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龍の血を引く者  作者: また太び
4章 林間学校
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遂に登場!舞香の弟子!

「お、お邪魔します!」


「ん、誰だ?」



そんなセレナと朱音による壮絶な模擬戦が行われた事を知らない紅哉達は学校が終わり、家に帰宅していた。

リビングではいま舞香と豊姫と朱音がゲームをしている所だ。

すると、突然家のチャイムが鳴り、ゲームをしている3人に代わり紅哉が出ることにした。



「こんばんは!」


「セレナ、この人は?」



既に出ていたセレナに紅哉は玄関に立っている一人の少年について尋ねた。見たところ紅哉達と同じ制服を着ているからしてうちの学校の生徒だと一目瞭然だが。



「紅哉、あなたは舞香の弟子の話を聞いていないのですか?」


「あぁ!思い出した。君か、舞香の弟子になったという一年生は」


「はい!本日より偉大な火神崎舞香先輩の弟子になりました!氷室直人ひむろなおとと言います!どうぞ!よろしくお願いします!」



礼儀正しく名乗った氷室。髪は薄い水色で身長は紅哉とそう変わらない。スラリとした体形に制服がよく似合っていた。



「そんな硬くならなくてもいい。むしろ友達と話す感覚でいいぞ」


「あ、そうですか。なら、お言葉に甘えまして……ごほん!よろしくっす!紅哉先輩!」


「あぁ、よろしく」



爽やかな挨拶と共に握手を交わした紅哉と直人。セレナは玄関ではなんですから、と言いリビングへ案内してくれた。



「うわぁ……メイドさんがいっぱいいるんすね」


「まぁ無駄に広いからな。お~い、舞香。お前の弟子が来たぞ」


「ん……直人…来てたの…?ちょっと待って」


「あ!いえ!今日は挨拶だけっすから!ゲームしていていいっすよ!」


「ごめんね。こんな形の挨拶で。私は三原豊姫です。よろしくね、直人くん」


「やっほー!あたしはここの副メイド長だよ!朱音って言うんだ。朱音さんって呼んでね」



もちろん三人は顔はテレビのままである。それでも直人はしっかりと頭を下げて挨拶をした。



「凄いVIPじゃないっすか……あの鉄壁で知られている三原先輩と龍人のお二人……俺、今死んでもいいくらいっす…!」


「いや死んで貰っては困る。それに貴重な男を減らしたくない」


「ん?どういう事っすか?」


「見ての通りだ。俺の家には男がメイド長の龍一さんしかいない。後は男とカウントしていいのか分からないが、うちの弟子の英雄が男なくらいだ。そこで話し相手として男がいるのは俺にとってとても嬉しい事なんだ」


「あぁ……なるほど、確かに女性の比率が高いっすね」


「ということで、これから末永くよろしくな」


「もちろんっす!」



直人が来たことによって急遽晩御飯が変更となり、歓迎パーティーとなった。飾り付けなどしないが、いつもより豪勢なメニューは直人にとって嬉し泣きするほどだったらしい。

予定の付いた美波、癒理を呼んで直人を紹介すると――――



「あ!君は氷の……氷の…」


「氷室君ね。私と同じ戦闘スタイルだから覚えていた」


「そう!氷室君!」


「癒、癒理さんじゃないっすか……アンタの槍とっても怖いんですけど」



と、知り合い同士だったらしい。すぐに打ち解け今では1年生同士固まって座る仲までになった。



「んじゃ、舞香の弟子が決まった祝いと直人の歓迎会を始める!舞香から一言」


「ん……」



紅哉からマイクを受け取ると、舞香は椅子から立つ。



「直人は氷以外全然ダメな子だから……戦闘系をお兄様、癒理、セレナに伸ばしてもらう……氷は一応私も教えるけど…まぁがんばって…」


「お前もうちょい言葉選べ……直人が肩を落としているぞ…」



奥では直人が肩をがっくり落としている。それを癒理と美波が慰めているという感じだ。

豊姫も流石にこれには苦笑いをするしかなく、紅哉に早く次に進もうと目で促した。



「んじゃ、最後に直人から一言」


「うっす……舞香先輩に言われた通り、自分は魔術としての才能は微妙ですが、誰よりも努力していると自負しています。どんな厳しい修練にも耐えるつもりですので、紅哉先輩、癒理ちゃん、セレナさん。ご指導の方、よろしくお願いします!以上です!」



と啖呵を切った直人にみな拍手を送り、歓迎会はスタートした。



「美波ちゃんそれ貰うっす!」


「あ!こらぁ!私のエビフライ!」


「なら私はこっち…」


「ええ!?癒理ちゃんどうして私のカツを取るの!?」



とても仲が良い1年生だった。



「なんだか明るい子だね。うちのクラスだと朽木くんにあたるのかな」


「だな。俺も男が増えて嬉しい」


「お兄様……学校でなんて言われているか知ってる…?」


「いや?知らないが?」


「ハーレム野郎だって…」


「は、はぁ!?」


「ハ……ハーレム!?」



紅哉と豊姫は同時に驚き、舞香は黙々とご飯を食べる。



「まぁ……お兄様は友達が少ないから…」


「否定できないのが辛い」


「豊姫も友達少ないから…」


「うう…言葉もありません…」


「まぁ…私、癒理、美波、豊姫、瑠璃が傍にいれば言われても仕方ないね…」



さらりと自分を入れた舞香にツッコミを入れる余裕もない二人。よほど友達が少ないと言われたのが効いているそうだ。



「にゃははは!セレナちゃんもほれほれ!」


「わ、わたしは余り酒は飲まないのですが…」



「龍一さんもほれほれ!」


「で、ですから僕もそこまで酒は…」



と、完全に出来上がっている朱音にセレナと龍一は酒を無理やり飲まされていた。

他のメイド達も楽しそうに食事をしており、楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。



「よし、乗ったか。行くぞ!ニル!」


「うっほー!龍に乗ってるぜ!?俺!」


「私達も行くよ。ペガサス!」


「グオオオオオ!」


「ヒヒーーン!!」



紅哉のニルへ直人と癒理が乗り、ペガサスには美波が乗る。もう夜も遅いので送って行く事になり、それで眠そうなニルに無理を言って顕現してもらった。

2体の幻想種は星がきらめく夜空へ力強く羽ばたくと、ゆっくりと飛行し始める。



「うおお!すげえええ!」


「直人、うるさいです」


「す、すまん……で、でも龍だぜ?ドラゴンだぜ?世界に2体しかいないんだぜ?」


「分かったから…!」


「すまん…」


「お前ら仲がいいな……まぁ興奮するのも分かる。俺も初めてニルの背中に乗って空を飛んだ時はすげー!の一言しかなかったからな」


「ふん。あの時はマスターが何度も落ちそうになってオレが一番苦労したんだぞ」


「あ~そうだったか?」


「そうだった」


「おお……お、男の子ですか?」


「貴様、振り落とすぞ」


「ひぃ!お、女の子なんすか!?」


「おい、ニル。お前はこの姿じゃ声が男だから分からないだろ。あっちの姿になれば分かりやすいんだがな。あ~直人、ニルはこう見えて女の子だ。この龍の姿の時は区別がつかないが、人間の姿になれば一目で分かる」


「ほえ~……龍族って人間の姿にもなれるんすか…」


「直人君。パートナーとはエーテルの塊みたいなものです。賢いパートナーならば人間の姿にもなれるでしょう」


「ま、そういうことだ。詳しい事はあっちにいる豊姫に聞くといい」



直人が豊姫の方を向くと、ペガサスの翼は光り輝いており、神の獣としての神々しさが満ち溢れていた。



「あれが鉄壁の天馬……」


「あぁ。豊姫がいなかったら俺のクラスは舞香に手も足も出ない。豊姫とペガサスがいるから俺達は舞香達と戦えるんだ」


「あはは……私も紅哉くんがいるから舞香さん達と戦えると思っているよ。紅哉くん以外にあのリヴァイアサンを退ける事が出来る人はいないもん」



それに鉄壁の天馬ってなに?と豊姫は言っているが、紅哉達は無視をする。



「そうだ、癒理。お前、料理出来たよな?」


「ええ。もちろん出来ますよ」


「悪いんだが……ほら、俺って料理出来ないだろ?」



それで全てを誘った癒理は任せてください、と胸を叩いて応じてくれた。



「最高のご飯を作る事を誓います。師匠、期待して待っていてください」


「あ、あぁ……よろしく頼む」


「いや~紅哉先輩の前だと癒理ちゃん人が変わるっすね」


「そうなのか?俺はこいつの普段の姿を見たことがないからな~」


「そうっすね~。言うなら鉄仮面っすかね。笑わない、喋らない、ホント美波ちゃんが話しかけるまでこれなんっすよ」


「直人君。私は必要な事以外は喋らない主義ですから」


「え~?そうなんですか?私とはよく喋りますよね?下らないことも」


「そ、それは……」


「美波ちゃんと喋っている時は大分印象が違って見えるんす」


「あ~納得した。すっごいタジタジしてんのな」


「し、師匠までからかわないでください!」


「暴れるな。落ちても知らんぞ」



何故か直人にゲイボルグを向ける癒理にニルは眠そうに忠告した。それを聴いて一命?をとりとめた直人は安堵の息を漏らす。

隣を飛んでいる美波はそれを面白そうにクスクスと笑っていた。紅哉と豊姫は良い友達に恵まれて良かったと心から思っており、そしてなんだか親身になっている感じがして紅哉は思わず頬掻いた。



「癒理ちゃん、うちはこっちだよね?」


「ええ、今日は美波さんと一緒に帰りますのでここいらで」


「あいよ。んじゃ明日な」


「え?ここからっすか!?」



地上からは10mも離れているのに癒理はペガサスに乗っている美波が飛び降りると、それを空中でキャッチして降りて行った。

地上に足が着く瞬間に槍を地面に突き刺して着地すると、何事もなかったかのように二人は歩き出した。



「な?大丈夫だろ?」


「あの二人化け物っすね」


「まぁ癒理さんは特別だよね……それを完全に信頼している美波さんも凄いけど」



今の出来事に驚愕している直人に豊姫が同じように驚きながら同意した。


「それじゃ、私は美波さん届けたからここで」


「おう。んじゃまた明日」


「さよならっす!」


「うん。またね。はいや!」



豊姫は手を少しだけ紅哉と直人に振ると、ペガサスに付いている光の縄を引いて空を駆けて行った。



「かっこいいっすね…」


「だろ?本人に言うと怒るから気を付けておけよ」


「え?マジっすか?」


「可愛い方が良いって言うんだよな。まぁそりゃ女の子だし、かっこいいより可愛い方がいいだろうな」


「あ~なるほど。でも、豊姫先輩って頼れる先輩って感じっすよね?」


「だな。気が付くとアイツに色々頼っているときが多いし」


「いや~俺も会った瞬間から思っていたんすよ。この先輩は頼りになる!って」


「それは間違っていないな。お前は人を見る目があるようだ」



直人の家に着くと、家の外には家族総出で待っていた。住宅街という事もあり、ニルは降りれないので仕方なく紅哉はニルに頼んで、直人を抱えて貰う事にした。



「え?どういうことっすか?」


「龍化を解く。人間の姿になったニルにお前を抱えて貰うんだよ。それじゃ行くぞ、3、2、1―――――」


「え!?ちょ、うおおおおおお!?」



余り怖くならないようにニルが降りれるぎりぎりの高さまでしたというのに、やっぱり怖いものは怖いらしい。



「あなた誰っすか!?」


「オレ様だこの野郎!黙っていろ!」


「よっと」



特に音を立てることもなく着地した二人に直人の家族は自然と拍手を送っていた。

直人によれば自分は一番下らしい。

父親、母親、姉、自分らしく、一度舞香の弟子になったと言ったときは信じて貰えなかったそうだ。



「どうも夜分遅く失礼します。俺は火神崎紅哉と申します。こちらはパートナーのファーヴニルです」


「ふん。オレは眠いんだ。早くしろよマスター」



礼儀がなっていないニルに首をかくりと落とすと直人の家族は笑ってくれた。



「送り、感謝するっす!」


「こういう日が多くなるから、その時はまた送って行ってやるよ」


「紅哉さんでしたよね。あたし姉の美紀って言うんだけど。ぶっちゃけ舞香さんがこいつを採用した理由はなんですか?」



敬語になれていないのか、敬語がごっちゃの言葉に紅哉はいつも通りでいいですよ、と言った。



「ごほん…!こいつの採用した理由ってなんなん?」


「舞香曰く、氷系統が得意だからと言っていましたよ。余り優秀じゃない子の方が教えてて楽しいと」


「舞香先輩……ぐすぐす!言葉もないっす!」


「アンタ、なんでこんな事で泣いてるんだい…」



母親から呆れの言葉を貰っても直人は泣いたままだ。



「直人、舞香が師匠という事はお前もいずれSランクの魔術師に育ってもらうことになる。それは分かっているな?」


「もちろんっす!師匠の看板に泥を塗る事だけは絶対にしないっす!」


「よし。それが聴けて安心した。それじゃ夜も遅いので俺はこれで。ニル、行くぞ」


「ホント送りだけかよ……マスター、帰りにコンビニ」


「あ~分かったよ」


「あぁ!待ってください紅哉先輩!」



紅哉を呼び止めた直人はダッシュで家の中に行くと、ビニール袋を持ってニルの前まで来た。



「なんだ小僧。オレはいま機嫌が悪い」


「だと思って機嫌取りじゃないっすけど、送ってもらったお礼っす!」



ビニール袋を渡されたニルは機嫌が悪いながらも中身を確認すると―――――



「お前、直人と言ったな」


「はいっす!」


「お前のこと気に入った。お前ならいつでも乗せてやろう」


「はぁ!?お前なに貰ったんだよ?ってあぁ……」



アイスだった。それもニルが好きなチョコでコーティングされたバニラアイス。棒のアイスは特にお気に入りで、それが20本もあり、さっきの機嫌の悪さはどこかへ行ってしまったようだ。



「だからアンタあたしにアイス20本買ってこいって言ったのね……それにドラゴンってアイスが好きなんだ?初めて知ったわ」


「いえ、こいつだけですよ。うちにもう1匹ドラゴンがいますが、あいつは餅が好きでして」



その言葉に直人家族は興味深そうに聞いていた。



「おいマスター。溶けるから早く帰るぞ」


「あいよ。では、今度こそさようなら。それと塀を少し貸してください」



紅哉は詫びを入れて直人の家の塀を使ってジャンプするとそこへ最大顕現したニルが通りかかり、背中へ着地する。

そのまま風を起こしながら夜空へと飛び去って行った。



「おお……何ともカッコいい去り方…」


「ふふん……紅哉先輩はホントかっこいいっすよ。あと紅哉先輩の癒理ちゃんっていう俺の同い年の女の子がいるんすけど、それがまたかっこよくて」


「アンタは?」


「へ?」


「アンタはああいうこと出来ないの?」


「無理に決まってるじゃないっすか!?姉ちゃんだって俺が一般人な事知ってるっしょ!?」


「まぁそれは紅哉さん達に任せるか。どうせあの人達の所にいればアンタもこれくらい普通になるんでしょ?」


「い、いや……えと、どうなんでしょう…」


「そこは俺もなる!くらい言いなさいよ!」


「いで!?」



ヘタレな弟の背中を叩いた姉は呆れながら家の中へ入って行った。


「アンタも頑張りなさいよ」


「そうだぞ。父ちゃんも応援してるぞ」


「うっす!頑張るっす!」



親に応援されて自分に活を入れた直人はさっそく明日の林間学校に向けて準備をすることにした。


THE後輩!って感じで直人を登場させました。しかし、っすって付けると急に小者感に見えるのは気のせいでしょうか。気のせいですよね。

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