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龍の血を引く者  作者: また太び
プロローグ
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プロローグ

「ですから、マスターは甘いと言っているんですよ。何故あそこで敵に情けを掛けるような事をなさったのですか」


「いやァ……弁明の余地がない…」


既に取り壊しが決まっている廃棄ビルの駐車場で5mにも及ぶ漆黒の龍が腕を組みながらマスターと呼んだ少年に憤慨している。

その叱られている少年の服は学校の制服だ。黒を中心的に使われた制服で、今現在の午後8時程度だとどこにいるのかすら分からなくなる。

そして少年の年齢は16歳と言ったところのあどけなさが残る顔立ちで、髪は赤黒くくせ毛が多くロクに手入れもしていない。



この少年の名は火神崎紅哉ひかみざき こうや。名門と言われるウィザード育成校の一つである、私立翡翠魔術育成学校(略称は翡翠)に通う新二年生だ。


この世界には魔術というモノがごく当たり前に使われている。人間の身体に流れている生命のエネルギーというエーテルに自分が思い浮かべるものを投影して現実に具現化するのが魔術。

しかし、魔術は誰もが使えるわけではなくこれには個人差があり、ある者の名は有能力者。ない者の名は無能力者と呼ばれた。



これに反発する者が出てくるのは時間の問題だった。定められた運命に納得の行かない者が有能力者相手に犯罪を犯したのである。

今まで有能力者と無能力者の犯罪はなかったと断言できる。その根拠のほとんどの人間は有能力者に無能力者が適うわけがない、と思っていたためだ。

しかし、この事件をきっかけにまるでウィルスのように伝染していき、世界中は暴動の嵐となった。


このきっかけを起こした人物がかがり 章仁あきひとと呼ばれる一人の無能力者だった。

彼もまた魔術師に憧れ、そして絶望した。遂に念願の魔術師になれる夢を抱いて訪れた魔術師適性検査での結果。

判定は最低のEランク。普通の魔術師ならば大体はD以上と決まっているのだが、無能力者にはEという判定が下されて使えなくもないが、ほとんどの魔術を使うことは出来ないのがEとなる。

そして限りなく零に等しい適性値が彼を怒りへと導いた。

この時の彼はまだ14歳だったが、大学教授でさえ頭が上がらないほどの天才的な頭脳を持っていた。

これが後に世界を巻き込んだ世界最大最悪の事件である≪悪夢≫と名付けられた。


まだ篝章仁は捕まってはいない。それ故に一般市民や魔術師には篝章仁という名の悪夢がいまだ心に釘を打たれたかのように残っている。


その悪夢から5年後の世界が今の紅哉の時代で、世界はこの無能力者による暴動をきっかけに本格的に魔術による犯罪者取り締まりを行った。というのは表向きで、実際は警察の手に余るというのが裏事情。

この犯罪者取り締まりはまず中等部で訓練を積み、高等部でやっと実践となる。

3年は短いと思うが、そんな事はない。卒業までに訓練官から合格を貰わなければ留年だし、なによりこの訓練で挫折する者が多いのが現状だ。

そして高等部に進むと掲示板から依頼という形で仕事を受けれるようになる。

もちろん危険とは常に隣り合わせで、入学間もない頃に危険な仕事を受けて命を落とす生徒も少なくはない。

自分の力量を知るための中等部での訓練なのだが、お疲れさんとしか言えない。


「予想がつきますけど、相手が女性だったからではないでしょうか?」


「うっ……」


「図星、ですか……」


「まぁまぁ!終わった事は気にしても仕方ないし!それに依頼内容は盗難物品の奪還だったろ?」


ドラゴンにジト目で見られながらも紅哉は苦笑いを浮かべながら廃棄ビルに踵を返す。


「そうですね……でも、盗難者を捕まえたらボーナスが出ましたのに」


「いいから帰るぞ。ニル」


まだ言いたげのニルと呼ばれた漆黒のドラゴンは光に包まれると体長30cm程度の小龍になり紅哉の肩に乗った。

ちょこちょこ直しているんですよね。

ん~ちょっとおかしいな?と言ったところがやっぱり出てくるわけで、これを手直ししている時期は恐らく118話あたりですかね?そこらへんの頃ですね。

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