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龍の血を引く者  作者: また太び
4章 林間学校
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林間学校終了

そのあとは時間のある限り遊んだ。途中からは佐鳥が加わり、危険極まりないことを何度も紅哉はされた。

豊姫も同じ目にあい、というか紅哉のメンツ全員に非人道的な事を行ったのだ。



「マジあり得ねェ……」



紅哉は帰りのバスで佐鳥に川へ投げ込まれた衝撃で痛めた腰を、豊姫に回復してもらっている所だった。

ここで命令権が使われた。



「こ、紅哉くん!私の膝を使って?」


「………落ち着け」


「お、落ち着いていにゅ!いるよ!」


「噛んでるじゃないか…」



結局自分に拒否権がない事をニヤニヤした俊介に言われて紅哉は仕方なく、豊姫の膝に頭を預けながら回復をしてもらっている。



「豊姫さんも随分と大胆な事をするようになったのですね」



俊介の隣に座って本を読んでいる遊佐は無表情のまま豊姫へ言う。



「ゆ、遊佐さん!わ、私だって驚いているよ……自分の行動に…」


「いや~周りがあれだからな~!」


「朽木さんはもう少し女の子の扱い方を覚えた方がよろしいかと」


「すんません……」


『……………』



周りは賑やかだが、ここだけ気まずかった。紅哉は苦悶の声を上げているし、豊姫は真っ赤になりながらもしっかりと紅哉を回復させている。

遊佐は元から喋るような性格ではない。俊介は遊佐に言われた事が地味にショックだったのか、真顔で天上のシミなどを数えている。



「あ~腰痛い……」



紅哉と言えば、豊姫の気持ちも分からず、ただ腰の痛みに堪えているだけだった。




「ただいま~」


「ただいま……」



紅哉と舞香は帰宅すると、そこにはいつも通りの日常があった。メイド達は忙しそうにしながらもどこかやりがいを感じて仕事をし、セレナはいつもリビングの椅子に座って資料と睨めっこ。

龍一もセレナ同様家計のお金の管理を全て任されているので、これもまた紙と睨めっこ。

朱音は庭の花壇に水をやり、ホースで遊んでいる。



「はァ……疲れた」



紅哉は自室に入るなり、鞄を投げてベットへ倒れる。ニルは紅哉に買ってもらったアイスを冷蔵庫へ1個1個大事そうに入れている。



「紅哉?瑠璃さんが来ていますが」


「は!?いや、あいつまだ仕事中のはずだろ!?」


「わたしに言われても分からないのですが……とりあえず、下で待ってるのでお願いしますね」


「マスターも大変だな。オレはここでアイス食べているから行って来い」


「お前に言われなくても行くよ」



紅哉はアイスを食べている邪龍を置いて、下へ降りて行く。

瑠璃は紅哉の姿を見るなり、勢いよく腰に抱きついた。



「うお!?あ、危ないだろ。もし後ろに倒れたら―――」


「紅くん!何もされてなかった!?身体におかしいところない!?」


「は、はぁ?何のことだ?」


「玲奈ちゃんだよ!あの子!紅くんに色目使うかもしれないから、いまチェックしてるの!」


「特に何もされなかったぞ?連絡先は教えてもらったが」


「ええ!?ちょっと携帯貸して!」


「ちょ、お前!待て待て!おおう!」



乱暴にポケットをまさぐる瑠璃に紅哉は背筋がぞくりとする。ポケットから携帯を抜き取ると、何やらどこかに電話をかける瑠璃。恐らく玲奈だろう。



「あ、玲奈ちゃん!?」


『あれ?着信は紅哉さんなのだけれど、なんで瑠璃ちゃんが出るの?』


「出るも何も、いま紅くんの電話からかけているからだよ!」


『何をそんなに興奮しているの?』


「玲奈ちゃんが紅くんにちょっかいかけるからでしょ!?それに玲奈の興奮は違う意味に聞こえるよ!」


『確かに私は紅哉さんに興味を持っている。でもね、ちょっと連絡先を教えたのは訳があるの』


「下らない事だったら着信拒否にするからね」


『それは困るな~。私、紅哉さんともっとお話ししたいし。っとこんな事を言っていると着信拒否にされそうだから、理由を言うね』



今まさに瑠璃は電話を切って着信拒否設定を行う所だった。



『紅哉さん。エヴォルトに目覚めたの』


「え…?それ本当に…?」


『うん。瑠璃も知っているでしょう?エヴォルトがどれだけ希少なものか』



瑠璃の頭は落ち着きを取り戻した。まさか背後にいる彼が日本で2人目のエヴォルト化可能の人とは。



『それで、エヴォルトの使い方と使い時を教えてあげるために、結果としてメアドを教えたの』


「ふ~ん……なるほどね。理に適っている言い方だけど、玲奈。あなた、紅くんと近づけて喜んでいるんじゃないの?」


玲奈と瑠璃はお互いに呼び捨てで呼び合う。



『………さぁ、何のことでしょうかね。それでね、今度彼をうちに呼ぶから、あなたは来なくていいわ』


「ちょっと待った!それだけは阻止させてもらうよ!紅くんの行くところには私が着いて行くんだからね!」


『瑠璃、本当に面倒な性格になったね。昔はビクビクしている子だったのに』


「ふふ、女の子は彼氏が出来ると変わるものなのよ」



余裕の笑みをする瑠璃を傍で見ている紅哉は会話を聴きとる能力はない。



『…………瑠璃、今度ゆっくり話し合いましょうか。従妹同士水入らずで』


「お断りするね。まぁその時は紅くんも連れて行くけど?」


『この子はああ言えばこう言う………はぁ……あなただけよ?私をこんなにイラつかせる知り合いは』


「ねぇ?ブーメランって知ってる?」


『……………瑠璃。ちょっと落ち着きましょう』


「私はもうとっくに冷静だけど?」


『……………………で、あなたの望みは?』


「私も連れて行くよ。紅くんだけ玲奈の所に行かせるわけには行かないからね~」


『分かったわ。このままじゃいつまでも平行線だし、私の方から譲歩しようじゃないの』


「今の言葉に反論したい気持ちもあるけど、今は言わないでおいてあげるね」


『瑠璃、あなた予定が付く日を教えてね。私もその日開けておくから』


「うん。それじゃあね」



瑠璃は電話を切って、携帯を紅哉に返した。



「紅くん、今度私の都合が付いた日に玲奈ちゃんの家に行くよ」


「………なんだって?」


「紅くんって、エヴォルトを手に入れたんでしょ?それで、エヴォルトの先輩である玲奈ちゃんに色々ご指導いただくことになったの」


「あ~なるほど」


「もう紅くんは禁忌魔術師になってしまった。それで、これからの身の振り方を教えてもらうためにも、玲奈ちゃんの家に行かないといけない」


「禁忌魔術師か……封印指定とはまた違ったもんだよな」


「うん。でも、まだ政府はこの事を知らないはずだよね?先生方は何も言ってないよね?」


「多分な……佐鳥先生がこの事は政府には言わないって言ってたはずだ」


「なら、大丈夫だね。よし、私の悩みも解決したし、仕事に戻るね」


「あぁ。もう渡辺さんを困らせるなよ?」


「ん~無理!紅くんが危ないって耳に入ったら海外ツアーでも抜け出しちゃうかも!」


「それは流石にな……」



瑠璃は紅哉の言葉を聞かずに出て行ってしまった。相当忙しい中に来たのだろう。渡辺さんに怒られる瑠璃が容易に想像が出来る。



「あ、紅哉君帰っていたんだ?」



そこへバケツを持った朱音が現れた。メイド服を自分で改造したせいか、いつもミニスカだが、寒くはないのだろうか。



「俺が不在の時は何もなかった?」


「ないね。ホント暇だったよ~。なんだかいつも以上に掃除をしてピカピカな気がする」


「今も掃除を?」


「うん。龍一さんって人使い荒いよね」


「朱音さんはメイドだろ……」


「まぁ~そうなんだけどね~。あたしさ~、セレナちゃんが羨ましいのよ」


「それまたどうして?」



バケツと雑巾を床に置いて朱音は考え込むフリをする。



「だってさ~、あの人完璧超人じゃない?」


「俺からすれば、朱音さんも十分ぶっ壊れていると思うが」


「私なんて、面倒な事はやらない主義だし。でも、セレナちゃんって面倒でも絶対完璧にこなすじゃん?」


「まぁ、言われてみればそうだけど」


「あたしね、セレナちゃんがやりたくない!っていう言葉を聴きたいのよ」


「なんだそれは……さっき羨ましいとか言ってなかったか」


「おっと、そうだった。つい本音が……ごほん!あたしだってそれなりの事は出来るよ?」


「なんだっけな。楽器系は完璧なんだろ?あと、武器系もなんでもござれだっけ?」


「うん。カスタネットからエレキまで。武器も木の棒からヌンチャンクも何でもござれ、なんだけどさ。書類とかこういう掃除とか、地味なのは嫌いなんだよね~」


「嫌い、でも出来るんだろ?」


「まぁそうなんだけど。セレナちゃんって嫌な顔一つせずやるじゃん?それが羨ましいんだよね~」



朱音とダラダラ喋り続けていたら、30分も経過していた。朱音の本心は、ただサボりたかっただけらしい。



「それじゃあね~。龍一さんには、紅哉君があたしに話しかけてきたって言っておくからー!」


「本当にただサボりたかっただけかよ!」



全力のツッコミに朱音は投げキッスをするだけだった。林間学校の疲労が更に溜まった気がして紅哉は寝ることにした。


投稿するの忘れていたという失態を起こしていました……では、気を取り直して、次は紅哉が新しい地に行く話です。

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