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龍の血を引く者  作者: また太び
外伝シリーズ
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外伝 氷山の奇跡5


「回復したらすぐにこの山を出て行って…」


「そういうわけにも行かないんだよな……実は依頼を受けていて、お得意さんだから失敗もしたくもないし…」


「何が必要なの…?」


「この山の頂上にある氷龍の鱗だとか。まぁ、と言ってもただの氷なんだけど、なんでもその氷は一生溶けないとか」


「ダメ……それはダメ…」


「え?」


「頂上には絶対に行けない……ここの山の主が怒る…」


「山の主……?」


「うん…とっても強い…多分あなたでも敵わない」


「そんなに強いのか。でも、やってみなきゃ分からないだろ?」


「あなた死んじゃう……そんな弱ってる身体じゃ絶対に無理…」


「大分回復してきたんだけどなァ……」


「ならここを出た方がいい…」



と、こんな不毛な争いを30分くらい繰り広げた所で紅哉が先に折れた。



「分かった。ここでもう少し休んだら出て行くよ。ニルが出せないんじゃ帰り道が怖いからな」


「それでいい……龍はここに来るべきじゃない…」



紅哉は布団にくるまると、もう一眠りすることにした。



リアは己の力をフルに使って雪坂をスノーボードのように滑るのではなく、昇っていた。



「ニルの力の反応は…………あそこですね」



ニルの力を微弱ながら感じたリアは、速度を上げて一気に一軒の山小屋へ近づく。



「まさか本当にここに来るまで1日かかるとは思いませんでした」



リアが山小屋へ入ろうとした瞬間、凄まじい殺気を感じて後ろへ飛びのいた。

すると、先ほどまでリアのいた位置に氷の刃が刺さっているではないか。



「敵…!」


「去りなさい……ここは人がきていい場所ではない…」


「この感じ……」


「去らないと言うのであれば……殺す!」



今はそれよりも目の前に集中するべきだとリアは判断した。

氷でできた長い爪を振るう少女は、確実にこちらを生かすつもりはないようだ。



「仕方がありませんね。ニヴルヘイム!!」



リアの目が青く光ると、辺りは強烈なブリザードに包まれ始めた。

氷風は身体に当たる度に寒いではなく、痛みに変わり、そして凍って行く。

リアは正直相手の行動を封じることが出来ればいいと思った。


しかし、その考えは甘かったのだ。



「まさかこの状況で動けるのですか!?」


「そんな風……私には通じない…!」



少女はこの-100℃の世界でも何ら変わらない動きをし、リアに襲い掛かってくる。



「むしろ使わせてもらう…」



少女の身体に冷気が集まりだした。

それはやがて氷と変わり、少女の背中に氷の翼が生え、頭には龍の思わせる角、そして長く美しい龍の尾が生えた。



「やはりあなたも龍族ですか。どうりで私の冷気が効かないわけです」


「も?あなたは龍族なの…?」


「ん?あなたは私から発せられる龍のオーラを感じないのですか?」


「うん……ちょっと事情があって龍の力を封じられている…」



少女は相手が龍だと分かったのか、氷の翼などを解除し、山小屋へ入って行ってしまった。



「入っていい…ということなのでしょうか」



リアは少女の後に続くと、そこには寝ている紅哉の姿があった。



「紅哉!無事でしたか!」


「今は身体が弱っているから寝ている……もう少ししたらパートナーを出せるくらいまで回復するって言っていた……」


「あなたが紅哉を助けてくれたのですね。ありがとうございます」


「私はこの人を偶然見つけただけ……」


「それでも助けていただいたことには変わりはありません。我が主に変わり礼を申し上げます」


「………あなたは龍族なの…?」


「はい、冥龍王リヴァイアサンです。身体が大きいため、この場所で顕現するわけには行きませんが」


「そう……私はあなたほど有名な龍じゃないから………名前もない…」


「そういうことでしたか」



そこでリアは疑問に思ったことがあった。

リアのニヴルヘイムに耐えれる力を持っているのだろう、と。

ニルでさえ、力を使わねばリアの氷結に対抗できない。それが全く無名の龍に防げるはずがない。

氷結系等に属する龍という事は分かった。確かにあの系統の龍は氷に対する耐性があるが、それでもリアの力を完全に防げるとは思わない。


水龍なら納得が行く。

しかし、先ほど彼女が見せた力の片鱗には翼があった。

それから予測するに彼女は恐らく龍人種か翼龍種だろう。

それならば、尚更納得が行かなかった。龍人種と翼龍種に防げるほどリアの力は甘くはないのだが。



「あなたは龍人種ですか?」


「うん……あなたは水龍種でしょう?」


「ええ、水が大好きな種族です」



リアは混乱した。

この龍の正体が全く分からない。ここは他の龍に聞いてみることにするのが一番だと判断する。



『この少女の正体が分からない』


『我もだ。こやつからは全く龍のオーラが感じん』


『おかしいわねぇ……臭いで大体分かるものなのだけれど………龍人種なら、あなた分からないの?』


『わからねぇ……リアのブリザードを感じない奴だろ?んなやつオレたちの里にいたか?』


『もう少し力を見せれば分かるかもしれませんね』


『今は様子見と行くべきだろう』


『そうね。今は変に刺激しないで紅哉が無事なのを喜びましょう』


『ニルが起きれば何か分かるかもしれねぇぜ?それまで大人しくしている方面でいいんじゃねぇの?』


『分かりました』



3体の龍の意見もまとまった事でリアの視界は現実に戻る。

少女は紅哉の傍に行くと、そこに座ってずっと彼を見ていた。



「この人…頂上にある氷龍の鱗を取りに来たんだってね…」


「ええ、知っていますよ。彼は私の主の兄ですからね」


「あぁ……あなたがそうなのね………彼が言っていたよ、あなたの主は怖いって」


「ん?何故ですか?」


「無言の威圧が怖いとか…」



リアは『なるほど…』としか言えなかった。

確かに舞香は喋らず、感情も表に出せない子だ。しかし、だからと言って兄に重圧をかけるような事をする子に見えるだろうか。



「あなたはどうするの…?この人を持って帰ってくれると嬉しいんだけど…」


「そうは行きませんね。紅哉が依頼を放棄するというのであれば、私が動くまでです」


「そう……あなたなら勝てるかもね……私はこの人を見てるから行ってらっしゃい…」


「紅哉をよろしく頼みます」



一瞬だけ少女の身体から殺気が放たれた気がしたが、リアは気にせず山小屋を出て行った。


ん~何も書くことがありませんね!w

あ、いつの間にか投稿した話の数が100を超えていましたね。いつの間にこんなにあげたんだろう…と思っていたりしますが、よくこれだけ続いたもんだなと自分でも感心しています。

見てくださっている方には本当に感謝以外の言葉がありません!これからもよろしくお願いします!

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