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龍の血を引く者  作者: また太び
10章 龍族の侵略(続)
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紅哉の特訓

「こ、これが覇龍王バハムート……」



紅哉の後ろでニルとヴリトラはこうべを垂れていた。



「バハムート」


「分かっている。過去の私と渡り合う力を得るのだろう?貴様らの特訓相手は私だ」


「王直々にか。面白い」


「ふふふ、これで王の実力が見れるのね」


「ニル、ヴリトラ。貴様らの力を見てやろう。来るがいい」


「ガアァアアアッ!!!」


「ソニックブレス!!」



ニルが飛び出すと同時にヴリトラは肺から凄まじい超音波を吐き出した。



「ッ!や、やっぱりこの技は嫌いだ…!」



紅哉が余りの声に耳を防ぐと、ニルがバハムートの眼前に迫った。

ニルの拳は気流を起こした。

空気を切り裂きながら突き進む拳をバハムートは身構えずただじっと仁王立ちしているだけ。


ニルの拳がバハムートの顔を殴り飛ばそうとした瞬間、ニルとはけた違いのドラグシールドが現れてニルの攻撃を完全に防ぐ。



「まさかアタシのソニックブレスが!?」


「良いソニックブレスだ。だが、私の動きを封じるほどではないな」


「ニル!逃げて!」


「ぬぅ!拳が抜けんッ!」


「どれ、お手本を見せてやろう」


「紅哉君!こっちに!」



龍の遺伝子を解放した朱音は生身の人間が持てる速度より数倍速い速度で紅哉を抱きしめてバハムートの背後に回った。



「スゥゥゥウウウ――――――――ガアアアアアアアアアアアア――――!!!!!!」


「耳がッ!」



目が空けていられない程の突風と弾頭ミサイルが落ちたのではないかと思うほどの音響が紅哉を襲う。



「ニル、ヴリトラ。貴様らは良い邪龍だ。幼いながらも既に完成された龍戦士と言っても過言ではない。特にニル。貴様ならば龍神種と渡り合える力になっている。毎日欠かさず身を鍛えていたのがよく分かる拳だった」



片耳から鼓膜が破れて血を流す紅哉は片耳で何とかバハムートの言葉を聴き取った。

そしてバハムートが見つめる遥か先には仰向けで倒れているニルとヴリトラの姿があった。



「嘘だろ…?ニルとヴリトラが一発…?」


「私の最弱の技を耐えられないとは、貴様らこの星を救う気はあるのか?このままでは赤点だな」


「な、舐めるなァ…!」


「邪龍のしぶとさはあなたが一番よく知っているはずよ…!!」


「そうこなくては困る。まさか一発で終わりとは、こちらとしても困ってしまうのでな」



ニルとヴリトラは血を滴らせながら立ち上がった。



「だが、今度は紅哉の番だ。ニル、紅哉とユニゾンするがいい」


「アタシは休んでいればいいのね?」


「いや、ニルと紅哉がユニゾンした後貴様もユニゾンだ」


「え!?ダブルか!?そんなの聞いたことがないぞ!」


「前例はある」


「豊姫お母さん達によれば、お父さんはニルとヴリトラの2体同時にユニゾンしていたんだって」


「マジかよ……あ、でも、直人のハティとスコルの例があるから不可能ではないのか」


「そうだ。だが、あの犬狼は兄弟とも言える関係だからこそ何もなくともユニゾン出来たのだろう」


「アタシとニルは邪龍の中でも仲がいい程度だものね」


「うむ。心まで通じ合うかと言われれば微妙なところだな」


「とりあえずやってみせるがいい。私との特訓はそれからだ」



バハムートは少し下がると胡坐をかいて座った。

朱音もどこかに座ろうとするが、何も見つからずキョロキョロしているとバハムートが近くの丸太を切り裂いて簡単な椅子を作った。



「器用なんだな…アンタ」


「王は万物に精通しているのだ」


「マスター、とりあえずやってみるとしよう」


「そうね!アタシ達の仲を見せてやりましょう!」


「よし!行くぞ!ダブルユニゾン!」



紅哉の身体にまず黒い鱗で出来た鎧が現れる。



「………バハムート、どう?」


「駄目だな。意識がバラバラだ。ニルの意思が強すぎてヴリトラの力が薄まってしまっている。その他にもヴリトラはニルに道を譲りすぎてしまっているのも原因だ。あいつは龍の里では暴れん坊だったのだが、まさか紅哉と関わった事でここまで丸くなるとは」



そしてユニゾンは中断されてしまった。

鱗の鎧は黒い炎となって霧散していき、地面にはプスプスと焦げて目を回している紅哉と人間の姿のニルとヴリトラがいた。



「ありゃりゃ……これはかかりそうだね…」


「紅哉も紅哉だ。鎧を創るのは龍の役目だと思ってなすがままになっている。ニルとヴリトラの意思を操作するのも魔術師たるマスターの役目なのだが、何も分かっていない」



「あら、お兄様は面白いことをなさっているのね」


「あ、舞香ちゃん」



空間転移してきた舞香は優雅に朱音の隣に座った。



「あなたがバハムートなの?」


「そうだ。貴様は昔から姿が変わらん魔女だな」


「あら、好きでこの姿のままじゃないのよ?体内に埋め込まれたキューブのせいなのだから、魔女呼ばわりは酷いわ」


「舞香ちゃんの力の象徴だよね。そのエーテル増幅装置」


「お父様とお母様が生み出した世界で一つだけのものよ。この装置、何が使われているか知っている?パワースポットで取れる泉の水。一体誰が取って来たのでしょうね」



そして舞香と朱音の髪が風になびく。

どこから吹いた風かと言うと紅哉達だ。また失敗して盛大な爆発が起こったらしい。



「で、何をしているの?」


「ニルとヴリトラの同時ユニゾンだ。私の一撃を防ぐにはヴリトラの防御力が必要。だが、ヴリトラだけでは私に傷を付けることも出来ない。そこでニルを更に纏う事によって力を増幅させる」


「出来るのかしら」


「未来の紅哉は成功させている」


「凄いんだよお父さん!ヴリトラとニルをエヴォルトさせて纏えるんだよ!」


「あなた本当にお兄様LOVEなのね…」



舞香は半眼になって呆れると自分の兄を見る。

『もう1回だ』と気合を入れては爆発。もはやコントにしか思えないが、彼は何度も挑戦していた。

時々バハムートが指示を入れて試しているが、どうも気持ちが一つにならないらしい。



「ぐふッ!ま、また爆発か……今度はアイスが大好きで行こうと言ったではないか…」


「い、いや…俺そこまでアイス好きじゃないし…」


「ア、アタシもよ……どちらかと言うと飴がいいわ…」


「チームワーク最悪だな!おい!」



煤汚れた顔でニルは紅哉とヴリトラの頭をはたく。



「だってよォ……それはお前の好きなものだろう?どうも共感しづらいっていうか…」


「アタシも紅哉と同じだわ……飴なら文句なしなのに…」


「いや!そこはノリでも合わせておけよ!じゃないとまた爆発するではないか!」


「ん~……次はどうするか…」


「んじゃ、今度はアタシの番ね!瑠璃と豊姫の胸はどちらが大きいか!さぁ行くわよ!」


「ちょ、お前待て!」



―――――そして爆発が起こる。



「何故だマスター!瑠璃の方が圧倒的に大きいだろうが!」


「そうよ!何故庇うの!?あなた貧乳派なのかしら!?」


「ち、違う!!そもそもの話し!大きいとか小さいとかの問題じゃないだろがァアア!!何故そんな提案でユニゾンを成功させなきゃいけないんだ!!成功したら成功したで虚しいだろ!?」


「成功すれば皆一緒だろう。何を気にしている」


「そうよ。成功する事に意義があるのじゃない」


「あれ…俺が間違っているのか…?」



そして今のやりとりを朱音と舞香は遠い目をしながら見ていた。



「紅哉君……遊んでいるのかな…」


「お兄様だけじゃないわ、あのくそ邪龍も遊んでいるわ」


「先は長そうだな……」



覇龍王も呆れるほどだった。


いやー!やっと忙しい時期も終わり、私のsummervacationが来ましたよ!

あれ、私もう日にちに追われなくていいのかと思うと呆気ないものですね。


最近私の住む地域がどうも電波が悪く、小説を何度も投稿する羽目に………それもこの後書きも一度文字化けしてしまってますし……。

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