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魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。  作者: 暁真
第二.五部 魔法少女の劇場版って話。
39/51

味方が増えると話が急ピッチで進むよねって話。


「さーてまずは一回大人しくさせなくちゃね、そう言う訳でファイアーッ!」

「詠唱無しで呪文(アーツ)……そういう仕組みなのかな、あの携帯は」

「はい、そして……それを一番使いこなせるのは、あの人です」

「というかさらっと飛ばないでよ、浮遊(フロート)ボク達まだ使いこなせてないんだけど」

「魔法少女ってのは飛んでレーザーを放つものでしょっ!」

「言ってできたら苦労しません……」


 着身(マギアライズ)するや否や早速空中へ飛び上がり、群がる機獣(ヘカトンケイル)にレーザーの弾幕を掃射。お気楽そうにしている割には射撃は正確無比で踏んできた場数の違いを見せられているような、そんな感じ。


「というか無駄に数が多くないっ!?張り切りすぎでしょもうっ!」

「ついでにいえば倒しても倒してもおかわりだ、キリがないぜ全く!」

「まあそれに関しては考えあるから任せて!」

「それは信じていいのかしら?」

「7割くらいは!」

「微妙に不安になる数値やな!?」


 空中を自由自在に飛びながら爆発しないよう狙い撃ち、それが片手間であるかのように冗談混じりの会話を飛ばす……これが、弍乃さんの相棒。

 

「とりあえず一斉に爆発したら抑え切れないし時間差でお願いねっ!」

「いえ、5人分の結界(プロテクト)で抑えきれます!構いません!」

「んーわかった!それじゃあ頼んだ……よっ!」


 此方が結界(プロテクト)の準備をしている間に二美さん……ウェスタはレーザーを意思があるかのように捻じ曲げ、拡散させてコアを撃ち抜いて。


「それじゃあドカンと行くからよろしく!」

「はい!皆さんっ!」

「分かってる!」

「数が数だから不安だけど!」

「できない道理はありません!」


 タイミングよく結界(プロテクト)を展開。相当な数の同時爆発で少し罅が入った気がするけど……これで被害は最小限に抑えきれたはず。けど……


『また反応だ、次が来るぞ!』

「ほんとキリがないね……対応できない事はないけどこのまま行くと先に魔力が切れる」

「本当にどうにかなるんだろうな二美!?」

「分かってる分かってる、だから……」


 またゲートから追加で降ってこようとしている。何やら止める手段があるような言い方だったけど、まさか限界強化(オーバーマキシム)でもするつもりじゃ……


「よいしょっと……」


 なんて思ってたけど唐突にウェスタは空中で静止して、深呼吸して。




「エキドナァァァァァァ!!!!!」

「……へ?」

「聞こえてるんでしょ!?もう一体全体なにやってんのさ!街壊すし女の子怖がらせるしついでにスマホまともに使えないし!何か気に障った事でもあった!?」

「……え、ええっと……」

「どうもこの騒動の主犯と知り合いみたいだね、彼女」

「そんな事ある?」


 ゲートを見据えながら大声で叫び始めた。何を確信しているのかはわからないけど、穏便に解決しようとしているのは伝わる。エキドナ、っていうのがこの騒動の黒幕なのだろう、きっと。


「少なくともこの子達は何もしなきゃ君に危害加えることはないよ、私が保証する!だから一旦これやめて話をしよう!そっち行くからさ!」

「説得というか……」

「子供をあやす親みたいな……」

「すっごい対応手慣れてんなぁ……過去にも何回かあったんちゃうかこれ?」

「そもそも私だって一時的とはいえタルタロスに所属してたし!それはそれこれはこれでしょぉぉぉぉぉ!!!!!」

「その事実をさらっと流していいの……?」


 なんというか破天荒というか……陽気に見えて色々と割り切れる図太さのある人だ。あの弍乃さんの手綱を握ってたようなものだしそれはそうなんだろうけどこうして実際目にするとまあこの人じゃないと相方は務まらないよなぁって……あれ?


「ゲートが……」

「閉じていく……」

「嘘でしょ……ほんとに説得できたの……?」

「案外こういう説得の方が効果あるのかもね、正論は人を幸せにしないと言うし」

「あいつらしいというか……なんつうか……」


 本当に投下直前だった機獣(ヘカトンケイル)達が引っ込み、上空に開いていたゲートが徐々に閉じていく。ひとまずは話を聞いてくれたようだけど……正直謎が増えるばかりだ。


「よし、閉じた!」

「よしちゃうわ!?説明をせえ説明を!さっきはドタバタしてたからそんな暇なかっただけで本当に引っ込んでくれたんならこの時間で事情を把握させぇや!」

「わーおせっかち。いやそれはそうなんだけど……っと」

「街が直っていく……」

「……やっぱ自動詠唱ってズルくない?」


 無事説得を終えたウェスタはふわりと地面に降り立ち変身解除ついでに街の修復。敵にするとあそこまで脅威だった自動詠唱、味方になってくれるのなら頼もしいなんてレベルじゃない。このままずっと一緒に戦ってくれないかなって思っちゃうけど……それは、ダメなんだろうな。


「まあまずは自己紹介から始めない?私は君達の事狼奈しか知らないし、明らかに変身アイテム違うから君達もそうだと思う。そこら辺のたまたま一緒になった他人とまともな連携取れるわけないしね」

「そうだね、こうして一緒に戦うことになった訳だしやっておこう。皆もそれでいい?」

「構わないわ、寧ろ必要じゃないかしら」

「クロスオーバー作品特有の自己紹介パートですね!昔やったなぁ懐かしい」

「相変わらず作家目線で発言がメタいなぁ……」

「しゃーなしや、ウチらは魔導士(マギスター)である以前に創作者やからな。堪忍してな」

「それじゃあ……いや本当に大丈夫なんですよね?」

「エキドナは結構聞き分けがいい子だから大丈夫だって。それじゃあ私から」


 どうも二美さんはそのエキドナって存在と随分親しいらしい。だったらなんでこうなったかとかも分かるのかな?


「私は十窯(とがま)二美(つぐみ)、ついさっきまで元魔導士(マギスター)ウェスタだったけど後輩ちゃん達のお陰で無事現場復帰できました、ありがとうね」

「素手であのメカどもをぶっ飛ばしてたくせによく言うぜ」

「色々あって身体能力凄くなったんだよね、具体的に言えば十種競技は全部男子世界記録超えれる」

「その色々をさらっと流せるものなんですね……」

「まあ過ぎたことだし」


 ……いやそれ流していいの?


「じゃあ先輩順、ということにしようかな。狼奈」

「ったく……巾崎(はばさき)狼奈(ろうな)魔導士(マギスター)レッドフードだ。いつもは高校生やりながら児童書を書いてる」

「私は……もう知ってるだろうけど城野(しろの)莉亜(りあ)、んでもって魔導士(マギスター)パンドラ。歴史や神話体系を元にした小説を書いてる」

「この流れは先にウチらか。古見(ふるみ)獅音(しおん)や、魔導士(マギスター)オズやらせてもらってるで、改めてよろしゅうに」

久留米(くるめ)茨乃(しの)魔導士(マギスター)ブライアです!獅音とコンビで漫画家やらせてもらってます!」

「ちなウチがストーリー担当で茨乃が作画やで」

「それは今いる情報なのかしら?……(はしばみ)灰音(はいね)魔導士(マギスター)サンドリヨンよ。舞台脚本を主に手掛けているわ」


 先に莉亜さん達の自己紹介。多分皆見たことはあるんだろうけどPNじゃなくて本名だからピンときてないパターンな気がする。


「じゃあ次は私達ですね。狐梟(こきょう)三葉(みつば)魔導士(マギスター)ミネルヴァです。この街には二美さんを探して」

月村(つきむら)紗七(さな)魔導士(マギスター)ディアナだよ。よろしくね先輩達」

豊穣(ほうじょう)八雲(やくも)魔導士(マギスター)ケレス。多分三葉達の保護者枠だと思う、後リュックの中のこいつはファウヌスっていう別世界の妖精」

「ねえこんな時も扱い雑なの僕?」

「持ち芸じゃん」

「そんな持ち芸を持った覚えはないよ!?」


 いや、ファウヌスはだいぶそれが芸になってると思う。


「あはは…… 泡瀬(あわせ)五葵(いつき)魔導士(マギスター)ウェヌスです。正直先輩方に挨拶するのは少し恐れ多いですが……」

「上司に挨拶回りするわけでもないし気軽に行きましょう五葵さん。私はシルウィア・ウヌス。魔導士(マギスター)ユピテルです、別世界……ケイオスの住人です」

「はへえ、異世界の住民でもあんたみたいな純人間がおるんやな……」

「寧ろ他の世界は違うのですね?」

「まあ私達もメルコニアしか知らないのでなんとも言えませんけど」

「ミネルヴァ……ディアナ……ローマ12神?って事はあのエキドナっていうのは……」

「莉亜さん?」

「あー、ちょっとほっといてくれ。こいつは筋金入りの神話オタクでな、何か関連付いちまうとすぐこれだ」

「は、ははあ……」


 自己紹介したら莉亜さんが考え込みはじめてしまった。創作者は自分だけの世界を現実に広げられるって話をどこかで聞いたけどあれがそうなんだろうか?


「よし自己紹介終わり!それじゃああの子……エキドナの所まで行こうか」

「いや待ちぃや、説明をせえと言うとるんやさっきから」

「それなら歩きながらでもできるでしょ?皆さっさとこの異変を終わらせたい訳だしマルチタスクの方がいいと思うけど」

「まあ妥当だな、歩いていけるのか?」

「大体こっからだと……私基準で30分くらい?」

「じゃあ一般基準は」

「1時間くらい」

「ほなマルチタスクできるかぁ……じゃないわ!あんたどんだけ鍛えてんねん!?」

「鍛えたというかある意味ドーピングというか……」

「十種競技記録なしどころか失格やないかい!」


 ……息を吐くように天然混じりの発言が飛び出してくる。凄いな、この人。


「んじゃあ歩きながら話そうか。あの子について、さ」


 さっきの話ぶりからタルタロスとなんらかの関係があるのは確かなんだろう、それがわかればどうにか説得もできるだろうし……しっかり聞いておかなくちゃ。










「エキドナ?」

『そう、最近バッカスが資料を漁ってるのを見てこっそりサルベージしてみたけど……まさかこんなものがあったなんて』

「なるほど道理で聞き覚えがなかった訳だ、送れるか?」

『いやぁきついかな。通信はジャミングかけてるからこうして誤魔化せてるけど資料の添付まですると流石にアシが付く。口頭になっちゃうけど許してねウルカ……エンネア』

「構わん、それと危険があるならウルカヌスのままでいいメルクリウス。こういう時のためのコードネームだ」

『そうだね、じゃあ行くよ』


『自立機動防衛兵器機獣(ヘカトンケイル)第一号機エキドナ。対ティフォンを想定して製造された正真正銘最初の個体。最大の特徴はティフォンから採取した細胞をベースにした魔力機関を搭載している事、それとそこから発展した機獣(ヘカトンケイル)の製造機能。人工知能を搭載する事で製造の自己判断をできるようにして状況に応じた個体を生産する……って感じだったんだろうね』

「対……ティフォン?」

『そ、当時はロムルス博士主導の魔導士(マギスター)計画もあったけど……レムス博士が居なかったから呪文(アーツ)関連の機構が若干遅れててね、それで手遅れになってはアレだと立ち上げられたプロジェクト、それが機獣(ヘカトンケイル)。どっちもティフォン復活に備えた戦力増加を目的としてるけどアプローチが違うってことだね』

「しかしそれならなぜエキドナの資料は廃棄された?」

『それがさぁ……どうも人工知能が暴走したっぽいんだよね、これ』

「暴走だと?」

『そう。5年の月日をかけて製造されたエキドナは完璧だった。ティフォンの時間遡行(リバース)を封じるための機構、時間結界のご先祖さま時空輪廻(クロノアンカー)。ティフォンを元にした巨体と耐久性。小型中型含め機獣(ヘカトンケイル)を量産できる製造機能、そしてそれを十全に運用できる人工知能……けど、完璧すぎたのかな?エキドナの人工知能はタルタロスの制御下におけなくなってしまったみたい』

「シンギュラリティ、か」

『そうだね、結果として何らかの要因でエキドナは暴走。と言っても大暴れしたとかじゃなくて……自分で他の世界に繋がるゲートを開いて逃亡しちゃったみたい』

「なるほど、事情は理解した……だが、何故今更バッカスはその資料を?」

『また製造する気なのか……もしくは逃亡したエキドナを見つけたのか。でも今更回収したところで素直に従ってくれる訳がなさそうだしどうなんだろ』

「まあバッカスがそれを探している、という事実が手に入っただけで十分だ。感謝するぞメルクリウス」

『ありがと……にしてもいいの?』

「何がだ?」

『私が内通者だって共有しておかないの。そもそも君が記憶を取り戻したのはユノがユピテルに使った呪文(アーツ)を私が行使したからなのに』

「切れるカードは温存しておくべきだ。まあシルウィア辺りは気付いているかもしれんがな。潜航(ダイブ)追憶(リコレクション)を自分に使おうものなら自己があやふやになって廃人と化す恐れがあるのだから」

『だよねぇ……まあ君のお陰で私も本来の記憶戻ってる訳だし、仕掛けるなら言ってよ。準備はしておくから』

「ああ、頼んだぞ……本来のタルタロスを、平和を守る機関を取り戻すために、な」

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