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魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。  作者: 暁真
第二.五部 魔法少女の劇場版って話。
42/51

限定フォーム登場は最大の見せ場って話。


「着いた!」

「うわぁ如何にも何か出そうな……」

「出そうというか実際居るんだよね……そのエキドナってのが」

「襲われたりとかはしませんよね……?」

「大丈夫大丈夫、私が居るから。私が居なかったら多分問答無用で襲われてる」

「聞く耳なし!?」

「いえ、タルタロスから逃亡してきたのなら寧ろ納得しかありません。我々のデバイスは全て彼方から奪ってきたものですから」

「そういやそうだった……」


 海が割れてできた道を駆け抜け、少し息を切らしながら小島の下にあった洞窟へ。普段海に沈んでるにしてはだいぶ乾いている感じで……もしかして沈んでるんじゃなくて何か扉でも閉まってるんだろうか。


「もうちょっとしたらすっごい開けた場所に出るから。そこにエキドナが居る」

「開けた……やはりだいぶ大きいのですね、エキドナは」

「私が頭に乗れるくらいには」

「……乗った?」

「うん、一回乗せてもらった。凄い高さだったなぁ」

最適化(フォーマット)されているとはいえだいぶ無茶をしたな君は……』

「まあ落ちても痛いだけだし」

「いや怖いでしょ普通に」

「考えたくない……」


 昔からジェットコースターとかそういう系の絶叫アトラクション苦手だし私には絶対無理……ってそんな事考えてる場合じゃない。莉亜さん達が時間を稼いでくれてる間に急がないと。


「……此処だよ」

「ようやく……うん?」

「なんか、思ってたのと……」

「だいぶ、違いますね……」


 なんて言ってるうちに着いたらしく、目の前に広がるのはぽっかり空いた穴……という訳でもなく。


『周辺一帯が作り替えられているのか?これではまるで……』

「工場みたいだよね。実際機獣(ヘカトンケイル)を作る機能の一部はこっちに移してるみたい」

「じゃあ下手すれば……」

「一瞬にして大量の機獣(ヘカトンケイル)を相手にする事になる、と」

「物凄い怖くなるような事言わないでくれるかなぁ!?」

「怖くなるというか失敗したらそうなる可能性も充分あるよファウヌス」


 失敗は許されない。二美さんが仲介してくれる以上どうにかなりはするだろうけど……万が一は、ある。


「エキドナ、来たよ。さっさと顔見せなって」

『……』

「地下から高エネルギー反応……来るぞ」

「っ……」


 テルスさんの報告と同時、地下から吹き上がる風を感じる。そよ風を通り越して最早突風って感じで……相当大きいのは察した。まともに話ができればいいんだけど。


『……ツグミ』

「うん、私だよ。この子達は私の友達」


 そうして飛び上がってきた機獣(ヘカトンケイル)は……


『……トモダチ?』

「で、でっか……」

「想像の3倍くらいあったんだけど」

「簡単に踏み潰されてしまいそうですね……」


 とにかく、デカかった。全長何メートルあるんだろう……って,あれ。


「シルウィアさん?」

「……あなた、は」

『ナンデ、コイツラガ、トモダチ?』

「なんでって……友達な事に理由とかないよ」

『ワカラナイ、コイツラハ……』

「なぜ……」


 何処か驚いたというよりは少し怯えているような様子だ、こんなシルウィアさんは初めて見た。何がどうして……


「ティフォンに、酷似しているのですか……!?」

『ティフォンノ、ナカマダ』

「……え?」


 ……なんて?








設定再編(リライト)!」

「何をするかと思えば……!」


 確かに魔力の高まりは凄まじい、だが時空加速(クロノアクセル)の負担が消えた訳ではない。すぐに勝負は付く……!


「もういっちょ行こう、設定再編(リライト)!」

「小細工など……っ!」

「そう、小細工。でもその小細工が重要なんだ」


 確実に直撃するよう放った薙ぎ払いが軽く受け止められた。おかしい、今の奴にそこまでの体力は残っていない筈……!


「君は今不思議に思っているだろう?「何故先程まで瀕死だったのに今ピンピンしてるのか」、「後見切るのがやっとだった攻撃を受け止められたのか」」

「関係ないことだ……!」

「楽しい種明かしの時間だ、君が望もうが望むまいがページは捲られる!」


 続く連撃、袈裟、逆袈裟、真向、その全てが軽く弾かれる。一体どういうカラクリだ、あの本が影響している事は間違いないが……!


『勿体ぶらないでよお姉ちゃん!』

「分かってる、メアリー・スーノートには自分の状態を望んだ通りに改変する能力があるんだ。文字通り、何でもね」

「……まさか」

「そう、察しがいい、ねっ!」

「っ!」


 差し込まれた拳をかろうじて受け流す。先程までの彼女にこんなキレはない、ましてや話しながらなんて余裕も。なら行き着く先は……


『1度目の設定再編(リライト)はお姉ちゃんの疲労を無かった事にして』

「2度目の設定再編(リライト)で私はこの加速する世界に完全に適応した。もう此処で戦い続けても頭が痛むことはない」

「自己再生……?面倒な」

「正確には存在の書き換えなんだけど……まあいいか、重要なのはこれで君を抑え切れるって事。私の勝利条件は勝つ事じゃない、ただ時間を稼げればいい」

「……」


 さっき彼女は連続であの呪文(アーツ)を行使していた。考えるに制限などは存在しないのだろう。このまま愚直に戦っても最早此方が消耗する一方だ、だが此処で時間凍結(クロノフリーズ)を切ればエキドナに学習されるのではないか?私の目的はエキドナであり彼女達の始末では……


「今のうちだね…… 設定再編(リライト)!」

「チイッ!」


 ……判断を間違えた、温存している暇はなさそうだ。先程より速度の増した拳をどうにか弾き、これ以上展開し続けても此方が消耗するだけの時空加速(クロノアクセル)を解除。やはり此処で切るしか……ない。


「前に使った時は大雑把でも改変できたんだけどあれは状況が状況だったからなのかなぁ……ちょっと条件詰めないと改変できなくなっちゃったのか」

『あの時は私が作った世界だったからなんでもできただけ。でも今も頼りになるでしょ?』

「それもそうだね、設定再編(リライト)!」


 何かと呑気に話しているうちに彼女と繋がる魔力のラインを探し出し強引に引き剥がす。これでシンクロは途切れた、仕留められる……!


「……終わらせる」

「それはこっちの台詞だよ。私達は終わらせるのが仕事だからね、いつまでも続けてちゃダメなんだ」

「……」


 さらさら挑発に乗る気はない。飛びかかるフリをして……


時間凍結(クロノフリーズ)(フルカウント)


解放(リリース)


 時を、止める。あの姿になる前にチャージを終わらせておいたのは不幸中の幸いだ、この時間で再生される前に「やっぱり止められるんだね、時間」……っ!?


「何故動けるっ!」

「さっきそうできるように設定再編(リライト)した。時間を操る能力の奥義は時間停止と相場が決まってるからね」

「滅茶苦茶を!」

「今の私は理想の存在(メアリー・スー)、望めばどんな事もできる。それが面白いか面白くないかはともかくとして」

「チイッ!」


 これでは先程と何も変わらない、それに時間凍結(クロノフリーズ)は自分の意思で途中解除は不可能……無駄に消耗を重ねるだけだ。


「けどさ、それを面白いようにしてみせるのが創作者の妙ってものだよ」

「お前は……お前は、何者だっ!」

「今更必要かな?でも一応しておこうか。私は魔道士(マギスター)パンドラ」


 理解ができない、あれは法則という定義から外れた……


「誰かに夢と希望を届ける、創作者(ストーリーテラー)さ!」


 怪物……!










『……ティフォンハ、フウインサレルチョクゼン、ミズカラノイチブヲキリハナシタ』

「切り離すって……」

「トカゲの尻尾みたいな?」

『ソレハヒトノカタチトナリ、ホンタイヲフッカツサセルタメ、カツドウヲカイシシタ』

「それが、タルタロス内部に居ると?」

『ソウダ、ワタシハソレニツクラレタ』

「……何の、ために?」


 ……二美さんのとりなしでどうにか誤解は解けたみたい、一触即発だった雰囲気はひとまずどうにかなった。ただどうしてこんな事をしたのか気になってとりあえずエキドナの事情を聞く事に。初っ端とんでもない事を話されて滅茶苦茶驚いているのはどうにか顔に出さないようにできてる筈。


『モチロンティフォンフッカツノタメ。ソシテ……ワタシハモシモノトキノスペア』

「スペア?」

『ワタシノナカニハティフォンノイチブガクミコマレテイル。ワタシヲツクッタアイツハモシモノトキニワタシトユウゴウシ、アラタナティフォントナルテハズダッタ』

「そんな事が……」

『デキル、ソシテティフォンノマリョクハキョウメイスル。ダカラワカル、ココニハアイツガイル』

「……そのティフォンの分体については、覚えているのですか?」

『オボエテイル、ダガ、ヤツハスガタヲカエラレル。キオクハタヨリニナラナイ』

「うわぁ面倒な」

『私のデータにはないな……隠蔽されていたか、そもそも気づかれていなかったか』

「つまり貴方が強行手段に出たのはティフォンの分体を排除するため、と」

『ソウダ、ソシテソノデバイスハタルタロスノモノ……ナカマトオモッテコウゲキシテシマッタ、スマナイ』

「いやまあ仕方ないでしょ。エキドナはこっちがタルタロスからデバイス盗ってきたなんて知らなかったんだし」


 話してみると意外とエキドナは落ち着いてて結構理路整然としてた。いやまあ機械なんだし寧ろ慌てていたらおかしいか、二美さんの言ってたぐずるってのがよくわかんなかったけど。


『……ケド、マダソイツハココニイル。ドウニカスルマデ、クロノアンカーハカイジョデキナイ』

「駄目かぁ……そいつの場所はわかるの?」

『ジャミングガヒドイ、ワタシガタイサクシタヨウニ、アチラモバレナイヨウニサイクシタヨウダ』

「そっかぁ……うーん、うーん……」


 つまりそのティフォンの分体をどうにかすればエキドナはこの結界を解除してくれる、と。でも場所がわからない以上手当たり次第探すしかない、かなり時間がかかりそうな……


「……決めた。まずは弍乃を連れ戻してこよう。皆居た方が早く終わる」

「連れ戻すって……」

「勝てるんですか?」

「勝てなくていいよ。要は元に戻せればいいんだから抑える事だけ考えればいい。皆は此処で待ってて、狼奈達がまだ戦ってるだろうしもしもの時のために「だったら私も行かせてくれませんか」……三葉ちゃん?」


 ……最適を取るなら莉亜さん達と二美さんに任せて待っていた方がいいんだろう。


 けど。


「私達だって弍乃さんを取り戻したいんです、自分も何かできるかもしれないっていうのに任せっきりなんて……それは嫌です!」

「……ふふっ、弍乃は良い後輩を持ったなぁ。多分煙たがってたんだろうけど」

「あ、わかります?」

「うわやっぱり。あの子押しに弱いからさ、グイグイ来るタイプ苦手なんだよね。んじゃまあ決まり……あれ、全員来るの?」

「んー、万が一もあるし私は残るよ。何のために分かれたのかって話だし」

「ボクも同意見。一番脅威なのはティフォンって奴なんだし」

「行きたい気持ちはやまやまですが……2人に任せます」

「弍乃さんも大事ですが……今守るべきはエキドナさんです。任せていいでしょうか?」

「うん、もっちろん!それじゃあ行くよ、三葉ちゃん!」

「はい!ちょっと待っててね皆!」

転移(ワープ)はそちらに任せた方がいいか、二美?』

「そうだね、じゃあ手、握って」

「わ、分かりました」


 エキドナさんの事は皆に任せ、二美さんの手を握り覚悟を決める。


「それじゃあ、行くよ……!」

「っ……!」


 少し頭がぐわんってなると同時に一瞬周囲が吸い込まれるように真っ白になって。


「到着……っ、大丈夫狼奈!?」

「なんとか、な……というか、なんでこっち、いやがる……」

「目的達成したから飛んで帰ってきた!状況は!?」


 戻ってきた場所では莉亜さん以外の4人が倒れ伏していた。弍乃さんにやられたんだろう……あれ、じゃあ莉亜さんは?


「……パンドラなら、彼処よ」

「彼処って……っ、弍乃さん!」

『完全に拮抗……いや、パンドラが若干押しているのか?』

「うわぁすっげぇゴシックで煌びやか。究極フォームと見た」

「この状況で随分と呑気やな……あんた……」


 灰音さんの指差した先では莉亜さん……パンドラと弍乃さんが目にも止まらない速度で格闘の応酬を繰り広げていた。少なくともパンドラが押されてる訳ではない……なら、行ける。


「加勢しましょう、二美さん」

「言われずとも……あ、使い方は分かるから安心してね。いっそ一緒に名乗っちゃう?」

「思いつかないのでまた今度に」

「ありゃ残念……よし緊張解れた、行こう」


 2人でデバイスを取り出し、構え。


「「装神(アームド)詠唱(コール)!」」


「ユノ!」

「モネタ!」


 詠唱。


「やっぱりさぁ、これ2年前に欲しかったなー私!」


 装神(マキアライズ)しながら軽口を叩く二美さんにこの人は弍乃さんと一緒の時もずっとこうだったんだろうなぁと何処か安心して並び立つ。


「変身完了!名乗りは……思いついた!」


「刻むは記憶、示すは救済!魔道士(マギスター)ウェスタ・モネタ!」


 さあ、弍乃さんを取り戻しに行こう。

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