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龍の血を引く者  作者: また太び
10章 龍族の侵略(続)
153/162

復活の覇龍王

8月1日決戦日。



朝食はピリっとした雰囲気で終わり、紅哉達は軽めの運動を外でこなしている時だった。



「おい、紅哉。誰か来るぜ?」



数台の車がこの丘にある別荘にやってきた。

紅哉達は一度トレーニングを中断すると車から出てくる人物を見て目を見開くこととなる。



「やぁ、紅哉君。元気かな?」



それは篝章仁含むアヴェンジャーズ幹部の登場だった。



「何の用だ?神の遺産以外でも俺達と争いたいのか?」


「うっわ…怖いなぁ…こいつが火神崎紅哉っすか…?」


「そこのあなた!こっちは敵意がない事が分かっているのにその殺気はなんですか!知佳さんが怯えちゃっているじゃないですか!」


「え?あ、すまん」



章仁にしか目が行っていなかった紅哉は小さな女の子が震えて自分と同じくらいの少年の服を掴んでいるのが見えた。



「で、何の用だ?生憎こっちは予定が詰まっているんだ。お前らの相手をしている暇なんかないぞ」


「僕らはね、君達と同盟を組みに来たんだよ」


「同盟?」


「中に上がらせて貰っていいかな?あと、出来れば龍人の方も連れてきて貰えるかな?他の人は下がらせて」


「………」



ニルとヴリトラは先ほどから少年の隣にいる金髪の少女が気になるようだ。

紅哉自身も何やらあの少女からニルと何か似た波動を感じる。



「紘一君のパートナーが気になるかい?それも含めて話し合いたいから、中に入らせて貰っていいかなって事なんだけど」


「マスター。オレも気になる事があるから通せ」


「幹部は綾香ちゃんと紘一君とおまけで知佳ちゃんでいいかな。他の人はここで待たせるからさ」


「分かったよ。余り時間はないんだ。手短に頼むぞ」


「さっすが紅哉君。話が分かる人で助かるよ」


「師匠……」


「大丈夫だ。お前達はトレーニングを続けていてくれ。すぐに戻る」



紅哉は心配そうにする癒理の頭を撫でて俊介たちに指示を出した。

中にいるセレナ達に一度相談しようかと思ったが、章仁たちから目を離すわけにも行かず、紅哉の独断になってしまった。



「ほら、中に入れ」


「お邪魔しま~す」


「紅哉、外が騒がし――――章仁!?」


「あ、直海さんじゃないですか。お久しぶりです」



直海の驚愕の声が聞こえた雅文たちが何事かと出てきて玄関で靴を揃えている章仁を見て更に驚く。



「紅哉、これは一体どういう事なんだい!?」


「今は何もする気はないらしい。セレナ、朱音さんと理沙さんとカケルさんと瑠璃を呼んできてくれないか?舞香はそこにいるしな」


「舞香ちゃんも元気そうで何よりだよ。あの時は本当にごめんね。僕も色々試したかったからさ」


「別にいいわよ。お兄様があなたと争わないのなら私は何もしないわ。ただ、もしお兄様があなた達を敵と見なしたときは容赦なく蹂躙してあげる」


「怖い女の子だなぁ……ここにいる人達皆怖い人ばっかっすね…章仁さん…」


「うん。正直ここにいる人達だけでひと国沈められる戦力だよ。もう力の権化っていう人達がわんさかいるからね」


「おい、リビングを借りたからそこで話をするぞ」



かなりビビっている紘一に章仁は冷静に答える。

ただ紘一には章仁のサングラスの奥に光る瞳はどこか楽しそうに見えた。



「この前もここに来たけど、特訓するには良い場所だよね~」


「そんな世間話するために来たんじゃないだろ」


「まだ他の人が来てないから会話を楽しんだって損じゃないと思うけどな」


「お兄様、この手の人と口喧嘩しても勝ち目はないわよ」



紅哉の隣に座って本を読む舞香は赤い瞳で章仁を見る。



「紅哉君なぁに~?ってあらま章仁さん」


「へぇ、章仁さんじゃない」


「おっと、章仁さんか」


「あー!国家犯罪者!」


「やぁ、龍人の皆さん」



セレナに連れられて入って来た朱音達は章仁の来訪に驚いているようだ。

しかし、未来人の3人は『さん』付けで呼んでいるが。



「どうやら僕の呼び方から見たところ僕は未来だと紅哉君と友好的な関係を築いているらしいね」


「え!?未来!?」


「あれ?紘一さんここに来る前に章仁さんの話を聞いていなかったのですか?」


「あー!君はあの花火大会にいた辰己くん!?」


「いるとは想像していたけどまたアイドルに会ったぁああ!?」


「あぁ、花火大会でナンパに絡まれていた瑠璃を助けてくれたのは君だったのか」



瑠璃は章仁の後ろに立っている紘一を見てあの花火大会の事を思いだしたそうだ。



「章仁さん、ちょっと話に入る前にいいっすか?」


「うん、いいよ。知佳ちゃんの頼みだったしね」


「ほら、知佳」


「うん…」



知佳はバックから何か取り出すと大事そうに胸に抱えて瑠璃の元まで走って行くと。



「ん?どうしたの?」


「さ、サインください…!」


「あら、可愛いわね。お持ち帰りしたいわ」


「お前が言うと本気に聞こえるからやめろ」


「いいよ~。確か知佳ちゃんだっけ?私の名前の隣に書いてあげよっか」


「お、お願いします…」



瑠璃は渡された色紙とペンを一瞬驚いた風に見ていたが、知佳の勇気を振り絞った声に笑顔で応えて慣れた手つきで自分の名前と知佳の名前を色紙に書き、そして最後におまけで可愛らしい神龍の絵もプレゼントした。



「はい!いや~久しぶりにサイン書いたから出来栄えはどうかな~?ちゃんとかけてた?」


「は、はい…!バッチリです」


「うん。良かった」


「瑠璃さんありがとうございます!こいつ、祭りの後で瑠璃さんに会ったって言ったらサイン欲しい欲しいって言ってたもんで」



笑顔で紘一の隣まで戻った知佳はずっと瑠璃に書いてもらった色紙を見ていた。



「良かったね、知佳さん」


「うん!」


「流石本物のアイドルは違うわね」


「さて、場も和んだことだし本題に入ろうか」



知佳の行動によって和んだ空気が再び張りつめた。



「まずそこの龍族を名乗らせろ」


「そうだな。既に名など知っているが、自分から言わせんとな」


「あら、ダハーカ達も気になるの?」



ニルに同意する形で人間の姿で現れたダハーカ、リア、グリンデルが紘一の隣に立って庭を見ている少女を睨めつける。

よく見ると部屋の端で神龍も人間の姿でこちらの様子を窺っていた。



「ふふふ。そんな怖い目で私を見るな。既に正体を知っているというのに私に名の名乗らせるとは、お前達ドSだな…?冗談冗談、いくら龍圧相殺装置で龍圧が無効化してあるとは言え、精神的な縛りまでは打ち消せないようだな」



庭から目を離すと少女はこちらを向いた。



「私は宝石岩龍グランベスだ。里では良き友であっただろう?」


「ニル、誰だ?」


「一度だけオレ達は龍の里に帰った事があっただろう?その時見た建造物は傷一つ付いていない綺麗なものだったはずだ」


「あ、あぁ。綺麗な宝石だったよな」


「それを作り出したのがあいつだ。架空の鉱石にして最強の強度を誇るオリハルコンを生み出す龍だ」


「ふふ、龍の里に比べて強度は落ちるが、それでもバハムートの攻撃を数回受け止める鉱石を生み出す事は可能だ」


「朱音さん、この龍を知っているか?」


「ううん、知らない。こんな龍あたし達の未来に存在していないよ」


「朱音これどうなっているの?未来が変わっているとしか思えないじゃない」


「変わっているんだ。間違いなくね。俺がそう思いたいだけかもしれないけど、良い方向に傾きだしている」



朱音達も知らない龍の登場に紅哉はますます混乱した。

グランベスのパートナーは見たところ紘一という少年のものだろう。

自分と似た龍の波動を感じる。



「さて、龍族の紹介も済んだところで本題に入るよ。さっきも言ったけど、僕らは紅哉君と同盟を組みたい」


「何故だ?」


「単純にそう思っただけだよ。君達と連携すれば間違いなくバハムートを撃退する事が出来るからだ」


「!?お前それどこで!」


「僕らのアジトにDVDが届いて来たんだ。差出人不明でね」



章仁は紅哉達に気付かれないように一瞬だけ朱音を見た。朱音はギクリとしてあからさまに顔を逸らす。



「なるほどな。未来の舞香はお前達が必要だと判断したのか……」


「もちろん僕らもただ君達と協力するわけじゃない。例えばここにグランベスがいる。グランベスが生み出すオリハルコンは文字通り鉄壁だ。そして紅哉君たちが生み出した龍圧相殺装置は破壊されたらなかなか辛い環境で戦わなきゃならない状況になる。そこでそのグランベスが装置を守るために壁を生成したとする。どうなると思う?」


「なるほど、グランベスのオリハルコンの強度は我らが既に龍の里で体験している。紅哉、悪くない同盟だと思うが?」


「聖龍が邪龍の王に褒められちゃったか。私のオリハルコンも随分と有名になったものだ」



ダハーカが紅哉に進言する。



「私も悪くないと思うわ。一時的にバハムートを倒すまでの同盟なら私も賛成のつもりよ、お兄様」


「俺も悪くはないと思う。正直別荘が狙われる事くらい分かっている事だったし、その守りもこれから検討して行くつもりだった。その守りが鉄壁の龍の鉱石で守って貰えるのであれば、言う事はないな。章仁、お前を信じていいのか?」


「任せてくれ。僕らだって目標のためにまだ死ねないんだ。全力で君達に協力しよう」



紅哉と章仁は立ち上がって握手を交わした。



「紅哉君、早速で悪いけど、バハムートはいつ復活するんだい?」


「分からない。8月1日。今日だという事は分かっているが、いつ復活するのか、それは応龍次第だ」


「応龍が復活を阻止していたのか。あの老龍も焼きが回ったものだな。相当人間社会を気に入ったと見える」


「ふっ、グランベス。お前はまだ人間界を知らない。遊園地はいいものだぞ」


「ほう?あの辺り構わず暴れまわるニルをそこまで言わせるものとは……紘一、今度その遊園地という場所に行くぞ」


「お、おう」


「あ、私も行きたいです!」


「私も……遊園地行ったことないんだ」


「あははは、これからバハムートが来るというのに気楽なものだね」


「俺達は勝てる。そう思っているからこそ、この余裕なんだろ?」


「違いないね」


「さ、昨日決めた部隊長を集めて作戦を練って行こう」


「OK。僕らも幹部を呼んでくるよ」



決戦はすぐ目の前だ。


紅哉達は決戦に備えた最終ミーティングを一度は戦ったアヴェンジャーズと共に行う事になった。



『あのキーキーうるさい奏は何をしているのかしら。お兄様を心配させるなんて妹失格ね』



舞香は未だに音沙汰がない奏が気がかりだった。



場所は変わり太平洋から少し北東に行ったところ。

黒い神の龍は朽ち果てていた。



「私もここまでか………神龍…白龍帝を頼んだぞ…」



風化した身体の鱗がどんどん海に落ちて行く。

緑色の目の輝きが消え去ると、応龍は空中に浮いていることも出来なくなり、地球の重力に従って海へ落下した応龍は深い海の底へ沈んでいった。


応龍が海に沈むと同時に海面が巨大な魔法陣で埋め尽くされる。



「応龍め……よくも我の復活を妨げてくれたな……」



魔法陣からゆっくりとこれから世界を支配する覇龍王が降臨した。

私今日だけで2話連続投稿しましたね。

本当に話が乗っているときはじゃんじゃん上げていくのですが、乗らないときは2日とか3日かかってしまう時がありますね。

まぁそれが普通なのでしょうけど、なんだか1日ごとに1話上げていくペースだとそれが崩れた瞬間落ち着かなくなってしまうんですよね。

2日とか空けてしまうと『あぁ、結構空いてしまったなぁ…』と全然そこまで空いたわけではないのにそう思ってしまうのです。

だから、1日1話のペースを出来るだけ崩したくないんですよね~。あ、連続投稿は別にいいのですが、日にち空けてしまうと落ち着かないってことですw


さて、最近お気に入りをぽちっとしてくれる方も増えて私はとても嬉しいです。

この調子で100人目指すぞー!と意気込んでこれからも龍者を書いていきたいと思います。皆さんも龍者をよろしくお願いしますね。では、ここいらでペンを置かせていただきますっと!

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