外伝 氷山の奇跡2
『お兄ちゃん一緒にあそぼ!』
『妹と遊ぶ』『いや、今日はあいつとの約束があったはず』
「悩みどころ……………とりあえずセーブ…」
その頃舞香は自室でゲームをやっていた。
それを見守るリアは何かの異変を感じた。
「……?」
「どうしたのリア……?」
身体を丸めて寝ていたリアが立ち上がり、キョロキョロと周りを見渡し始めたのだ。
それに気付いた舞香は、ヘッドフォンを外してリアへ尋ねてみた。
「いえ…………私の勘違いのようです。何でもありません。主はそのままゲームをお続けください」
「ん…」
深く尋ねない舞香は再びゲームに戻り、部屋の中にはマウスをクリックする音と舞香のヘッドフォンから漏れてくるゲームの音だけが響いた。
そんな彼女を見たリアは、主に気付かれないようにそっと部屋を出て行った。
部屋を出たリアは人間の姿になるなり、目を閉じる。
『ヴリトラ、聞こえていますか』
『何かしら?あなたからアタシに話しかけてくるなんて珍しいじゃない』
『ニルの視界を見てみてください』
『はい?まぁいいけど…………………真っ暗よ?霊体化しているんじゃないかしら』
『気のせいでしょうか………ニルのエーテルが消滅した気がしたのですが…』
『冗談じゃないわよね?』
『私が冗談を言う龍に見えますか』
『見えないわね。あなたの勘はアタシ達より優れているわ。もし、もしよ?もしあなたの言っていることが本当ならば、紅哉の命が危ないわ。あの子、確か個人依頼を受けたのよね?場所は分かるの?』
『ええ、確か高山に向かったそうです。場所は大体分かりますが、ここから少し遠いですね』
『アタシたちは飛べないからねぇ………どうしたものかしら』
『まだ紅哉が危ないと決まったわけではありませんが、少し心配です』
『舞香には話したの?』
『いえ、主にはまだ言っていません。何でも詰んでいるゲームをこの3連休を使って終わらせるとかだそうで、真剣にゲームをしておられます』
『舞香も舞香ねぇ……あなた一人で解決するつもり?』
『今のところはそのつもりです。こんな確証もない事に我が主の手を煩わせるわけには行きません。兄の事となれば詰んでいるゲームなど置いて助けに行くに決まっています。もしそんな事になれば、来月のゲーム発売ラッシュまでに詰みゲーを終わらせることなど不可能になってしまいます。ここは私が動くべきです』
『呆れた………それで、さっきの話に戻るけど、どうやって山まで行くのかしら』
『それが一番の問題です。ここは都市、あなたの得意な地中潜りも出来ませんし、私も身体が大きいため顕現する事も出来ない』
『話は聞いたぞ、リアよ』
『ダハーカ……何か案があるのですか?』
『うむ。お前は水龍だろう?それに海の水はどこからくる?』
『ッ!山!東京湾から山に繋がる川を探せば!』
『そういうことだ。さぁ、行くがよい』
『感謝します、邪龍王』
『礼には及ばぬ』
リアは目を開けると、早歩きで火神崎家の廊下を歩いて行った。
「ありゃ?あれはリアちゃん?人間の姿でどこに行く気だろう?」
窓ふきをしていた朱音は、外に出て行くリアを見ていた。
「リアちゃんが舞香ちゃんの傍を離れることは珍しいなァ………何かただ事じゃない予感」
朱音はバケツに雑巾を入れると、走って掃除道具を片づけに行く。
「ごめん!これ片づけておいて!あたしちょっとやらないといけない事が出来ちゃった!」
「え?ええ!?」
「今度限定スイーツ買ってあげるから!それじゃ!」
「えええ!?龍一さんに怒られても知らないですよー!!」
朱音は片づけるよりも、預けた方が早いと判断し、メイドへ掃除道具を預けると走り出した。
「ゲオルギウス、リアちゃんの様子がおかしいね」
『あぁ、何かあったと見るべきだ。追いつけるか?』
「余裕!!」
朱音は2階のベランダから飛び降りると、そのまま先に行ったリアを追う。
彼女のエーテルはよく分かる。何故なら、自分も同じ力を持っているから。
ザッザッザ――――!
吹雪も大分収まって来た雪山に一人の少女が雪に埋もれている少年を発見した。
「……人間…………このままじゃ死んじゃう………運ばないと」
長い髪は雪原のような銀髪には薄く青みかかっており、右目は青く、左目は前髪で隠れてしまっている。
小学生を思わせる小柄な身体に似合わず少女は、雪に埋もれている少年を引き上げると、よいしょと背負い山を下り始めた。
近々新作を出すかなァ…と思いつつあります。どうも、また太びです。
新しいのを書いていると、この龍者の登場人物の扱いやすさにびっくりします。
真面目?な主人公と安定のクラス委員長ヒロインと明るいヒロイン。そしてそれを盛り上げていく熱血系の友人。
あとは周りを彩る圧倒的女の子の多さがテンプレなのかなァと思いますね。
熱血系の主人公って私的にはなかなか扱いずらく、余り続かないんですよね。だからこういう少し真面目系な主人公が動かしやすくて毎回使用しているわけなんです。




