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龍の血を引く者  作者: また太び
5章 紅哉の戦場アメリカ
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翼龍の兵器ワイバーン

「小春、少し外を歩くぞ」


「は、はい。どこに行くんですか?」


「お前に施設を見せようと思ってな」



外に出ると、アメリカの冬は寒かった。



「うわぁ……寒い…」



ニーソを穿いてるのが幸いか。というか、この格好で北に近い国を歩くのは間違っている気がする。



「あれがアメリカで最新鋭のヘリだ」



佐鳥が指差したのは1体のヘリだった。時速600kmで飛ぶヘリだが、日本のヘリはマッハに達している。

やはり遅れているのだろう。技術が。



「性能は悪くはない。だが、コストが高く、量産に向かないんだ」



俺はこういう銃器に疎いが、何故量産に向かないのだろうか。



「簡単だ。積んでいるエンジンと設計モデル。これが量産の邪魔をしている」


「なら、エンジンを変えればいいのでは?」


「そうすると格段に性能が落ちる。もはや劣化でしかない。それが解消できないからアメリカはジレンマに落ちているんだ」


「なんだか日本が凄く見えますね」


「見えるんじゃなくて、凄いんだ。日本は他国から資材を買わなかったら何も出来ない国だが、資材があれば何でも作れる」



佐鳥は再び歩き出す。俺もそれへ着いて行く。



「ただ、日本が唯一負けているものがある」



佐鳥は何か許可証らしきものを取り出すと、ダクトへ入って行く。

そこの中には巨大な機械があった。



「こ、これは…」


「これはアメリカ軍が開発した自立型兵器ワイバーンだ」



佐鳥と俺が見ているものは、翼龍だった。恐らく15mはあるだろうワイバーンがダクトに5体ならんでいる。

赤くカラーリングされたワイバーンは、一つ命令があればすぐ起動し、敵を殲滅することだろう。



「ワイバーン…!」


「日本が作れない理由は金がないからだ。借金してまでこれを作る理由もないし、魔術師が豊富な日本にワイバーンは必要ないんだ」



『………』


『………』



ニルもヴリトラも言葉を失っている。機械の姿で見る同胞にどう思っているのだろうか。



「ワイバーンはマッハ2で飛ぶ。敵と味方を自動認識して攻撃を行うとても優秀な兵器だ。だが、一つ弱点があるとすれば、雷系の魔物に弱い。耐電装甲になっているが、それでも軽減するだけであって、モロに喰らえばたちまち機能停止に陥る」


「これ、金の無駄使いじゃ…」


「だろうな。だが、ワイバーンは恐ろしいぞ。演算能力も高いから、その場で最適な行動パターンを作り出して攻撃する、ジャマーも積んでいるからレーザーにも映らない」


「あれ、結構凄くないですか?」


「日本なら、これと同性能でなおかつ、小型にして量産する事も可能だろう。だが、アメリカにはその技術がない。だから、こんなに馬鹿でかいし、燃料も馬鹿にならない」



確かに15mは大きい。これが空を飛んでいたら、どこかの国に襲撃しに行くのかと思ってしまう。



「結局はアメリカのお遊び兵器ってことだよ」


「アメリカが死力を尽くして開発した兵器をお遊びですか」


「お遊びだ。別にこんな翼龍のモデルにしなくても、飛行機でもなんでも良かったんだ。なのに敢えてこれにした理由が分からない」


「幻想種最強の龍だからですかね」


「日本だけ龍があるのが気に入らなかったのか知らんがな」



佐鳥はそう言ってダクトを後にする。俺はもう一度だけワイバーンを見てその場を離れた。

その後は佐鳥に、もしものための時の脱出口と退路を教えてもらい、自室へ帰った。


せっかくアメリカに来たのですから、もっと派手にしたいですね。あ、話のことです。

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