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龍の血を引く者  作者: また太び
10章 龍族の侵略
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3人の到着

「あれ、紅くんだ」



自分の部屋に戻ろうとしていた二人の視界の奥に階段を下りて行く紅哉とニルの姿が見えた。



「ニルもいましたね」



二人は何となくその後を追って1階に行くと、誰かと電話をしている紅哉の姿があった。



「あぁ、今から行くよ。それじゃ、少し待っていてくれ」


「紅くん誰と電話していたの?」


「ん?今話していたのは玲奈だよ。着いたから迎えに来てほしいってさ」



通話を終えた紅哉に話しかけると、どうやら玲奈と電話をしていたらしい。



「直海との話しが長引きそうなら俺一人で行く予定だったんだが、二人とも行くか?」


「行く行く!久しぶりに玲奈ちゃんと会える!」


「私も行こうかな」


「よし、行くか」



玲奈が待っているのは駅らしい。

3人は駅に向けて歩いていると、その途中で目を疑う人物と遭遇した。



「あ、あんたは…ッ!?」


「あら、良い所に来たわね」


「し、師匠……?」


「え……?封印指定魔術師…?」



こんな暑さの中でも童話に出て来るような黒紫のドレスを着た女性が3人の前に現れた。

それは瑠璃の師匠である影宮アーデルトだった。

紅哉達は身構えると、アーデルトは首を横に振る。



「私は戦いに来たわけじゃないわ。むしろ助けに来たのよ」


「どういう事だ」


「少し前かしら。アメリカで舞香と会ってね。瑠璃を助けて欲しいって言われたのよ」


「え……私?」


「あなた、永久幻術を覚えるつもりなのよね。舞香から一度成功させたって聞いた時は驚いたけれど、あの子が嘘をつくような子じゃない事は分かっているわ」


「でも、なんでだ?何故瑠璃に力を貸してくれるんだ?今まで瑠璃に手助けなんかしなかったじゃないか」


「疑問に思うのは当然ね。でも、対価はちゃんといただいたわよ?」


「対価……?」



豊姫が尋ねるとアーデルトは面白そうに頷いた。



「あの子が頭を下げたのよ」


「あの子って舞香が…?」


「ええ、私も驚いたわ。感情など皆無のような子が私に頭を下げて瑠璃を助けてって言ったの」


「舞香ちゃん……」


「あなた、未来の自分から永久幻術を完成させる理論を貰ったのよね?」


「は、はい……」


「でも、今のあなたじゃ絶対に理解出来ない術式でしょう?」


「……はい………私の知識じゃ理解出来ない術式でして…」


「私なら読めると思うわ。でも、私は理解出来ても使う事は出来ない」


「なんでだ?理解出来れば習得できるものじゃないのか?」


「あれは魔法よ?本当に限られた者にしか使えない禁忌の術なの。つまり私なんかより瑠璃の方が潜在能力的に上回っているということなのよ」



アーデルトは下らなそうに吐き捨てた。



「舞香から頭を下げられた以上絶対に理解してもらうわよ。紅哉、まだあなたの別荘の部屋に空きがあるわよね?」


「あ、あぁ。まだあるぞ」


「なら借りるわよ。それじゃあね~」



日傘をくるくると回しながらアーデルトは紅哉達の横を通り過ぎて行った。

アーデルトの登場に3人は終始固まったままだった。

固まった理由は、驚きと圧倒的な魔術師としての格上。舞香のエーテルとは全く違う溢れ出るエーテルは死を孕んでいた。



「ふぅ……封印指定魔術師ってここまで強いものなのか…」


「動けなかった……舞香さんのは慣れたけど、ここまで格上だなんて…」


「アーデルトさんのパートナーはハーデス……死神の長だから動けなくて当然だよ」


「恐怖で動けなかったのか……恐ろしい人だ」



いつの間にか拳を握っている事に気付いた紅哉は、手の平を広げると汗がじっとりと滲んでいた。

豊姫も額に大粒の汗が滲んでいる。


3人はしばらくその場を動くことが出来なかった。

ひぐらしの声がやけにうるさく聞こえた。




「紅哉さーん!!」


「玲奈、久しぶりだ―――」


「って何抱きつこうとしてるのかな!」


「ぐふッ!?る、瑠璃ちゃんもいたんだね……おかしい…電話では紅哉さんしか来ないはずじゃ…」



駅に着くと、キャリーケースを持った玲奈と美雪が待ってた。

玲奈は紅哉の姿を見るなり荷物を置いて紅哉に抱きつこうとしたが、彼の後ろにいた瑠璃が玲奈を叩き落とす。


アスファルトと熱いキス(物理的に)をした玲奈は顔を上げる。

そこには『紅くんは絶対に渡さない』と言いたげな瑠璃の姿があった。



「紅哉さん、お久しぶりです」


「美雪ちゃんもよく来てくれたよ。ホント美雪ちゃんがいないとこの二人の喧嘩が止まらないからな」


「あはは……ダメな姉ですみません。あれ?そちらの方は?」


「あ、私は三原豊姫って言います」


「あぁ!あなたが天馬の豊姫さんでしたか!姉から話は聞いていますよ」


「わ、私はそこまでの者じゃ…」


「謙遜することはないですよ」



ちなみに紅哉達が話している最中後ろでは、既に玲奈と瑠璃は喧嘩を始めている。



「おっと、豊姫には紹介はまだだったな。この子は刀條美雪。玲奈の妹だ」


「巫女としてはまだまだ見習いですが、精一杯皆さんの修行を手伝わせていただきます」


「よろしくね、美雪ちゃん」


「はい!よろしくです!」


「さてと……自己紹介も済んだことだし……あいつらの喧嘩を止めるか」


「マスター、金をくれ」



今まで無言だったニルが突然金を出せと紅哉の服を引っ張る。



「なんでだ?何かあ―――――――ってアイスかよ!」


「あぁ…あれはおいしそうだ」



ニルが指差す先には屋台販売をしているアイスがあった。

全国チェーン店フォーティーンワン。期間限定でお好きなアイスを4段重ねにしてくれるニルが好むアイス屋さんだ。



「な!いいだろ!?」


「分かったよ……なら、皆の分も買うか」


「あ、お金なら自分の出しますよ!」


「いいっていいって。ここまで長かっただろ?だから、せめてのお礼だ。それにあそこの喧嘩を止めるのに必要な武器だ」


「紅哉くんありがとね」


「おう!それじゃ買いに行くか。美雪ちゃん、玲奈の好みが分からないから選んでくれるか?俺は瑠璃の選ぶからさ」


「はい!ふふふ、何食べようかな~」



前を歩くニル、豊姫、美雪の表情は笑顔だった。

それを見た紅哉は『やっぱり甘いものは皆好きなんだな』と思うのであった。


次話からは特訓の日々になると思われますが、話の展開を考えていないどうもまた太びです。

どうにでもなれー!の勢いで書いていますが、皆さんの評価はどうなのでしょうね………ほとんど自分の都合で書いているこの龍者ですが、キャラが多いとなかなか活躍が難しくなるのは当然ですね。

だから、外伝という形で日の目を見ていないキャラにスポットを当てて行こうと思っています。皆さんのコメントやメールをお待ちしています……気軽に言ってください!

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