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魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。  作者: 暁真
第二.五部 魔法少女の劇場版って話。
37/51

前作キャラの安心感は頼もしいって話。


「……状況を整理しましょう」

「昨日は9/12だった、これは間違いない」

「莉亜さん達のサイン会が9/13予定だったし間違えようがないよね」

「なのに今日の日付もまた9/12で……」

「テレビもネットも繫がらなくなってる……」

「時間結界が展開されてるとかは?」

『ないな、時間結界が貼られているのならそもそも時間が経過しない。時間を繰り返しているこの状況は発生し得ないという事だ』

「しかし何らかの呪文(アーツ)が展開されているのは確かです」

「まさかタルタロスがもう?」

『それはないだろう、いつでも攻め込めるというのに我々をわざわざ追ってくるか?』

「それは確かに」


 少しパニックになりつつあるホテルのロビーで集まり状況把握。日付は変わってないし他の街への通信手段は途切れてるし……何がどうなってるのか訳がわからない。


「これもう二美さんを探すどころの騒ぎじゃなくなってきてるような」

「そうですね……ただ時間操作系の呪文(アーツ)が行使されているのは確か、残滓を辿って原因を突き止められればどうにか」

「そもそも何が目的でこんなことを……」

「ひとまず外に出てみない?此処に留まってても状況が進展する訳じゃないし」

「賛成です、自分達で手がかりを探さないとずっと終わりません」

「あんまり時間かけないでよ?僕が茹る」

「ファウヌスはリュックの中入ってて。手持ちの扇風機あるから」

「扱いがぬいぐるみ!」


 ひとまずこのまま時間だけ経過させてもしょうがないと全員で外へ。様子は変わりないし、本当に時間だけがループしているような感じで逆に不気味だ。


「一体何が……」

「テルス、魔力を辿れますか?」

『……無理だな、広範囲に展開されすぎている。辿ろうにも満遍なく漂っているせいで導線ができない』

「そんなに……」


 思ったよりこれは深刻な事態らしい。昨日転移(ワープ)が使えなかったのももしかしてデバイスの故障じゃなくてこれのせい……?


『……む?』

「テルス?」

「どうかしたんですか?」

『……まずいな』

「まずいって、何が?」

『ゲートが開いた、機獣(ヘカトンケイル)が来るぞ』

「嘘でしょ!?」

「やっぱりタルタロスが来てるんじゃないのこれぇ!?」

「場所と数は!?」

『5だ、場所を今転送する』

「分かった……皆、手分けして行こう!」

「また攫われたりしたら承知しないからね三葉!」

「分かってる!シルウィアさん、テルスさん貸してくださいっ!」

「ええ、無理はしないでくださいね!」


 ……やっぱりこれはタルタロスが何か仕掛けてきたのかもしれない。そうなるとバッカスによる被害が出る前にどうにかしないと。


『君の担当は此処だ、行くぞ』

「はいっ!」


 いち早く止めないと、気づけば皆と別れて一直線で駆け出していた。












『此処だ、既に機獣(ヘカトンケイル)は……出現しているな』

「周りに人は……って、何あれ!?」


 辿り着いたのは広々とした公園の一角。どうやら避難は既に粗方終わっているようで逃げ惑う人は居ないけど……


『……赤い機獣(ヘカトンケイル)だと?特別仕様だとでもいうのか?』

「今はどうでもいいです、早く……!?」


 そこに居たのはいつもと違う真っ赤な機獣(ヘカトンケイル)、そして……


「大丈夫だよ。私が君を守るから」

「ぐず……ひぐ……」


「莉亜さん!?」

『背に幼児……逃げ遅れた子供を守ろうとしているのか』

「だったら尚更早くしないと!呪文詠唱(アーツコード)019、灼熱(プロミネンス)!」


 逃げ遅れたであろう莉亜さんと女の子。助けるべく灼熱(プロミネンス)を放って機獣(ヘカトンケイル)を牽制し、間に割って入る。


「君は昨日の……」

「逃げてください!此処は私が何とかします!」

「……その覚悟は買うよ。けど1人じゃ心細いでしょ?」

「大丈夫です、だからその子を!」

「それに……守るって言った以上、背を向けて逃げちゃカッコつかないからね」


 2人を逃がそうとしたけど莉亜さんは私の横に立ち機獣(ヘカトンケイル)を見据えている。流石にいいから逃げて、とは言えないけど守りながら戦うには……!


「無茶はしないでくださいよ!変身詠唱(チェンジコード)ッ!」


 いつものようにデバイスを開き、着身(マギアライズ)しようとして。


「ライターズノート、レガシー!執筆準備(スタンバイ)!」

ミネルヴァ(03)……えっ?」


 詠唱をしている横で莉亜さんは何やら分厚い本に綺麗なペンを装填し。


執筆開始(ライティング)!」


 私の詠唱完了と同時にペンを引き抜き、本から溢れ出した紙片がエネルギーとなってバリアフィールドを形成……え、待って。


構成(プロット)!」


 私が着身(マギアライズ)するように次々と衣装を纏っていく……も、もしかして……


下書き(ドラフト)!」


 二美さんの写真にあった……


推敲(リファイン)!」


 この世界の……


脱稿(コンプリート)!」


 魔導士(マギスター)……!?


『ミネルヴァ、着身完了(マギアライズ)

「日々を彩る希望の記録!魔導士(マギスター)パンドラッ!」


 お姫様のような、戦士のようなドレスを纏った莉亜さんの顔はとても凛々しくて。


「……えっ、えっ?」

「……ああなるほど、今回は私達がこっち側かぁ」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


 思わず目の前の機獣(ヘカトンケイル)の事がすっぽ抜けて驚いてしまうくらいには、信じられなかった。






「想像彩る神秘の記録!魔導士(マギスター)レッドフード!」

「あの写真の魔導士(マギスター)……!?」

「まさかお嬢ちゃんらが後輩だったとはねぇ……遠慮なく頼ってくれていいんだぜ?」


「青春彩る旅路の記録!魔導士(マギスター)オズ!」

「うっそぉ……」

「いやぁウチらも先輩かぁ、感慨深いわ……あ、よろしゅうな後輩ちゃん」


「青春彩る心の記録!魔導士(マギスター)ブライア!」

「こんな偶然、あるんですね……」

「細かい自己紹介はこのメカメカワンちゃんをどうにかしてからにしましょう!」


「夢を彩る魔法の記録。魔導士(マギスター)サンドリヨン!」

「あなたが、この世界の……」

「ねえ、貴方の名は?」

「……ユピテル。魔導士(マギスター)ユピテル」

「そう、いい名ね」








「仕掛けますっ、後ろから!」

「必要ないよっ!」

『なんという淀みのない魔力操作……相当戦い慣れているぞ、彼女』

「そうれっ!」


 大剣を振りかぶりダッシュで機獣(ヘカトンケイル)へと斬りかかる横で跳躍した莉亜さん……パンドラが拳を叩き込み、怯んだ隙に一撃。


「もういっちょ!」

「強い……」


 私の離脱と同時に今度はアッパーカットで打ち上げてまた跳躍、物凄い無駄のなくて……洗練された動き。


「さあ合わせてミネルヴァちゃん!落とすっ!」

「はいっ!」


 打ち上げた機獣(ヘカトンケイル)にジャンプで追いついたパンドラが踵落としで撃ち落とした機獣(ヘカトンケイル)を貫くように大剣を構えて。


空想具現(リアライズ)光流(オーロラ)!」

「貫けっ!」


 空から降って来た光の帯が直撃した隙に両断。


呪文詠唱(アーツコード)166、結界(プロテクト)っ!」


 忘れないように残骸を結界(プロテクト)で隔離し……


「エンドマーク!」


 パンドラがペンを持った右手を振り上げると共に、爆散。


「……あー、こいつらはこうなるんだ」

「だからこうやって被害を最小限にしてるんです……」

「そっかそっか、私達のやり方でやってたら危うく大惨事になる所だったね……よし、君大丈夫?歩ける?」

「うん……」

「よし、それじゃあお母さんの所まで一緒に行こうか……ミネルヴァちゃん」

「はっ、はい!」

「この子を送り届けたらすぐ合流する。それまで任せていいかな」

「勿論です!」


 一旦変身解除した莉亜さんは女の子を連れて離脱。ゲートが此処まで同時に開いた以上また開く可能性だってある、二美さんを探すどころじゃない、先にこっちをどうにかしないと……!


機獣(ヘカトンケイル)の反応全て消失、一旦は……待て、ゲート数増加!』

「増えた!?」

『数は……6!来るぞ!』

「6!?場所は!?」

『5つは先程と同じ場所、つまり此処……だがもう1つは離れている』

「それ急がなきゃダメじゃないですか!テルスさん装神(マキアライズ)行きますよ!」

『無論だ、出し惜しみしている程余裕はない。使え』

「はい!装神詠唱(アームドコール)、ユノ!」


 テルスさんはティタノデバイスと違って時間制限がない。疲労は溜まるけどこの状況で温存できると思うほど甘い考えはしていない……やるんだ。


時空(クロノ)加速(アクセル)五倍速(フィフスクロック)ッ!」

『これは……』

「テルスさん?」

『……現在解析中だ、君の身体に悪影響はない。行くぞ』


 装神(マキアライズ)してすぐに時空加速(クロノアクセル)を起動。使えたって事は今貼られている何かは時間結界ではないみたいだけど……テルスさんの反応が気になる、皆と合流したら共有しておかなきゃ。


「悪いけど一々構ってる暇はないっ!呪文詠唱(アーツコール)浮遊(フロート)!」


 浮遊(フロート)で浮きゲートから投下される機獣(ヘカトンケイル)を着地される前に両断、ちゃんと結界(プロテクト)も忘れずに使用。


「離れてるゲートの座標ください!」

『分かっている……何?』

「テルスさん?」

『……ミネルヴァ、落ち着いて聞け』

「何かあったんです?」

『2点だ。1点目は離れていたゲートから出現した機獣(ヘカトンケイル)の反応がたった今消失した』

「……もしかして、莉亜さんの仲間?」

『いや、違う。2点目は……』




『その場所でクロノデバイスの反応が確認された』

「っ……!」


 クロノデバイスの反応。それはつまり……


「弍乃さんが、この街に……!?」

『そういう……事になる。危険だ、合流を優先してくれ』

「……はい」


 クロノデバイスの反応と機獣(ヘカトンケイル)の反応消失が同時?じゃあこれはタルタロスの奴じゃないってこと?ていうかそもそも弍乃さんがどうしてこの街に……いや、それは今考える事じゃない。


「ひとまず莉亜さんと合流する、行こうテルスさん!」

『ああ』


 要するに今はこの無数に開くゲートと弍乃さんを同時に対処しなきゃいけないって事。早く皆と合流して、伝えなきゃ。









「資料通りだな」


 降ってきた赤い機獣(ヘカトンケイル)を斬り捨て、目標が此処に存在する事を再確認。わざわざ私のいる場所に投下してきたという事は位置情報を把握されている可能性が高い、接近はかなり困難なものとなるだろう。


「……確かにこれを見ると機獣(ヘカトンケイル)に自我を持たせたのは合理的ではあるな、その結果がケイオスからの逃亡らしいけど」


 10年もこの街に潜伏して何をしていたのだろうか、などとは考えない。それを考えている時間があるのならあれを回収する手段を考える方が合理的だ。


「ひとまずゲートから辿るか」


 面倒な事に一方通行となっているゲートから奴の居場所を探るべく、歩を進めた。








「ああったくあの子なんでこんな事してるのさぁ!?一体何が……」

「まさか私をつけてたっていう誰かさんが何かしでかしたっ……て事!?」

「いやいやそういうの考えるのは後にしとこう。とりあえずあの子を止め……待って」

「狼奈達居るじゃん!先に救援要請を……」


「……そもそも今何処に居るのか私知らないじゃん!ああっもう仕方ない走るっ!」

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