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龍の血を引く者  作者: また太び
10章 龍族の侵略(続)
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次の段階

「癒理さん、やってみてください」


「はい」



癒理はエヴォルト組初の達成者となった。

元々戦闘の才能があったため、エヴォルトした自分との闘いでもすぐに自分が何を試されているのかを理解し、見事エヴォルトを会得する事が出来た。



「リン、行きますよ」


『おう!制御は任せろ!』


「エヴォルト!」



癒理が纏う緑の外装が青くなり、槍は一回り太くなったように感じる。



「これが…エヴォルト…!」


『すげぇ力を感じるぜ!これなら旦那と良い勝負が出来そうだな!』



癒理はエヴォルト前と比べて重くなった槍をよく観察する。すると、よくよく見てみると槍に一定間隔で線が入っているのが分かった。



「なんでしょう。この線は…」



叩いたりしてみるが、とくに変化はない。

試しにいつものように槍に力を込めるためエーテルを流してみると槍が勢いよく飛び出して岩を破壊してしまった。



「なっ!?」


『お?どうやらリーチを伸ばすチェーンがついたみたいだな。仕込み槍ってとこか』


「なるほど。戦闘のバリエーションが増えそうですね」


『三節棍にも出来るっぽいな』



リンに言われた通り、槍全体伸びる仕組みになっているらしく、その線とは外れてそこから鎖が飛び出す位置らしい。



『癒理、下からも仕込み槍が飛び出すようだぜ』


「おお……これももちろんゲイボルグの効果が?」


『あると見ていいぜ。その槍自体ゲイボルグだ。心臓に刺してしまえばクソゲーできる』


「舞香さんの影響を受けすぎですよ」



ジャキン――――!!と飛び出した小さな刃を見て癒理は驚く。

この槍は自分がやりたい事をエーテルを流して伝えればすぐに答えてくれる仕組みになっているらしい。



「どうやらエヴォルトは無事成功したらしいですね。癒理さん、おめでとうございます」


「癒理さんおめでとうございます!」


「ありがとうございます」



癒理は玲奈と美雪に感謝の意を示して頭を深く下げた。



「後は美波たちですね」


「はい。皆さんはもう少しかかると見ています。ですが、あと5日すればもう二人くらい出てきそうな気がします」


「分かりました。では、私はこのエヴォルトの力を把握するために師匠の元へ」


「頑張ってくださいね」


「行ってらっしゃいです!」



癒理はそのまま紅哉のいる森まで駆けて行った。



「速い、ですね」


『あぁ、ユニゾンに比べて数段上乗せされているぜ。そんでもってこれが本気じゃないからエヴォルトってのは末恐ろしいもんだ』


「そうですね。早くこのエヴォルトに慣れなくては…」




一方その頃紅哉は何とかダブルユニゾンに成功して次の段階に進んでいた。



「真正面から受けようと考えるな!受け流せ!」


「わ、分かっているよ!でも、アンタのブレス範囲広すぎるだろ!」



バハムートのブレスを逸らす訓練だった。

手筈では豊姫と奏がブレスを受ける役になっているが、もしもの時の対応を今受けているのだ。



『紅哉!バハムートのブレスを受けるときはアタシにエーテルを回しなさい!じゃないと木端微塵になるわよ!』


「分かった!」



紅哉の今の姿は侍のようだった。

ニルの姿から更にそこへヴリトラのユニゾンが加わった事により、鎧が追加された。

それはヴリトラが紅哉を守りたいという気持ちから出来た鎧であり、紅哉が日本人だから侍の姿になったのだろう。

鎧からは紫炎が吹き出して壊れた鎧を修復して行く。



「次行くぞ!」


「来い!!」



手加減しているとは言え、バハムートのブレスをまともに受けてしまったらただでは済まない。



「うッ!」



避けている暇なんてない。

バハムートの言うとおりこの力の奔流を受け流すしかないようだ。



『このままじゃさっきの二の舞だ…!どうすれば…!』



手で受け止めるだけでは駄目だ。もっと受け流すのに適した物が必要になる。


その時紅哉は朱音の姿が頭によぎった。

彼女の大剣のように剣の腹で受け流せる事が出来たら、と。



「うおおおおおッ!!!」



右手だけでヴリトラとニルの炎で作った大剣を生み出す。



『そうか!それで受け流すのだな!』


『考えたわね!アタシとニルの炎なら相殺することが無理でも受け流す事は出来るわ!』


「いっけええええええ!!」



紅哉は大剣を振り抜いた。

バハムートのブレスとぶつかった炎剣は当たった瞬間に消えてしまったが、何とか軌道を逸らす事に成功した。



「や、やったぞ!よっしゃあああ!」


「うむ。朱音と同じ逸らし方になったか。親も同じなら子も同じか」


「ん?朱音さんもアスカロンで逸らしていたのか?」


「そうだ。ドラゴンスレイヤーとしての特性を生かし、お前の使い捨ての剣ではなく、完璧に逸らしてみせたぞ」


「まぁこっちは龍族だし、大目に見てくれよ」



紅哉はダブルユニゾンを解除するとその場に座り込んだ。



「頑張ったわね。ご褒美に抱きしめてあげるわ」


「うおッ!?」


「おい!何をしている!」



ユニゾンが解除された事で外に出てきたヴリトラは地面に座っている紅哉を抱きしめて彼の顔が胸に隠れてしまう。



「ああん、そんなに息を荒くしないで。くすぐったいわ」


「い、息がッ!!」


「ヴリトラ!今すぐマスターから離れろ!嫌がっているではないか!」


「そんなことないわよね。紅哉は大きな胸に顔を埋めて嬉しいわよね?」


「瑠璃、豊姫ごめん…バハムート倒せないや………………」


「マスター?マスター?マスタァアアアアア!!!」



カクンと肩から力が抜けた紅哉を見てニルは叫んだ。



「何をやっているのだ……」


「お兄様も頑張っているわね。少しふざけているけれど」



舞香は半眼になってこの光景を見ていた。

シリアスからいつもの雰囲気に戻りました。

作中では書かれていませんが、現状としてはエヴォルト組は無事第2段階に進めたというところです。

癒理はその前から第2段階攻略していましたが、現状特訓のひと段落がついたのは癒理だけです。

今回少し短いような気がしますが、まぁ前回が長すぎただけですよね。

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