番外編1 「レイモンド、子育てで本当に死ぬほど苦労する」
王都の朝。
鳥の声が聞こえ、柔らかな光が差し込む。
だが──
「レイモンドぉぉぉぉぉぉ!!」
篝の叫びが響いた。
「はい!? 何が!?」
「この子、また壁を砕きました!!」
「嘘だろ!?」
レイモンドは走って駆けつける。
そこには──
**壁に拳大の穴を開けて笑っている赤ん坊** がいた。
「……誰に似たんだ……?」
「あなたです」
「俺じゃない!!」
篝はため息をついた。
「昨日、私の父が“赤ん坊の握力を鍛える方法”とか言って、
魔獣の角を握らせてたんです」
「剛志さん……!!」
レイモンドは頭を抱えた。
(この子……絶対に将来、王都の地形変える……)
そして、その日の夜
「ほら、寝るんだ……寝るんだ……」
レイモンドは赤ん坊を抱きながら、
庭をぐるぐる歩き回っていた。
篝は心配そうに見守る。
「レイモンド様、もう一時間歩いてますよ……」
「この子、寝ないと魔力が暴走するんだ……
昨日も庭の木が一本消えた……」
「……うちの子、強いですね」
「強いじゃない!! 危険なんだよ!!」
赤ん坊はキャッキャと笑い、
レイモンドの髪を引っ張った。
「いだだだだだ!! 握力強すぎ!!」
普通の貴族は乳母が面倒を見るが物理が強すぎて、乳母に任せられない。
(……俺の新婚生活……どこ……?)




