を奪い、そして武器を素手で破壊する。

ラッセルとバードレイは施設内を破壊し、機械を見るなりラッセルは魔術を。バードレイは手榴弾を使う。

俺が驚いたのはラッセルとバードレイが俺と佐鳥に着いてくることだった。彼らは一般人とかじり程度の魔術師。俺と佐鳥は幼いころから鍛え上げてきたスタミナがあるからこれくらい何でもないが、やはり彼らも戦場に身を置く以上の事はしているらしい。



「小春!撃たせるな!」


「はい!」



遠くでランチャーを構えた兵士に俺はヴリトラを呼び出す。



「プリズンブレス!」


「威力抑え目で行くわよ!バアアアアア!」



ヴリトラは黒紫の炎を吐きだす。それは奥にいる兵士へ当たると、焼けることなく力尽きるように倒れた。



「これであと3時間は起きないわよ」


「ナイス!ヴリトラ!」



ヴリトラは俺にウィンクすると、炎を散らして消える。狭い研究内ではヴリトラの巨体は不向きだ。ニルに言われたが、俺とヴリトラはユニゾン出来るそうだ。しかし、本当のパートナーではないため、エーテルの消費が激しいとのこと。邪龍としては格が上のヴリトラは、ニルのようにただ力を振るうタイプではなく、手数で敵を徐々に弱らせていく耐久型である。つまり、力を使えば使うほどエーテルがなくなることを意味する。ニルはある意味燃費が良い。ただ殴るだけでも十分な力を発揮するし、ブレスもそこまで使わない。

だから、ここぞという時に使え、ということらしい。

ヴリトラもそれに賛成してくれて、今は必要な時に顕現して敵を蹴散らす事だけしか出来ない。

敵の対魔術師用弾丸の弾幕の嵐もヴリトラが前に立って防いでくれる。よくよく考えれば、使いやすさではヴリトラの方が上なのではないだろうか。

これを言えば、きっとニルは拗ねるだろうから言わないが。



『ふん。ならば、オレの力など必要ないということだろう?マスターはヴリトラと契約を結んでオレとは仮契約にするのだな』



ふむ、あり得る。絶対話を飛躍させて勝手に拗ねるだろう。そこでヴリトラがからかって余計に面倒な展開になることが想像できる。



「はぁ…」


「おい!小春!戦闘中に気を抜くな!次が来るぞ!」


「す、すみません!」



佐鳥から指摘されて俺は意識を現実へ戻す。丁度そこに曲がり角から現れた兵士に向けて俺は術式を組んで火球を兵士へ放つ。

火球は慌てて逃げ始めた兵士を追尾、派手な爆音と共に命中した。対魔術チョッキを着こんでいるから、これくらいは大丈夫だろう。



「よし。ここで別れるぞ。小春はバードレイを連れて子供たちの救助に向かえ。あたしとラッセルはこのまま破壊活動を続ける。研究所がガタ言い始めたら、追って連絡する。もし脱出が困難な場合はパートナーの使用を許可する」


「分かりました!行こう!バードレイ!」


「はい!ラッセル!気を付けろよ!佐鳥さん、よろしくお願いします」


「あぁ、行け」


「兄貴頑張ってね~!」



バードレイは一度だけラッセルに手を振って、俺と並んで走り始めた。



『マスター、次の曲がり角にある階段を降りろ』


『分かった。敵は?』


『いないわよ。まだ、ね。そこを降りれば最重要機密エリアよ。きっと敵がいるわ』



マッピングしてくれるニルと索敵に優れたヴリトラが的確にサポートしてくれる。曲がり角を曲がると、そこには地下へと通じる階段があり、俺とバードレイは階段をジャンプして降りて行く。

バードレイには速度上昇の魔術と重力軽減のニルの力を使っているため、ある程度の衝撃なら殺せるはずだ。

作戦時間は特に決められてはいないが、佐鳥が先ほど言ったように、破壊活動を続ければそのうち研究所は間違いなく壊れる。その前に俺とバードレイは何としてでも子供達を助けなくてはならない。



『小春!敵よ!』


「小春さん!敵が来ます!ここは俺が!」



ヴリトラが警告した同時にバードレイが前へ出て、敵の奇襲を許さない。背中のバックから手榴弾を取り出すと、線を抜いて階段の下へ現れた兵士に投げつけた。

軽い音と共に兵士たちは無残に死んでいく。階段の手すりと壁には肉片と血がべっとりと付いた。

その光景に俺は吐き気と共に顔を歪ませる。だが、それを望んで俺はここに来たのだ。今更なんだというのだ。と自分言い聞かせて、兵士の血を踏んで先へ行く。



「くそッ…!」


「ん?どうかしましたか?」


「い、いえ!なんでもないですよ」



思わず普段の声で言ってしまった口を塞いで俺は何でもないと、手振ってアピールする。


実際二人になってみて分かったが、バードレイは強かった。魔術師相手でも後れを取らぬ動きと的確な判断で、訓練を積んだ兵士を倒していく。もちろん確実に殺す。

俺とバードレイは生きている世界が違った。俺は学生で、世界で二人しかいない龍を持つ者。そして平和な日本に住む。

バードレイはラッセルの兄で戦場に身を置き、俺とそう変わらない年でありながら人を殺す事に躊躇いなどない。



「あの、バードレイって人を殺す事に何も思わないの?」



思わず聞いてしまっていた。急に数が多くなった兵士をやり過ごすために蔭に隠れていたときのことだ。

バードレイは一瞬きょとんとしたような顔になる。次にはいつもの顔に戻った。



「何も思わないわけがないじゃないですか。俺は今でも人を殺すのが苦手です。というか嫌いです。ですが、そうしなければ行けない世の中なんです」



簡単に締めくくった。そうしなければならない世の中なんだと。



「小春さんは恐らくですが、初めての戦場ですよね。なら、思わないのも無理はないです。俺も最初は銃を握る事すら出来なくて、初めて人をこの銃で撃った時は俺の心臓も止まるかと思いました。でも、そうしなければならない。ラッセルのためにも、この世のためにも、子供たちが安心に暮らせる世の中を作るためにも俺は人を、魔物を殺すしかないようです」



そう言ってバードレイは自分で改造した折り畳み式の自動拳銃を握る。



「バードレイは凄いな。私なんて人を殺すことなど、出来るはずがない」


「小春さんはそれでいいんです。手を汚すのは俺だけでいい。小春さんは綺麗なままでいてください」



返り血を少しだけ浴びたバードレイはにっこりと笑った。俺は何も言えなかった。本当に言葉が思いつかなかったのだ。



『この子、相当強い子ね。己の信念を掲げて自分の犠牲を顧みない』


『いや、強いとは言えない。こいつはもはや自己犠牲の上に成り立っている英雄だ。もちろん反英雄と言える』


『英雄ね……英雄は民草に崇められると同時に最も人を殺した人間でもあるわよね。この子も死んだら名もなき英雄として英霊化するのでしょうね』


『嫌な話だな。その自己犠牲やがて世界のバランスを整える装置でしかなくなるというのにな』



ニルとヴリトラは俺には分からない会話をしていた。だが、一つだけ分かることは―――



『バードレイは壊れている』



俺とニルとヴリトラの声が重なった。



『こいつはもう、世界のシステムとして出来上がりつつある。もう人間には戻れない』


『自己犠牲の果てには破滅しか待っていないわ。結局自分の願いも叶えられずに死に、そして英霊になる。悲しいけれど、『あれ』はもう人間の形をした何かよ。この子が数々の戦場を生き残って来たのも世界に取り込まれつつあるせい。他の人から見れば運が良かった程度にしか思わないでしょうけど、あれは人間の力などではないわ。言うならば、世界の力よ』



ニルは吐き捨て、ヴリトラはバードレイの事を『あれ』と言った。俺にはさっぱり理解出来ない。ニルとヴリトラだけに分かる会話。



「バードレイ……」



俺は先陣して敵を殺し続けているバードレイを悲しみを込めた目で見ていた。

先ほど言った、人間を殺すことが嫌だと言った悲しい顔はどこに行ったのだろうか。もう、そこにはどこまで冷たいバードレイの顔があった。



『ただの傭兵ならば良かったのだ。金が欲しい、死に場所が欲しい。それでよかったのだが、こいつは到底人一人の力では叶えられない願いを強く、強く願ってしまった』


『それに世界が反応したわ。バードレイが得た力は絶対的な幸運と圧倒的な索敵能力。代償として世界のバランスを正す英霊となる』


『こいつに逃げる道などもうない。逃げても世界が追う。代償を破った者には死を。そして完全な英霊化となる。くっくっく、オレも何人もの人間を見てきたが、初めてだぞ。人間が英霊になる前兆をな』


『小春。あなたはおかしいと思わないのかしら?どうしてあなた達魔術師にラッセルとバードレイが追いつけるかしら?どうしてあの歳で熟練の兵士を圧倒出来るのかしら?』


『身体を強化している魔術師に無能力者が追いつけるはずもないだろう。篝章仁は科学の力で無理やり補っているが、あいつは正真正銘の無能力者だ』


『い、いや。ラッセルに移動速度が上がる魔術をかけて貰っているとかさ』



何故俺はバードレイとラッセルを庇っているのだろう。



『魔術を公式的に習っているマスターの目から見れば魔術が掛かっていないことなど、一目瞭然だろうが』


『それにラッセルは魔術師として見てもCだわ。そんな子があんな強力な魔術を使っていたことに疑問は沸かなかったのかしら?』



言い返せなかった。



『もう、バードレイとラッセルは戦場から離れることもないし、願いが叶う事もないのか』


『そうだ。それが世界の意思だ。だから、この作戦もあれが歩く道の建物に過ぎない』


『小春が気に病む事はないのよ?あれは自ら望んだこと。別の言い方をすれば、そういう人間もいるって事よ』



「小春さん!この先のようです!」



先に道を切り開いたバードレイが巨大な扉の前で待っていた。俺はヴリトラとニルの会話を中断し、バードレイの場所まで駆け寄る。



「くっ!相当強固な壁のようですね。ハッキングも完全にシャットアウトとは……」


「私に任せて」



バードレイを退かせて、俺は拳に気を溜める。



「はッ!」



静かな衝撃が走った。そして次の瞬間、壁はボロボロと崩れて行く。



「流石です!これで先に進めますね!」


「ええ。行きましょう」



これはセレナ直伝の虎雷砲だ。まだ完成とは言えないが、十分戦闘で使えるくらいにはなっているようだ。



「行きましょう。目的地はすぐそこです」


「はい!絶対助けましょうね!」


「ええ…」



俺とバードレイが進んだ先にはドーム状の実験室が広がっていた。周りは鉄に囲まれ、床には何か激しく動いた傷跡がある。



『これ以上進ませないぞ!い、いけぇ!』


「え?なんだって?」


「これ以上進ませる気はないようです」



バードレイが和訳してくれると同時に奥の扉が開く。そこから超巨大ロボが現れた。全長は恐らく7m弱。4足で身体を支え、背中には無数のガトリングとミサイルポッド。2本の腕には光り輝くチェーンソーが装備されている。頭はカブトムシのような長い角と後ろへ伸びる角の計3本。何かの生き物を思わせる口からは水蒸気が吐きだされ、目はこちらを敵対勢力と見なすような赤い瞳が俺達を捉える。



「まさかこれはチープマシンtype-Ω!?」


「それはなに?」


「戦略級兵器として作られる予定だったものです。余りのコストに凍結されたはずなんですが、まさか作られていたなんて…!」


「ただの機械ですよね?なら」



俺は手を前に突きだすと、紫色の術式が現れ、そこから激しい稲妻が迸る。稲妻はチープマシンへ襲い掛かる。

しかし、突如チープマシンの目の前に魔術障壁が現れ、俺のアークブラストを無効化した。



「え?なんでこの機械魔術を使えるの!?」


「これがチープマシンtype-Ωが凍結された理由でもあります」


「どういうこと?」


「ただのチープマシンならば無人でも動きますが、type-Ωはエーテル搭載型なのです。しかし、そのエーテルがどこから取られているかと言うと……」


「まさか子供達から!?」



俺はバードレイを見ると、彼は苦しそうに頷いた。なるほど、こうやって実験で強化した子供たちを兵器の一部として使うことがこの研究所の目的だったか。



「ですから、小春さん。コックピッド付近は出来るだけ攻撃しないようにしましょう。それと、チープマシンtype-Ωですが、弱点はあります。エーテルの供給源を断つことです。つまり、子供さえ救出してしまえば、後はただのガラクタです」


「了解!」



ドスンドスン!と巨体には似合わない速度で動くチープマシンに俺は肉薄すると、拳を突きだす。やはり、魔術障壁によって防御されてしまうか。



「ヴリトラ!手伝って!」


「分かったわ!コックピッドを狙わなければいいのよね?」



ヴリトラは顕現するなり、胸を狙わず、チープマシンの首を喰いちぎろうと牙をむき出しにして襲い掛かる。

だが、あと少しという所で腕に付いているチェーンソーによってヴリトラは攻撃を中断させるしかなくなる。



「厄介な腕ね…!小春、あの腕のチェーンソーを甘く見ない方がいいわ。あれで斬られたら重症じゃ済まないわ」


「うん。あれは危険だと思っていた」



話している最中も背中に付いているガトリングが火を吹く。更にミサイルも加わり、全く近づけない。

バードレイも攻め手を欠いているようで、俺がチープマシンを引きつけている間に奥へ続く扉の解除をしている。



「ヴリトラ、バードレイが奥の扉に行ったらニルも顕現させる。それまで持ちこたえてくれ」


「分かったわ。なら、さっさと行かせましょう」



ヴリトラはバードレイが解除している壁へ首だけ向けると、ブレスを放とうとしている。



「!?バードレイ!離れて!」



バードレイは一瞬で理解したのか、その場を素早く離れると同時にヴリトラのブレスが壁に穴をあけた。



「行って!バードレイ!」


「分かりました!小春さん!御武運を!」



バードレイは荷物を背負って人ひとり分が通れそうな穴をくぐって行った。



「よし。来い!ニル!」



誰もいないこと見計らって俺はいつもの口調に戻す。



「くっくっく。暇すぎて寝てしまうところだったぞ」


「ニルと共闘するのは久しぶりね」



ニルは顕現するなり、チープマシンの身体を殴りつけた。これは意表をついたらしく、障壁が出ることはなかった。



「ふむ。随分とタフな機械らしいな。オレの一撃を受けてもピンピンしてやがる」


「小春、何か考えなさいよ。ニルでもダメならアタシでもダメだわ」


「凄い機械だな。龍の拳でもダメとか……凍結して正解だわ」



さて、俺は考える事にする。まずはコックピッドだ。しかし、ニルの拳を受けてもビクともしなかった辺りから考えると、コックピッドを強引に引きはがす事は不可能だろう。

あれ、結構詰んでね?



「よし、佐鳥先生に聞こう」



俺は素早く端末を取り出すと、佐鳥へ電話をかけた。佐鳥はこんな戦争中にも関わらず数秒で出る。



『なんだ!手短に済ませろよ!』


「はい!いま私はチープマシンtype-Ωと戦闘中なんですが、余りにも硬すぎてどうすればいいのか分からないです!」


『Ωだと!?まさか完成していたのか…………Ωは所詮機械だ。指令室辺りに出力を下げる装置があるはずだ!それを使えば装甲をある程度低くすることが可能なはず!』


「分かりました!バードレイがさっき行ってしまったのですが、ラッセル辺りがバードレイに今の事を知らせることは可能ですか?」


『聞いてみよう。――――――――――――可能だそうだ。いまラッセルがバードレイに電話をしている』


「ありがとうございます。では、そちらも頑張ってください!」



佐鳥との通話を終了すると、俺は目の前で攻撃を耐えてくれている龍に今の事を伝えた。



「つまりバードレイが出力を下げてくれるまで耐えろってことだな?」


「そうなる」


「はぁ…疲れる仕事ねぇ…」


「文句を言うなヴリトラ。オレはいつもこんなことしかしてないのだぞ」


「無駄話しもそこまでにしておけ。来るぞ!」



邪龍2体は一瞬で左右に避ける。そこに丁度口から飛び出したビームを回避する。



「うお!?ビームも搭載しているのか!恐ろしい機械だな…」



ニルは避けるなり、カオスブレスをチープマシンへ放つが、やはり障壁に阻まれる。

ヴリトラは体を弓のようにしならせると、強烈なテイル攻撃を行った。

ニルの方に集中していたせいか、障壁は甘く、チープマシンを壁まで吹き飛ばす。



「まだまだ!」



そこへ俺が追撃として空中からチープマシンの頭に踵落としを叩き込んだ。

やはり予想通りか、障壁が出現する。



「ちっ……やっぱ人間の常識は通用しないな」


「当たり前だ。機械だからな。己がいくらダメージを受けようとも、行動に支障が出ない限り平常運転だ」



ニル達の所まで戻ると、ニルは腕を組みながら立ち上がったチープマシンの様子をうかがう。



「早くしてくれよ、バードレイ。早くしないとコックピッドにいる子供が死んでしまう…!」



障壁やチープマシンが動く度にエーテルを消費しているのだ。早くしないとエーテルが枯渇して死んでしまう。


バードレイの秘密も入っていましたね。バードレイの力の秘密と言いましょうか。高い危険察知能力はもう未来視に近いですね。でも、自分限定ですが。

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