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魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。  作者: 暁真
第二.五部 魔法少女の劇場版って話。
38/51

映画キャラの登場は印象的であるべきって話。


「皆っ!」

「いい感じに全員集合だね」


 女の子を送り届けた莉亜さんと無事合流し、どうにかデバイスで連絡を取り合って集合。開けた交差点に人も車も気配はなくて、街の人は大体避難できたんだろうと分かりほっと一息。


「いやぁ後輩達が連絡手段持ってて助かったぜ、スマホ繋がんねぇしな」

「こういう閉鎖空間じゃ通信手段の無効化はテンプレやからなぁ……」

「一人一人やられていくか最後に全員集合がパターンですよね、こうやって早めに集まれたのは良い誤算です!」

「チックとタックも居ないし貴方達が居てくれてよかったわ」

「そうだこの人たち全員作家だった……」


 やけに会話がメタいなぁと思ったけど莉亜さんの仲間達は全員作家だったのを思い出して納得、全員が作家で魔導士(マギスター)なんて凄い偶然……いや、逆なんだろうな、多分。


「ひとまず状況を整理しよう」

「街の外に出れないのは確認した、時間結界と同じで壁ができてる」

「ただ時間は普通に進んでる、やっぱりそのものじゃないみたい」

「ゲートは一旦落ち着いたみたいですけど……いつまた開くか」

「戦力を逐次投入しているのも気になる所です、此方を分析しているような……少なくともタルタロスのやり方ではない」

「なんというか適当にやってたのがある程度狙いを定めてきた、みたいな感じだよねこれ」


 やっぱりこれはタルタロスではなく別の何かが原因、だけどそれなら機獣(ヘカトンケイル)を投下している事はどう解釈すればいいのか分からない。此方を狙って投下してきている以上敵である事は確かだし、何がなんだか……ってそうだ。


「……それと皆」

「どうしたの?」

『私から説明しよう……単刀直入に言えばクロノデバイスの反応を検知した』

「!」

「って事は……」

「弍乃さんが!?」

「……なあお嬢ちゃん、今弍乃って言ったか?」

「はい、弍乃さんが……この街に居ます」

「弍乃って二美ちゃんの友達の?」

「そうだ、なんでこの街に居るのかはしらねぇが……居るんだったらとっとと二美に会ってやれっての」

「……」

「どうした?」

「大丈夫です、こっちの話です」

「いや話せよ、そうやって言葉濁すのは大抵後で碌なことにならねぇって相場が決まってるんだ」

「一種のフラグだね」

「いやフィクションじゃないですし……」

「いいから話した方がええで。黙っとくと大抵碌なことにならんのが世の中っちゅうもんや」

「……はい」


 実際私も皆に色々と抱えてたこと黙ってたせいで大変なことになったし……話しておくべきなんだろうな、多分。


「実はその、今の弍乃さんは、弍乃さんであって弍乃さんじゃなくて……」

「どういう事?」

『要約すれば一宮弍乃と定義される人間は一宮弍乃であった頃の記憶を失っている。そしてついでに言えば……現在彼女は我々の敵だ、認めたくない事にな』

「……ハッ、そういうことか。胸糞悪い真似しやがって」

「そっちの相手は随分と非道い手段を使ってるみたいやな……人の心とかなさそうな事しおって」

「で、その弍乃って子がこの街に居るのね?」

「はい。間違いないです、ゲートの場所と同じ位置に……」

「……もしかして」

「シルウィアさん?」


 弍乃さんの現状を共有していたらシルウィアさんが突然考え込み始めた。今の話に何か引っ掛かる所でもあったのだろうか?


「三葉さん、テルス。クロノデバイスの反応は新たなゲートと同じ位置で検知された。これは間違いありませんね?」

「はい、行こうとしたらテルスさんが……」

『わざわざ離れた場所に開いたのが謎だったがな……待て』

「テルスさんも……」


 二人して何かに気付いた様子だ……悪い事じゃなければいいんだけど。


「ええ、つまりゲートの作成者。推定この現象の発生源は……」



「『少なくともデバイスの反応を常時把握している』」


「……それ、まずくないですか?」

「相手からは僕達がどう動くか全部見えてるって事?まずくない?」

「黒幕を探しに行こうとしてもずっと逃げられるって訳だしな……何か対策とかあるのか?」

「デバイスを使用しなければ検知される事も無いはずです。ですが機獣(ヘカトンケイル)がいつ投下されるかわからない以上着身(マギアライズ)を解除する訳にも……」

「……私達じゃ絶対に無理って事かぁ」

「かと言って莉亜さん達に頼む訳にもいかないし……うーん」


 ちまちまと戦力を投下してる辺り今回の黒幕はバッカスと違って結構臆病なんだろう。ただでさえ後手に回ってる以上どうにかして居場所を突き止めなきゃなんだけど……この様子だとかなり困難だ。


「そもそも何が目的なんだろうね。街を丸ごと隔離して、倒せる保証もないのに戦力の逐次投下なんて真似をして」

「消耗させるにしてもやり方が雑ですよね。とりあえず追っ払えばいいって訳でもないし」

「ボク達を狙ってるのは確かなんだろうけど……」

「情報収集、という線はないかしら?これはあくまで事前段階に過ぎない気がするわ」


 弍乃さんが居た場所にも機獣(ヘカトンケイル)を投下している事を考えると敵はタルタロスではない。考えれば考える程謎が深まるばかりだ、どうすれば……


「一旦全員で集まって動くっちゅうのはどうや?この状況で一番マズイのは分断されて各個撃破、どうせ居場所もバレてんやし打開策が見つかるまで散らばるのは寧ろ危険やろ?」

「それに異論はありませんが……」

「手がかりが何もないのがなぁ」


 現状八方塞がり、辿り着くための情報が何一つない。せめて敵の詳細でもわかればまだいいんだけど……


『……!』

「テルス?」

『我々が頭を悩ませているというのにあちらはお構いなしのようだな……追加のゲート反応を確認、数は2!』

「またぁ!?」

「節操ないなぁ!?」

「場所は?」

『一つはクロノデバイスの反応と同じ位置。もう一つは……此処だ!』

「やっぱりこっちの位置は把握されて……って、でっか!?」

「急に大量投下してくるつもり……!?」


 なんて言っていたら再び展開されたゲート。初めてバッカスと戦ったあの時並みに大きいそれからは既に大量の機獣(ヘカトンケイル)が顔を見せている。情報収集は終わった、という事なんだろうか。


『ゲートから居場所の逆探知を試みる!すまないがそれまで耐えてくれ!』

「わ、分かりましたテルスさん!皆いける!?」

「ティタノデバイスは温存しておきたいけど……機獣(ヘカトンケイル)だけならどうにかなると思う」

「頼っていい先輩たちも居るし時間稼ぎくらいならねっ!」

「言うじゃないか後輩、仕事に追われるのは締め切り直前くらいにしてほしいんだけどな!」

「それは狼奈がサボってたツケでしょ……数が多いなら、こっちかな」


 作家としてあるまじき発言に呆れながら莉亜さんが取り出したのは私がみたピンクの物とは違う金と黒色の本。


「ライターズノート、ヒーロー!執筆準備(スタンバイ)!」

「莉亜、それはもちっと温存しとくべきちゃうか?」

「使って減るものでも時間制限がある訳でもないからね、執筆開始(ライティング)!」


 さっきと同じように開かれた本から飛び散る紙片型のエネルギーがバリアフィールドを形成。莉亜さん達は私達みたいに外付けで足すんじゃなくてデバイス……本自体を変えるんだ。


「これがこの世界の魔導士(マギスター)の技術……」

「この世界というかまあ、正確にはメルコニアっていう別の世界の技術なんですけど……」

「今その説明に意味はないわブライア。話ならこの状況をどうにかした後で幾らでもある」

「あはは、そうですね……じゃあ、話すために皆で頑張りましょう!」


 シルウィアさんは莉亜さん達の変身アイテムに興味深々らしい、そりゃそうか。実際私も気になるし。


「挑戦彩る勇気の記録!魔導士(マギスター)パンドラ・イリアス!」

『来るぞ!』

「はいっ!」


 さっきの凛々しいドレスに煌びやかな装甲を纏った莉亜さん……パンドラと並び立ち。


「それじゃあ行こうかミネルヴァちゃん、それとタメ口で構わないよ、私敬語使われるのなんかむず痒くてさ」

「そんな恐れ多い!?」

「じゃあせめて変身中くらいは」

「む、む……分かった、行こうパンドラ!」

「うん、それじゃ……背中は預けたよ、ミネルヴァ!」


 ゲートから雨のように降り注ぐ機獣(ヘカトンケイル)に狙いを定め、飛び上がった。












「数だけは、多いな」


 降ってくる機獣(ヘカトンケイル)をその度斬り捨てる、それだけの単純な作業をどれだけ繰り返しているのだろうか。ずっとゲートが開いているお陰で場所自体は分かったがこの警戒ではただ近づいても逃げられるだけだろう。資料通りなら時空加速(クロノアクセル)は一時的には通用するだろうがすぐに通用しなくなると予想される、ならば考えるのは時間凍結(クロノフリーズ)をどれだけ温存できるか。


「しかし……なぜ今更回収する必要が?」


 頭にふと疑問がよぎったがそれを深掘りする事は非合理的だ、最優先は任務の遂行。


「……追ってくるのなら、手間が省けるのだが」


 斬り捨てた機獣(ヘカトンケイル)の爆発に他の個体を巻き込みながら、目標地点へとひたすら進む。









「行くでブライア!空想具現(リアライズ)大嵐(ハリケーン)!」

「先走りすぎだってオズ!空想具現(リアライズ)茨壁(スパイク)!」

「美しく行きましょう?空想具現(リアライズ)閃光(フラッシュ)

「先輩達に負けてられないかなっ!呪文詠唱(アーツコード)057、砕刃(エッジ)!」

「後輩の底力、見せます!呪文詠唱(アーツコード)162、光線(レーザー)!」


 五人同時に放った呪文(アーツ)機獣(ヘカトンケイル)の戦列を乱し。


「行くぜぇっ!」

「乱暴に突っ込みすぎだよ先輩!誤射に気を付けてね!」


 レッドフードとディアナの牽制で足止め。


強化詠唱(マキシムコール)雷霆(ケラウノス)!」


 止まったところにシルウィアさんの雷が直撃して。


「合わせてミネルヴァ!」

「分かった!はあぁぁぁぁぁ!!!!」


 最後に私とパンドラで薙ぎ払って。


三重詠唱(トリプルコール)結界(プロテクト)圧縮(コンプレス)拡散(ディフュージョン)!」


 しっかりと結界で隔離し、被害は最小限に。


『次が来るぞ!』

「またぁ!?」

「解析はどうなっていますか!」

『ある程度はできたが……ジャミングが酷い、まだ時間がかかる!』


 ゲートから降ってくる増援には終わりが見えない。今はただテルスさんの解析は終わるまで耐えるしか……


「うわぁぁぁ!?」

「今の声……」

「子供っ!?」

「うせやろ!?まだ逃げ遅れてた子が居たんか!?」


 ……悲鳴の方向に視線を向ければさっきと同じように逃げ遅れたらしい幼児が機獣(ヘカトンケイル)に追い詰められている。このままじゃ……!


「テルスさんっ!」

『ダメだ、解析は中断できない!時空加速(クロノアクセル)との併用は不可能だ!』

「私が行きますっ!」

「お願いしますシルウィアさん!」


 確実に時空加速(クロノアクセル)を使わなければ間に合わない。テルスさんが解析に集中してる以上動けるのはシルウィアさんだけ。


時空加速(クロノアクセル)っ」


 消耗は避けたいが人命には変えられない。シルウィアさんの時空加速(クロノアクセル)が発動する……


「居た」


 その直前。


「ったく何やってんのかなぁ!伏せぇぇぇぇ!!!」

「……はい?」


 突如として女の子との間に割り込んだ人影が徒手空拳で機獣(ヘカトンケイル)を吹き飛ばした……え、生身で?


「いつつ、格闘技は魔法少女の嗜みとはいえ生身でやるとやっぱちょっと痛いね……大丈夫お姫様?怪我はない?」

「あ……うんっ!」

「それは何より、此処はお姉ちゃんに任せて下に降りよっか。私結構強いから安心していいよ」

「ありがとっ、おねえちゃん!」

「にへへー、女の子の感謝が五臓六腑に染み渡る……さて、と」


 そのままお姫様抱っこで空中パルクールをかました人影は女の子を地下道に避難させて……って。


「あの人、は……」

「ったく、来るのがおせぇぞ」

「ごめんごめん、スマホ使えなかったからさぁ、徒歩で来た」

「……まーたとんでもないのが来おったわ」


 レッドフードと親しげに話す顔には見覚えしかない。



呪文詠唱(アーツコード)転送(トランスポート)!」

「……お、おお?」

「使ってください、貴方のデバイスです!」

「……そっか。ありがとう、初めましてな推定後輩さん」


 彼女はシルウィアさんから受け取ったデバイスを慣れ親しんだように手に取って……


「話したい事とか、話すべき事は色々とあるけど」


「とりあえず、この状況をなんとかしなくちゃね!」


 自然と構えを取り。


変身詠唱(チェンジコード)ウェスタ(12)っ!」


 詠唱。


「なんだよ、変身できるんじゃねえかあいつ」

「探し人、見つかってよかったねミネルヴァ」

「この状況で喜んでいいのかは微妙ですけど」


 それは疑いようもなく。


『ウェスタ、着身完了(マギアライズ)

「刻むは慈愛、示すは秩序!魔導士(マギスター)ウェスタ!」


 彼女が十窯二美その人である事を意味していた。






『ツグミ?』

『ナンデ、イッショニイル?キケン、キケン』

『ソイツラハ、ヤツノ、テシタ』

『ヤツモ、イル』

『ナノニ、ナンデ?』

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