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魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。  作者: 暁真
第二.五部 魔法少女の劇場版って話。
40/51

ハプニングが順調に解決する訳はないって話。

「私があの子と会ったのは……1年前。2年生になってすぐ……引っ越して半年くらい」


 ちょっと駆け足気味で歩を進めながら皆で二美さんの話を静聴する。変身していれば早いのだけど弍乃さんが居る以上機獣(ヘカトンケイル)に襲われる心配のない今はなるべく力を温存しておこうって事になった。万が一挟み撃ちなんてされたらたまったもんじゃないし。


「確か思いつきで砂浜を限界まで歩いてみようってやったんだよね。ほら、私身体能力凄いことになってるからどれだけ走っても息切れしないんだよ。今から全力ダッシュしても多分大丈夫」

「それは私たちが追いつけないからやめてくれるかな」

「そりゃそう、だからこうして早歩き程度なんだよっと……時間はあるとはいえ本題さっさと話さないとね。確か砂浜の途中に妙に窪んだ場所があってさ、試しに拳を撃ち込んでみたの」

「展開が少年漫画やな……」

「試しにでやる事かなぁそれ?」

「にゃはは、子供が砂山作るみたいなもんだよ。んでやってみたら……なんか道が出てきてさぁ、乗り込んでみたら先にあの子……エキドナが居たって訳」


 行動力の化身というかなんというか……凄い人だ。普通そういうのって一度引き返すものだと思う。


「んー……あ、そうだ。ねえ三葉ちゃん、テルス持ってるんでしょ?」

「はい、今は解析に集中してますけど」

「なら……よいしょ、と」


 歩きながら二美さんはデバイスを開き、ちょっと目を閉じて集中して……


『!?』

「テルスさん!?解析は!?」

『唐突に位置情報を送られて一時中断だ……二美、君がやったな?』

「あったりー、おひさテルス。手間省けたでしょ?」

『相変わらず君は滅茶苦茶だな……』

 

 それが終わったかと思えばテルスさんが戻ってきた。一体何したのこの人?


「私の記憶から位置情報をデバイスに移せるんじゃないかなーって思ったらできたし、それができるなら他のデバイスに転送もできるよねって。呪文(アーツ)は突拍子もない事以外大体なんでも行けると思ったら大正解」

転送(トランスポート)の拡大解釈、それを一瞬で……」

「なんか私達が番号打ち込んで呪文(アーツ)撃ってるのが馬鹿らしくなってくるね……」

『その分適合者も限られるデバイス……だったのだがな。その限られた適合者が偶然この世界に居たのはとんでもない偶然だった』

「運命の出会いって奴じゃないかな、ほら、私がこれを手に入れたのは弍乃と……待って」

「二美さん?」

「弍乃は今何処に居るの?テルスを三葉ちゃんが持ってるってことは今弍乃は変身できない訳で、そうなると単独行動するにしたってだいぶ危険で……」

「……」

「え、何その沈黙。私何かまずい事言った?」

「それについてはこっちから説明する。事情は聞いてるからな」

「狼奈?」


 そういえばここまで一度も二美さんの前で弍乃さんの話をしていなかった。どう切り出そうかと考えていたところで狼奈さんの助け船はかなりありがたい。


「すっげぇ雑にいえば……今弍乃は敵だ。間違いなくな」

「……ああ、そういうこと。やったんだね、あいつら」

「元に戻す事はできます、ですが……」

「分かってる。弍乃は強いからね、もの凄く。少なくとも君たちなら止めるのに5人は必要」

「そこまで?」

「そこまで、だって私と戦った時覚悟を決める前ですらほぼ互角だったんだもん。迷いのない弍乃には私だって勝てない」

「さらっと闇が深い事言いますね……」


 ……狼奈さんの話を聞いた瞬間さっきまでのおちゃらけぶりが嘘のように声色を変えた。二美さんも一度弍乃さんと同じようなことになってる分余計他人事だとは思えないのだろう、よく見れば目も据わっている。


「とりあえずテルス、場所は分かったでしょ。最悪私と逸れても辿り着ける筈、まあ私が居ないと話にならないからなるべくないようにするけど」

『ああ……だが二美、肝心な事を聞いていない』

「何?」

『エキドナとはそもそもなんだ?機獣(ヘカトンケイル)の生成プラントのように見えたが、君はあれを自我を持つ何かとして扱っていた。君は何を知っている?』

「さあね、少なくとも私はあの子が機獣(ヘカトンケイル)ってことと、タルタロスから逃げてきたってことしか事情は知らない。そしてそんな事はどうでもいいでしょ?大事なのは私とあの子が友達ってことだけ」

機獣(ヘカトンケイル)だって!?」

「そう、私の知る限り唯一自我を持ってる子。案外話してみると可愛いよ?親に甘える子供みたいで」

「それ可愛いのベクトルが違う気が……」


 さらっととんでもない事実を投下してくるなぁこの人。しかも駆け足中に涼しい顔で言ってくるし。


「ともかく今はエキドナと話をする事が先決。分かってくれればこんな事はやめてくれる、話終わったしもうちょっと早くしても……」

『ああ、急ぎ……待て』

「テルス?」

『……全員構えろ、クロノデバイスの反応だ、近い』

「っ!?」

「もう!?さっきゲートの位置は遠かったんでしょ!?」

「いえ、弍乃さんなら……あり得ない話ではない」


 ……話を大体聞いていざ行かん、ってところにこれだ。相変わらずあの人はタイミングが良い、今回は私達にとって最悪だけど。


「面倒な事になったなぁ。今の弍乃はタルタロスのメンバーなんでしょ?間違ってもエキドナに接触させちゃいけないし、戦うにしても早くエキドナの所行かないと異変は元に戻らないし……」

「だったら簡単な手段があるわ」

「はへ?」


 まだエキドナとやらの居場所までは時間がかかる、弍乃さんを接触させる訳にはいかず、かといって弍乃さんに全リソースを集中しても後に差し支える……そんな事を考えていたら莉亜さんたちが唐突に立ち止まった。


「ははっ、まあこうなると思ってたわ」

「一度言ってみたかったんですよこれ!」

「知り合いと戦うのはメンタルに随分来るだろうからな、まあアタシたちがやるのが筋ってもんだ」

「ええ、お涙頂戴の悲劇は舞台の上だけで充分なのよ」

「皆さん……?」

「まあ、ありきたりな言葉になるけど……」



「此処は私達に任せて先に行け、ってこと。君たちはエキドナって子を優先して」

「あーっ!ズルいですよ莉亜さん!それ私が言いたかった!」

「喧しいわ茨乃!カッコよく締めたのが台無しやろがい!」

「まあ何処か締まらないのがアタシたちだろ……そういうわけだ二美、それと後輩共。心配しなくても後から追いつく」


 ……莉亜さん達は振り返るなんて事はなく、ただ全員で一点を見据えている。弍乃さんの強さを知っている身としては助太刀に入りたい所だけど……


「……分かった。行こう皆、ちょっと急ぐよ」

「大丈夫、なんですか?全員で相手した方が……」

「弍乃だけならそれが最適解かもね。けど放置してたらエキドナは多分ぐずり始めるし、何より狼奈達もこの世界を守ってきた魔導士(マギスター)だよ?下手に横槍入れるのは無粋だって、コンビネーションも乱れるだろうしね」

「まあボク達は出会って数時間程度だもんね、なら組み慣れてる人達だけの方がやりやすい」

「託されたのですからエキドナって方を優先しましょう、私達に、できる事を」

「うん、手分けしてやった方がいいもんね。案内お願い二美さん」

『私の方にも共有はされている。最悪の場合二手に分かれても構わん』

「だから私が居ないとダメなんだっての……じゃあそういう事で任せたよ、皆!」

「サイン会、楽しみにしていますから!」


 気にかける方が無粋だと思ってエールを送るに留め、視線を直して二美さんの後を追う。お互いにできる事を、早く終わらせるために。



 ……後、サイン会は本当に、楽しみだから!










「……行ったな」

「ああ、それと同時に来たみたいや」

「いやぁやってみたかったんですよねこれ、世間一般的には死亡フラグって奴ですけど」

「不穏な事を言うものじゃないわ、言霊はバカにできないのよ?」

「それと私達は勝つために戦うんじゃない。託すため……そして、救うために戦うんだ」

「そうだな……来たぞ」




「……此処に居て、私から視線を離さない。つまり……私の邪魔をしに来た者達?」

「そういうこった……やっぱ胸糞悪りぃな、弍乃の欠片もねぇ」

「やっぱりタルタロスって奴らは人の心とかないみたいやなぁ……後輩達に戦わせられへんわ」

「闇堕ちってのは元に戻るから許される展開です、だから……やりますよ!」

「その濁った瞳を元の綺麗な物に戻してあげるわ、一宮弍乃」

「……君達も、私を知っている?」

「うん、狼奈と共に戦った戦士として……そして、あの子達の頼れる先輩として。だから、助けるよ」

「……時間が惜しい、早く終わらせる」

「それはできない相談やなぁ……行くで皆!」


限定認証(リミットコード)


「「「「「ライターズノート!」」」」」


「レガシー!」

「フェアリーテイル!」

「オデッセイ!」

「ロマンス!」

「ミュージカル」


「「「「「執筆準備(スタンバイ)!」」」」」


「ユスティア」


「「「「「執筆開始(ライティング)!」」」」」


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