14話 秘密の契約書
「うーん、どうしよう。」
テラスの先から見える海を眺めながらこれからの予定に頭を悩ませる。
まさか1ヶ月間1人での外出が禁止になるなんて、、。
それもこれもルシアンさんの魔法道具店に行ったせいだ。
半日ぐらいしか滞在してないと思ってたら実は2日経ってましたとかありえない。
まだ自分があの魔法の店から出られてない気がする。
「あーもー、どうしよー。」
「何がどうしたのよ?」
「マリン!」
綺麗な青い瞳が睨んでくる。
「あんたまさかまたどっか行こうとしてるの?」
「違うよ!でも近しいことは考えてるかも。」
しまった余計なこと言った。
青い瞳を赤に変えながらマリンのお説教が始まる。
「叔父さんたちがどれだけ心配してたのかわかってるの?!
人攫いにあったんじゃないかってあなが帰るまでほとんど寝れてなかったのよ?!
それに近所の人だってみんな心配していたし!あなたはいい加減もっとしっかりしなさいよ!
このままだとあっという間に死んじゃうわよ?!」
「ごめんってば!お説教ならもうたくさんだから勘弁してー!もう勝手にいなくならないから!」
「今回は許されたけど次は本当にないと思った方がいいわ。」
「もうこんなに怒られるのは懲り懲りだよ、、。」
「その気持ちを忘れないことね。それと外出は禁止だからね。」
マリンは気が済んだのかさっさと買い物へ行ってしまった。
「あー、掃除が終わらなーい。」
1ヶ月間の1人での外出禁止だけでなく、ホールの掃除を1人で2ヶ月間やりという罰まで
加わってしまった。
「魔法でどーにかならないかなぁ。」
「なるよぉ。」
「誰?!」
マリンはさっき出て行ったし、お父さんたちも今日はデートでいないし店はもう閉まってる。
一体誰?後ろにいる気配は感じとってるけどだからって振り向けない。
「僕だよ、ルシアンだよカリナさん。」
「ルシアンさん?!」
振り向けばそこにはいかにも魔法使いですといった格好をしているルシアンさんがいた。
「どうしてここに?というかどうやって?」
「魔法の力で色々とね。それで君は今外出禁止なんだっけ?悪いことしたね。」
「そうなんですよ!2日経ってるなんて聞いてませんよ!」
「いやぁ長らく外の世界に出てないと時間の感覚が狂っちゃってさ。ごめんね。」
「まあ過ぎたことだしいいですけど、それで私はこれからどうすべきなんですか?」
「今日はそれを伝えるためにここに来たんだ。これをどうぞ。」
分厚い本を一冊渡された、そこには薬草学とかかれている。
「なんですかこれ?」
パラパラとめくると色々な植物が載っている。
「旅してもとりあえず儲けられる資格を取るためにこれを学ぼう!」
「はい?答えになってないんですけど。」
「まあまあ落ち着いて。君はこれから旅をすることになるだろう?
そのときに食いっぱぐれることがないように資格を取っておくんだ。」
「資格がどうとかはいったん置いといて、そもそも私旅をするなんてまだ決めてないです!」
「でも君は楽しそうって言ってたじゃないか。」
「それはそうですけど、でもそれは夢みたいなもので、まだ本当に行くって決めたわけじゃ。」
あの時は楽しそうが勝っていたから行きたいなって言ってたかもだけど今冷静に考えたらそんなこと
言えない。
だってお父さんたちは孤児院にいた私を引き取ってくれた優しい人たちで、その人たちの元から離れて好き勝手するなんてとんだ恩知らずだ。
「そんなに難しく考えないで、とりあえずさお試しで学んでみるのはどう?
旅するにしてもしないにしても知識をつけることは悪いことじゃないだろ?
それに外出禁止の君にはいい暇つぶしだろ?」
「まあ、学ぶだけなら別に、、。」
まさか学ぶ機会が得られるなんて。
孤児院では文字や歴史を学んでいたけど、引き取られてからは勉強はしたことなかったな。
経営に関するこやレシピに料理の技術とかはお父さんたちから教えられてきたけど、勉強って感じではなかったしな。
私だけの教科書みたいでちょっとうれしいかも。
「あの、本当にごめん。」
「え?」
ルシアンさんが謝ってきた。
「どうしたんですか?何か変なものでも食べました?」
「いや、変なものは食べてないけど、ただ君たちには悪いことをしたなって。
君たちがポータルを見つけるっていう運命はもとからあったから僕には代えられないけど、
でもそれでも君たちがそれを知る必要はなかったしこちらの都合で複雑で危険な人生を歩ませることに
なったのは確かだ。申し訳なかった。」
確かに異世界のことを知らずに楽しく生きて、気づかぬ内にポータルを見つけていたのかもしれない。
でもその未来を排除したのは異世界の悪魔のせいであってルシアンさんのせいじゃない。
「謝らないでください。そもそもこれはあなたのせいじゃないですし、それに私たちを守ろうとしてく
れているんですよね?」
「ああ、君たちが傷つくことがないように全力で守るよ。契約したっていい、違反したら僕の命を
捧げよう。」
「いやいや、そんなのはいらないですし契約する必要もないです!」
私はただルシアンさんがそう思っているだけでうれしいです。」
「もし僕がうそを言っていたら?」
「噓をついている人がどうしてこんなことを言うんですか?
それにわざわざ悪魔祓いまでしてくれませんし、私のために本を贈ったりはしませんよ。」
最初はルシアンさんのことも疑っていた。でも今は信じたいと思っている。
「そっか、信じてくれてありがとう。でも契約書は書いておこう!」
「話聞いてました?!」
「でも契約はとっても大事ですよ!ああでも悪魔なんかとは契約したらダメですよ?」
「分かってますし、言われなくても悪魔なんかと契約しません。」
「でも、、。」
「うーん、だったらこんな契約はどうでしょうか?」
契約書を使って危険信号を感じ取れるようにしたい。
「例えば、悪魔と契約をしないという契約をする。破ったらしゃっくりがとまらなくなるとか。」
「なるほど、確かにそれはいいですね。でしたらそういったものを契約しましょうか。」
「はい!」
そうして秘密の契約書ができた。




