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龍の血を引く者  作者: また太び
1章 炎道家と紅哉の関係
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邪龍のパートナー

紅哉とニルは夜で賑わう繁華街を歩いていた。

急ぎ足で過ぎ去っていくOL、いまどきいるのかよと思う額にネクタイを巻いて酔っている中年男性、タクシーが来るのを待っているのか腕時計を何度も見ている人もいる。

昼と夜ではまるっきり違う風景に少し驚くのはまだ自分が子供だから、ということなのだろうか。



「お前らってどういう原理で存在しているんだっけ?」


「いきなりどうしたんです?」


「いや、特に意味はないけど少し気になってな」


「そうですか。バッサリ行くと私たちは触媒を核に主のエーテルを貰って現界しているにすぎません」



パートナーとは生涯魔術師に主に付き添う動物、魔物、英雄の事だ。

これは魔術師最初の試練と言っても過言ではない。何故なら生涯をそのパートナーと歩んでいくのだ。下手なパートナーは選べない。

パートナー召喚での必要な物は、パートナー召喚時に動物、魔物、英雄を現す触媒となる物だ。

例えばライオンを召喚したい時にはそのライオンの一部を触媒として召喚する。毛、牙、肉、何でもよい。ただライオンから取った物と分かればいいのだ。

パートナーの実力は主の魔術師の力を示すものでもある。



また例えでライオンを使うが別段ライオンが好きなわけでない。

そこでまず、ある魔術師をA師としてもう一人の魔術師をB師とする。

実力ではA師が格上でA判定を貰ったとする。

対してB師は格下でC判定を貰ったとする。

するとパートナーにも変化が起き、ライオンの本当のランクはB。するとA師のライオンは更にブーストが掛かってランクAまで底上げされる。

そしてB師の判定はCだから、ライオンもランクダウンしてC+となってしまう。

と、簡単にパートナーについて説明したところで紅哉がどうしてニルを召喚することになったかというと。



「お前って庭に埋まっていたんだよな」


「そうらしいですね。昔の頃に生え変わった牙でも落ちたんでしょうか」


そう、ニルを召喚するための触媒となった物は、幼い頃に妹と一緒に砂遊びをしているときに見つけた龍の牙だ。

化石にような形で見つかり、紅哉が魔術師の道を歩むときに目覚めさせてやろうと思ったのが始まりであった。

目覚めさせてみれば悪態をつく皮肉屋口が悪い。

今こうして敬語を使っているが、いざ戦いとなると素が出て途端に口が悪くなる。

最大顕現した龍の状態では男の声だが、人間の姿や小龍の姿になると少女の声になるという奇妙なことが起こる。

幼いころ戦隊ものを一緒にポージングをしていた時は褐色肌の女の子だった事から、恐らくニルは女の子だろうと紅哉は思っている。



ゴトン―――――今の紅哉は先ほどまで賑やかだった街から離れて夜の静けさが目立つ住宅街に来ていた。

そして紅哉は喉が渇いたので自動販売機でスポーツドリンクを購入していた。



「あれ?これ炭酸入りか…」


「マスターは炭酸ジュースが嫌いなのですか?」


「いや、炭酸自体は嫌いじゃないけど、スポーツドリンクに炭酸が入っている物は嫌いだ」


しかし、買ってしまった以上飲むしかない。紅哉はプシュ!と炭酸が抜ける音と共にキャップを開けて一口飲むために顔を上げると数十メートル先に一人の少女がいた。


身長は小学生かと思われる程に小さい。しかし、一番目につくのは髪である。

その髪は雪原を思わせるように白く腰まで美しく流れ、瞳は色素を失ったかのように赤くこちらを見ている。

顔立ちは幼いながらもどこか大人びた雰囲気を持つ不思議な少女だった。



「ここで何してるんだ?」



自分と同じ学校の制服に身を包んだ少女に話しかける。



「お兄様……」


この感情が読めない少女は紅哉の妹、火神崎舞香ひかみざき まいかという。



「家に帰らないのか?」


「帰りたいけど帰れない」



頭にハテナマークしか出てこない。

そこで紅哉はここで舞香と話すより自分の目で見た方がいいと思ったため急いで家に帰ることにする。



いざ家に帰ってみると家の前には黒塗りの車が何台も止まっていた。


「な、なんだ?俺、何もしてないぞ?」


「紅哉、待っていたよ」


その声で紅哉の機嫌は一気に最下層まで落ちる。

忘れたいが忘れられないこの声。紅哉はこちらに歩いてきた男性を睨みつけた。



「雅文……」



スーツに身に着けたこの紳士のような男は炎道雅文えんどう まさふみ。一応紅哉の父親という立場にある。



「なかなか帰って来ないから心配していたんだよ」


「別にお前に心配される覚えもないし、してほしくもない」


「厳しい事を言うね…」


少しだけその笑顔に影が差す。しかし、それは一瞬ですぐにいつもの顔に戻る。

正直に言うと紅哉はこの男が嫌いだった。どのくらい嫌いかと言うと成層圏内から突き落としたくなるほど嫌いとのこと。



「それで何の用だ」


「あれ?確か君の家のポストにパーティーの招待状が入っていたと思うんだけど」


「あぁ、それなら破って捨てた」


「全く紅哉ったら……やはり迎えに来て正解だったよ」


「いま遠まわしに行かないという意思表示を入れたんだが、伝わらなかったようだな」


「今日だけは来てもらいたいんだ」


いつも紅哉はポストに招待状があると破ってニルの炎のブレスで燃やしていた。

だが、何故か今日の雅文は紅哉と舞香をどうしても連れて行きたがっているようだ。



「何度言っても無駄だ。俺はもうあの家とは関わらないと決めたんだ」


「そこをどうかお願いします紅哉様」


「……セレナか」



雅文の後ろから現れたのは女性のガードマンだった。

ダークスーツが長身の彼女にとても似合っており、サングラスがより一層それを引き立てる。

長い金髪を後ろの方でまとめているのがなんとも大人の女性らしさを醸し出す。


この女性は四条セレナ。

ロシア人の父と日本人の母を持つハーフのセレナは代々炎道家に仕えるガードマンの一家の一人で彼女は長女の位置にある。

ある事件が起きるまで紅哉は炎道家の長男として過ごしており、セレナはその時の紅哉と舞香直属のガードマンだった。

こんなガードマンなんぞやってなければ間違いなく読者モデルで引っ張りタコの日々を送っていただろうと思うほど美人だ。


雅文と紅哉と舞香の母である直海はいつも研究に没頭していたため、紅哉と舞香の世話をしてくれたのはほとんどセレナだった。

そのせいか紅哉と舞香は余りセレナに逆らいたくない気持ちがある。育ててもらった恩もあるので、いつか感謝の意を込めて何かしようと舞香を企画していたこともあった。

しかし今は炎道家を離れて以来セレナと会ってなかったので、久しぶりに再会に心躍るものもあるが、出来ればこんな形で会いたくはなかった。



「いま奥様は重い病にかかっておられます。」


「……病気か」


「奥様からどうしても話があるので来てほしいと…」


「お母さんの病気は……治るの…?」



舞香が感情のない声でセレナに尋ねる。

セレナは首を横に振るだけだった。



「奥様の病気は癌です。発見した時には既に末期でした…」


「だから紅哉、直海と会ってくれないか」


雅文が深く頭を下げる。息子に頭を下げる父親を情けなく思い、罵ってやろうと思った瞬間服の裾を舞香が掴んだ。



「舞香?」


「分かった……行く」


「おい、舞香!?」


「ありがとう……紅哉も来てくれるよね?」



舞香だけ行かせるわけには紅哉はため息をつきながらセレナが運転する車に乗る。

黒塗りの車が次々と走って行く姿はどこのヤクザかと思ったほどに滑稽だった。


見直していると結構誤字ってありますね。

誤字は直したいと思っているのですけど、なんだかちょこちょこっとミスが出る。

もう誤字とは付き合っていかなくちゃダメだな~と心のどこかで妥協をしつつ今日も自分の話を見直す。

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