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龍の血を引く者  作者: また太び
10章 龍族の侵略(続)
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戦いへの恐怖

「紅く~ん!早く早く!」


「ま、待て!お前達買いすぎだ!」


「え?そうですかね?これくらい食べれますよね」


「だよね!こんなのペロリと食べちゃうよ!」



紅哉たちはテーマパークの中に出来た屋台めぐりをしていた。

晩御飯はもちろん抜いて来ているが、流石に買い過ぎではないだろうか。



「あ!豊姫ちゃん!花火の場所取りしないと!」


「大丈夫です!場所取りなら既にペガサスに任せてきました!」


「流石!紅くん!そういう事だから行こうよ!」


「用意周到だなァ…ホントそういう所は…」



紅哉は彼女らが買った屋台のものが入ったビニール袋を持ち直して二人を追った。



「おい…目立っているぞ…」


「座っているだけでいいって言ったんだけど…」



場所取りを任されたペガサスは翼を大きく広げて誰も近づけんとしていた。

それが逆に迷惑どころか、物珍しそうにする人たちが多く、写真を撮っている人もいる。



「ごめんなさい、ちょっと通してください」


「喋る事が出来ない魔物はこういう時役に立つよね。文句ひとつ言わないし……」


「だな……ニルとヴリトラならきっと等価交換になる…」



自分のパートナーに当てはめながら紅哉達は何とか人の波を掻い潜ってペガサスの元へ着く事が出来た。



「ありがとう。しばらく休んでいてね」


「ありがとな。おかげで良い場所をとれたよ」


「ありがとねー!ペガサスに感謝感謝!」



ペガサスは主が来た事を確認すると蹄で数回床を蹴ると霊体化して行った。



「あはは……二度はやらないって言ってたよ。見世物になったのが気に入らなかったみたい…」


『え!?今ので何を言っているのか分かったの(か)!?』


「な、なんとなくだけどね。蹄で地面を2回叩くのは機嫌が悪い時。両足の蹄で1回ずつ叩くのは気分が良い時。鼻を鳴らしながら蹄で2回叩く時は相当気分が悪い時だね」


「流石ペガサスのマスターだ。俺は昔から意思疎通が楽なニルだったからな。なんだか珍しく感じる」


「そうだね。私も神龍だったし、暇さえあれば話していたりしたよ」


「そういう所紅哉くんと瑠璃先輩のパートナーはいいなぁって思うよ。そうすれば私も人見知りしなかったかもしれないのに……」



レジャーシートに足を組んで小さくなる豊姫は結構気にしていたらしい。



「豊姫の人見知りは性根からだと思うが……」


「あー!ロッカーにビデオカメラ忘れてきちゃった!」


「そんなの持ってきていたのか?」


「夏休みの思い出だからね。こうやって紅くんと豊姫ちゃんと花火見れるのも―――」


「そんなことありません!また来れます!きっと!」


「豊姫ちゃん……」



紅哉は瑠璃の肩を叩くと立ち上がった。



「そうだぞ。悲観的に考えちゃいけない。勝ってまた来よう。俺達ならきっとまた来れる」


「ごめん、最近全然術式解読が進まなくて不安になってたの。ダメだよね、弱気になっちゃ」


「そんなうまく進むわけじゃないのは分かっている。俺だってニルとヴリトラのダブルユニゾンがうまく行かなくて苛立ったりする。きっと他の皆だって同じなはずだ。だから、同じ苦しみを皆で乗り越えてバハムートを討つんだ」


「そうですよ。楽な修行は修行じゃないです。苦しいからこそ乗り越えた時にレベルアップする事が出来るんです。一緒に頑張って行きましょう、瑠璃先輩」


「うん…!頑張ろうね!バハムート倒してまた3人で遊ぼうね!」


「あぁ、もちろんだ。ところで瑠璃、カメラは持ってこなくていいのか?花火まであと15分だが」


「あー!!持ってくる!ダッシュで!」


「人が多いですから気を付けてくださいねー!」


「はーい!ちょっと行ってくるね!」



瑠璃はサンダルを履くと更衣室まで走って行った。

人が多くて進みづらそうだが、彼女は戻って来れるだろうか。



「いや~眼福っす…」


「な、直人君あんまり見ないでよ…」


「何を今更恥ずかしがっているのですか。そして何故直人君は泣いているのですか」


「俺…この戦いが終わるまで見れないと思っていたからさ…」


「そ、そこまで見たかったんだ……変態だね…」


「はッ!?こ、この沸きあがる感情はなんっすか…!?」


「ど、どうしたの?」



美波に変態と言われた直人は驚愕した表情を浮かべて胸を手に当てる。



「み、美波ちゃん。良ければもう1回言ってくれないっすか…」


「え…な、何を…?直人君目が怖いよ…」


「変態直人君プールに落ちた方がいいですよ」



じりじりと美波に迫る直人を癒理はジト目になりながらプールへ蹴り飛ばした。

プールからすぐ上がって来た直人はその場に無言で正座すると瞑目した。



「すまん、なんか二人の水着見たら頭がおかしくなっていたっす。つか、癒理ちゃん胸大きすぎっすよ。着やせするタイプ―――痛いっす、すみませんでした」


「分かればいいんです。さ、アトラクション制覇していきましょうか」


「あれ?ここのアトラクション3人で乗れたっすか?」


「いえ、2人までですよ。だから、直人君は下で待つ形になりますね」


「そ、そんなあああああああ!!」



無慈悲に告げられる言葉に直人はがっくりと崩れ落ちた。



「美波、行きましょう。まずはあのウォータースライダーから」



癒理はそう言うと既にもうアトラクションの事しか頭に入っていないのか、すたすたと歩いて行ってしまった。

美波は崩れている直人を見ていられなくなったのか、肩を叩く。



「なんすか美波ちゃん……癒理ちゃんと早く遊んでくるといいっすよ…」


「あ、あのね直人君。そ、その………後で私でよければ一緒に乗ってあげるよ…?」


「…ッ!?ま、マジっすか!?俺張り切っちゃいますよ!?」


「わわ、直人君ちょっと怖いよ」



一瞬で立ち上がると直人は思わず美波の肩を掴んでしまっていた。



「じ、時間があったらだよ?」


「OKOKっすよ!1個くらい乗れれば俺はそれでいいっすから!ほら、癒理ちゃんが待っているから行ってくるっすよ!俺は二人の姿をカメラに収めておくっすから!」


「ええ!?いつの間に持ってきてたの!?」


「ん?売店で買ったっすよ。あぁ、もちろん悪用はしないっす!ただ二人の姿を収めるだけっすから!………これが夏休み最後の思い出になるかもしれないっすからね」


「直人君あの―――」


「早くしないとキレない癒理ちゃんがキレるっすよ」



直人は最後に美波にも聞こえるかどうか怪しい声でそう言うと、カメラを弄りながらスライダーの最終地点の所まで歩いて行った。

直人は本当にただ二人の姿を収めるだけなのだろう。



「直人君、私……」



美波は自分の胸に沸きあがる感情を確かに感じた。

だが、まだ彼女はそれが何なのか分からない。


美波はとりあえずその感情が何なのかおいておくと、癒理が待っているスライダーへ走って行った。



「美波、直人君と何を話していたのですか?」


「あぁ、えっと、直人君私達のことカメラで撮るんだって」


「ふむ………まぁ直人君は優しい人ですからね。本当に私たちの姿を思い出として撮るだけなのでしょう」


「だ、だよね!変な事に使ったりしないよね!」


「赤くなるくらいなら言わない方がいいのでしょうに……それに変な事ってなんですか?」


「ふえっ!?へ、変な事って、その……あの……」


「ふっ…まぁいいです。直人君は分かっているようですね」



顔を真っ赤にしてもじもじしている美波をこれ以上苛めるのは可哀想だと思った癒理は、話の話題を変える。



「何がですか?」


「この先の戦いで命を落とす可能性を」


「あ………」


「命を落とすのは私かもしれませんし、美波、直人君かもしれない。もちろん命を捨てたいとは思っていませんが、それでも戦場で人はあっさりと死んでしまう。本当に不注意、予想外の事によってどんなに強かろうと死ぬときは一瞬なんです」


「…………」


「美波、だから直人君はいつも明るく振舞って私たちを笑わせようとしたりしているんです。戦いという恐怖に怖気ついてしまわないように」



癒理と美波は人が滑って行くスライダーを見る。

その下では見えにくいが、カメラを首に下げた直人が見えた。



「友人として言っておきましょう。美波、私はあなたを出来る限り守りますが、守りは絶対ではない。もしかしたら戦いで命を落とすかもしれない。だから、直人君に何か言いたい事があるのなら言っておきなさい」


「癒理さん……」


「それと、今日はお祭りです。せっかく直人君が私たちを楽しませようとしているのですから、楽しんでいきましょう。誘った本人が辛気臭い顔をされたらたまったものじゃないですよ」


「……………うん!」


「いつもの美波に戻りましたね。やはりあなたは明るい表情がとても似合っている。私には到底出来ない表情です」



癒理は美波に微笑むと頭をポンポンと優しく撫でた。

それが美波には何故か紅哉と被って見えて思わず笑いが込み上げてきた。



「何を笑っているのですか?」


「ううん、何でもない!ほら、癒理さん!前空いたよ!」


「うまく逃げられたような気もしますが、まぁいいです。さ、まずは一つ目のアトラクションをクリアして行きますよ」


「は、速いよおおおお!!」


癒理と美波はスライダー用のソリに乗ると仲良くスライダーを滑って行った。

なんだか最近急にアクセス数が増えていまして、私何かやらかしたっけ…という意味が分からない状態になっています。

とても喜ばしいことなのですが、何故増えたのか分からないです。

私の作品は結構マイナーなところなのですがね………本当に検索かけない限り見つからないような、そんな底辺くらいの……あぁ、言っていて悲しくなってきました…。

えと、昨日のアクセス数は軽く4ケタ行っていまして、リアルで『なんじゃごりゃぁ!?』と叫んでしまいました。

なんでだろう……分からない限りです…。

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