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龍の血を引く者  作者: また太び
10章 龍族の侵略
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朱音ちゃん8歳

そして次の朝、カケルの悲鳴が火神崎家に木霊した。



「な、何事ですか!?」


「何事です!」


「なによ……眠いんだけど…」



それは朱音の部屋からだった。

龍一、セレナ、舞香の順で朱音の部屋に入ると3人は絶句した。



「あ、朱音……さん…?」


「どういう事ですか…?


「え、なにこれどういうこと?」


「ん~……あれ…なんで私こんな所で寝ているの…?」


『ちッ!縮んでいるうううううううううううう!!!!!』



3人の声が更に火神崎家に響く。



「あれ……セレナさん…?龍一さん…?舞香叔母さんにカケルくん…?」



縮んでいた。

いや、年齢も若返っている。



「あ、朱音ちゃん…?ちなみに今何歳だ…?」


「なんでそんな事聞くの?私は8歳だよ?」


「あ~あ…」


「カケル!」



カケルは目を回して倒れてしまった。



「あれ?皆生きてる…?」


「朱音、あなた何も覚えてないの?」


「えっと……昨日は栞奈さんに稽古付けて貰って、豊姫お母さんのご飯食べて、寝たよ!」


「ダメだ…身体全体が若返っているわ…」


「いい朱音――――」



舞香は子供にも分かりやすいように今の状況を説明した。



「あ、知っているよ。私ニルとかの力使って過去に行け~って言われたもん」


「なら話は早いわね。今からお父さんとお母さんの元に行くわよ」


「わーい!おとーさんとおかあさんに会える!!」


「あ~あなんだか緊張感に欠けるわね…」



舞香はベッドから飛び上がった朱音を見ながら嘆息するのであった。




「瑠璃、豊姫、ちょっといいか」



携帯端末を耳から離した紅哉は朝ご飯を食べ終わってコーヒーを飲んでいた二人を呼んだ。



「な~に?紅くん」


「どうしたの?」


「セレナ達がもうすぐこっちに着くそうで、どうしても俺達に会わせたい人がいるらしい」


「え、誰だろ」


「誰だろう……」



その時紅哉の軽いトラウマとでも言うべきエンジン音が近づいてきた。



「まさかワイバーン来たのか!?」



紅哉は慌てて外へ出て行った。

瑠璃と豊姫も外に出ると巨大な翼龍が別荘に降り立った。


そして小さな影がワイバーンから飛び降りてこちらへ走って来た。



「おとーさーん!おかあさーん!豊姫おかあさーん!」


『えええ!?』


「ぐへッ!」



紅哉は腹部に強烈なタックルを受けて倒れ込んだ。



「だ、誰だ…!良いタックルするじゃねェか…」


「おとーさん!」



赤い髪をした綺麗な女の子だった。

何故この子は自分の事を父と呼ぶのか分からない。



「お兄様、その子朱音よ」


「ま、舞香?」


「オッス、お兄様」


「え?お前まさか感情が…?」



腕を組みながら歩いてきた舞香はにっこりと笑って見せた。



「うわァ…うッ…ま、舞香ァ…!」


「おとーさん泣いてるの?」



朱音に倒されたまま腕で顔を覆って泣く紅哉に遅れて瑠璃と豊姫も泣きだしてしまった。



「舞香ちゃん良かったよおおお!」


「うわッ!抱きつくな!は、鼻水出てるじゃない!」


「舞香さああああん!!」


「と、豊姫も!?ちょっと重いわ!」



セレナは佐鳥を見ると彼女は歯を見せてニシシと笑うのであった。



「あら、ニル泣いているの?」


「うるさい」



上の部屋から一部始終を見ていたニルはヴリトラに顔を見られないようにそっぽを向いて無言でゲームをしていた。



「今日は修行はなしね。皆心緩み切っているわ」


「仕方ないだろう。舞香と朱音の帰還だ。見ろ、クロフィードとか大泣きしながら舞香を胴上げしてるぞ」


「そうね。皆幸せそうだわ」


「そうだな」



皆にもみくちゃにされている舞香を遠目で紅哉と瑠璃と豊姫と朱音は見ていた。

朱音は先ほどから瑠璃の腰に抱きついており、瑠璃はどうすればいいのか困っていた。



「ねぇ、ニル」


「なんだ」


「なんで朱音は小さいのかしら」


「……なに?オレの耳がおかしくなったか?今小さくなったとかどうのこうの」


「ええ、何故か分からないけれど、朱音小さいわね」



ニルは目を白黒させて瞬きを繰り返していた。



「ねーおとーさんあそぼ~!」


「あ、あぁ……」


「おかあさんもー!」


「う、うんそうだね…」


「豊姫おかあさんもー!」


「え?わ、私も?」



紅哉たちとそして――――



「自分!浅野カケルと申します!どうぞよろしくお願いします!」


「お、お前さんがセレナの息子なのか…?」



軍人さながらの声を上げるとクロフィードが戸惑いながらカケルに尋ねた。

カケルは懐かしそうにしてから肩の力を抜くと『そうだよ、爺さん』と言った。



「俺の孫か……」


「それじゃ、私もそうなるのね」


「うん、俺はちゃんと四条家の血を引いている」


「自分でも戸惑っていますけどね。まさか未来で龍一さんとけ、けけ結婚する事になるなんて…」



滅多に恥ずかしがらないセレナが顔を赤らめてモジモジしていた。



「あははは、僕も驚いていますよ。まさかセレナさんと婚約者になっていたとは」


「でも俺、爺さんや母上の顔はあんま覚えてないんだ。11歳でいなくなっちまったからな」



遠い目をするカケルにセレナ達は何と声をかければいいのか分からなくなってしまった。



「あ、やべ、そんなシンミリさせるつもりはなかったんだ。俺はホント嬉しいよ。過去の時代とは言えこうして母上たちに会えた。未来では守られていたが、今度は俺が家族を守る番だ」


「言うものですね。では、明日あなたのお手並み拝見と行きますよ」


「おお!母上と手合せか!嬉しいぜ!」



カケルは目を輝かせてセレナの手合せを喜んだ。



「お兄様話が―――」


「舞香叔母さーん!おとーさん達遊んでくれないのー!」


「叔母ッ!?叔母さんですって!?」


「ふえ……なんで怒るの…?」


「ご、ごめんなさい。ちょっと驚いただけよ」



紅哉の背中に隠れてしまった朱音は少し涙目だ。



「紅哉、まさかその子が…」



「あ、あぁ……どうやら俺と瑠璃の子供らしい…」


「まぁまぁ!朱音ちゃんでしたっけ?お婆ちゃんの所においで」


「お婆ちゃん!」


「元気がいいね。あら、昔の舞香そっくりだわ」



朱音は直海の事を知っているのか、紅哉から離れて直海の胸に飛び込んだ。



「えっと……紅くんと私の子供があの朱音さんだった…と」


「ええ、そうよ。カケルがあげる薬の量間違えちゃったの。それで体型も何もかも幼児化しちゃってね」


「あはは、紅哉と瑠璃さんの子供か。いやぁ、遂に僕もお爺ちゃんになっちゃったんだね」



雅文は朱音の頭を撫でると紅哉を見た。



「確かこの子は紅哉の家のメイドさんだったよね」


「最近まではそうだったんだが、まさか未来の自分の娘だったとはな…」


「映像では見てたんだけど、いざ現実になると戸惑っちゃうね」



瑠璃は直海と遊ぶ朱音を見てそう呟いた。



「でも、可愛いなぁ……紅哉くんと瑠璃先輩の娘かぁ…私の娘は来れなかったんだ」


「それにもちゃんと理由はあるわよ」



落ち込んだ豊姫に舞香が理由を話す。

舞香が言うのは、とても大昔に神々と龍が争う戦争があったらしい。

そこで劣勢となった龍たちは、バハムートが隠していた宝具を使い時間跳躍として様々な時代に龍を飛ばしたらしい。

それが神話に出てくるリヴァイアサンだったりファーヴニルだったわけだ。


一度時間跳躍を行った龍は体内に時間を超えた跡が残され、それをパートナーとした紅哉達龍人にも刻み込まれているらしい。



「刻み込まれているってどこだよ?」


「それはパートナーと契約した証である紋章によ」



紅哉の右肩に大きな翼を広げた黒龍の紋様。そして背中に炎を纏う紫の龍。

瑠璃の腰にはとぐろを巻く白き龍。舞香は首筋に3つ首の青き龍。それぞれに時間跳躍の跡が刻まれ、それが時間跳躍できる条件だと言う。



「でも、本物の龍でしか時間跳躍出来ないそうなのだけれど、朱音はお兄様と瑠璃という龍人を親に持って生まれてきた。その結果龍の遺伝子が濃くなり龍としての力を持ちつつ、人間の姿をした本物の龍人として誕生した彼女は見事跳躍する事に成功した」


「安心していい。朱音ちゃんは人間だ。ただ龍の遺伝子を強く受け継いだだけ」


「お前が……」


「どうも。浅野カケルと言います」



四条家を連れてカケルが現れた。



「では、何故俺は過去に来ることが出来たのか。答えは簡単です」



カケルは服を脱ぐと、そこには白くなっているがニル、リア、神龍、ヴリトラの紋様が浮かんでいた。



「神の遺産で紅哉さん、瑠璃さん、舞香さんの血を飲んでも拒絶反応が起こらないようにした結果こうなりました」


「そう、カケルは朱音のガードマンとして自分の身体を犠牲にしてまで朱音を守るために過去へ飛んだのよ」


「母上が紅哉さんと舞香さんのガードマンであったように俺は朱音ちゃんのガードマンです。命をかけるのにこれ以上の理由はありません」



カケルは脱いだ服を着ると舞香に話を続けるよう言った。



「もうここまで話したら分かるわよね。豊姫の娘である火神崎理沙は龍の遺伝子が足らなかった。時間跳躍が出来るのは朱音とカケルだけ。分かったかしら」


「そうだったんだ……」


「おとーさん!」



抱っこ、と手を伸ばす朱音を紅哉は抱き上げた。

小さい。未来の自分はこんな娘と豊姫を置いて死んでしまったのだろうか。

なんて情けない。全然幸せにしてやれていないじゃないか。



「朱音さん―――いや、朱音。今幸せか?」


「うん!おとーさんもおかあさんもいる!みーんないるの!」



その言葉にこの場のカケルと舞香以外の全員が凍りついた。

一体未来では何があったのだろうか、と。


きゃっきゃと紅哉に抱っこされて喜んでいる朱音の笑顔は無邪気だった。

自分が死んだあとこの子は何度泣いたのだろう。



「俺、絶対死なないからなッ!ずっとお前のお父さんでいてやるからッ!」


「紅くん……うん、私もずっと朱音のお母さんだからね」


「おとーさんとおかあさん泣き虫―!」



紅哉の言っている事が分からない朱音は紅哉と瑠璃が泣いているのを見て笑った。


来ましたよょぅι゛ょ!っと申し訳ない。

えーとまぁ、やっと紅哉君の悲願である舞香の感情が戻ったという報告イベントが起こりましたね。

彼ら30分くらい舞香を胴上げしてましたから。すんません、そこの描写省いちゃってますね。

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