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テトラペンタのカリナ  作者: 奈コ
第一章 少女時代
13/22

12話 ルシアンの話

 「ルシアンさんは私たちをどうするつもりなんですか?」

目の前にいる魔法使いは私たちを守るために来たという、でもそれはまだ信じれない。

「君たちを守るためといっても信じてくれないよね。

 今まであったことを君たちに話して少しでも信用してもらえるようにしようか。」

ルシアンさんは杖を振って光の粒を出した。

それは命が吹き込まれたように人の形となり動きだした。

「さあ、物語の始まりだ。」

ここはドワーフとエルフが住む森だ。

この種族たちは昔はいがみ合っていたが平和協定を結び共存するようになった。

おかげで戦争なんてなくなりみんな幸せに過ごしていたよ。

ドワーフは魔法石を加工したり、武器や家具などをつくる手先が器用な種族さ。

ただ魔法を使うのはあまり得意ではない。

それに対してエルフは魔法を使うのにたけていてね、魔力をこめた絹や魔法石などをつくっていたんだ。

しかし彼らは孤高の存在、他の種族とは関わりを持とうとしないから衰退しそうになっていた。

そこで、2つの種族は互いの欠点を補い合うように交流をし、他国との貿易をするようになった。

それもあってか少しづつここのエルフはドワーフたちとも積極的にかかわりを持とうとするものが

増えた。

その中でエルフとドワーフの間に生まれる子供も少なくはなかった。

ただし、エルフはドワーフに比べて寿命がとても長い。

だから結婚しても何百年後かにはエルフだけが一人で生きていくことも当たり前だった。

その上、生まれた子供たちも寿命は他のドワーフよりも長いものの、ほとんどはエルフよりも寿命は短くて親のエルフよりも早くに死んでしまう。

悲しくてもそれが当たり前だった。

この2種族の結婚が特に珍しくなくなってきたある日、ホゼ様が生まれたんだ。

ホゼ様はエルフの血を色濃く継いだ記録上初めてのひとだった。

ホゼ様はエルフと同等の寿命にすばらしい魔法の才能もあった。

その上、先生は身寄りのない子供を助け、困っている人がいたら手を差し伸べる、英雄だったんだ。

奇跡のひととして崇められていた時期もあったよ。

ホゼ様が奇跡のひととして崇められて早数百年、彼は僕を拾ったんだ。

身寄りのないエルフだった僕を家に招き入れ、多くのことを教え、生きるすべを叩き込んでくれた。

彼は僕の師匠であり、父であり、とても大事な人だった。

この人のためなら僕は何でもすると誓うほどにね。

ホゼ様に拾われて300年くらいたった時かな、歴史書を学ぶ中で君たちのことを知ったんだ。

しかし先生はそれを知り学ぶことをよしとしなかったんだ、それを知っても不幸になるだけだと。

そして先生はこの歴史書をどこかへやってしまったんだ。

でも、今まで僕にたくさん学びなさいと教えてきた先生がわざわざ知る必要がないと言わせるものなんて気になるだろう?

だから何回も先生に僕も学びたいってお願いをしたんだ。

最初の数十年は全く教えてくれないどころか諦めなさいと怒られたこともあったよ。

でもそれから何十年も頼み込んでやっと教えてもらえることになったんだ。

このとき僕はとてもうれしかったんだ、だってやっと願いが叶ったんだし。

でもそれは未来の危険信号だったんだって後々気づいたんだ。

なにに気づいたのかは順を追って教えてあげるよ。

歴史書を学ぶようになって、この世界にはいつかはわからないけれど君たちの世界から一人勇者が来ると

書かれていたんだ。

勇者は何千年に1回のペースで来て、こちらの世界に必要な知識を与えると書かれてあった。

そしてもうすぐ勇者が来るということも。

勇者がこちらの世界に来るためにはカプラの始祖を始めとする伝説の生き物と命の巡り木という木に選ばれないといけないんだ。

選ばれたものは死後こちらの世界に来て勇者となるんだけれど、勇者が世界を移動するためには君たちの世界でポータルを見つける必要があるんだ。

そのポータルは君たちの世界の人間が今まで見つけてきたと書かれていたんだ。

その人間たちを私たちは世界の【悠久の楔】と呼んでいるんだけれどそれがどんな人間かまでは誰も知らないんだ。

でも、それで終わりというのも僕は気に入らなくてね色々なところへ旅をして歴史書を探したんだよ、

その中でとても興味深いものを見つけたんだ。

そこにはこんなことが書かれていた。

「この世界で最も偉大だとされる、勇者ジャックを召喚する礎を築いた人間は【創世の主】と呼ばれた。

 彼らがポータルを見つけなかったら我々は生きていなかっただろう。」

これは5000年ほど前の本でこれ以外は風化していたりしてほとんど解読はできなかった。

勇者ジャックは知っていてもそれを召喚する礎を築いた人物がそう呼ばれていたのは知らなかった。

もしかしたら先生が何かを知っていると思って僕は先生にこれらのことを聞いてみたんだ。

そしたら君たちのことを教えてくれた。

ジャックを召喚するポータルを見つけたのはこの時代に生きていた人間で、この島に住んでいるってね。

ただ、なんで先生がそんなことを知っているのかは教えてくれなかったけどね。

先生は僕にこの創世の主を見つけ出し助けるんだと言われたんだ。

初めて先生にこんなお願いをされたのは初めてで本音を言えばこのとき浮かれていたよ、でも、そのあとに先生は姿を消して、悪魔と呼ばれるものたちが世界を壊そう動き出したんだ。

僕は路頭に迷ったよ、だって家族のように大事な先生は消えるし、世界は段々と恐ろしい方へ進んでいくし、どうすべきか分からなかった。

先生が消えてから僕は適当な家を借りて森に住んでとりあえず君たちを見つけようと調べ物をしたり

してたんだけど、ある日急に悪魔たちが襲ってきて大事なものだけもって逃げることになったんだ。

あいつらの狙いはすぐに分かった。それは僕が持っている歴史書に【創世の主】の手がかりだ。

悪魔は世界を自分たちのものにするために勇者が召喚できないようにしようとしている。

そんな奴らに盗られたらお終いだ。だから僕はこの魔法道具店というどこの世界にも属さない異空間を

作り研究や商売などをしていたんだ。

ようやく君たちについてなんとなく分かるようになった頃、洞窟に鉱石を取りに行ったんだ。

驚くことにそこには先生がいたんだ。

どうして勝手に姿を消したんだと怒ったら、悪魔に追われていてこうするしかなかったと謝られたんだ。

先生は僕にこの世界を守るためにすべきことを教えられたんだ。

本来ならばこの世界は何もしなくても大丈夫だったと、なぜなら君たちの【偶然】がポータルを見つけ出すから。

でも今の世界は悪魔が君たちを探し殺そうとしている。

その中で君たちが【偶然】ポータルを見つけることは不可能だと判断したんだ。

そこで先生は君たちに会って、君たちとこの世界が繋がれるように魔法をかけたらしい。

でもこの時は本来の世界だったから【偶然】を作るために忘却の魔法をかけた。

でも、もし何かあった時に守るために紅茶の瓶と図鑑を渡して君たちがどこにいるかを探し出せるように

したんだ。

残念なことににそれは逆効果だったんだ。

悪魔たちは紅茶の瓶などをたどってポータルを見つける人間を特定し、君たちの記憶を消す魔法を打ち消してカリナさんを僕たちの世界に引きずり込もうとした。

君たちがこちらの世界に行くためには死んで魂にならないといけないのは知っているね?

こちらの世界に無理やり引きずり込むのは死ぬことと永遠にポータルが見つけられないようにするのを意味するんだ。

もし君があのとき悪魔に連れ去られたら永遠に世界は救われないし、君の魂は閉じ込められどこにも行くことができなかっただろう。

まだ冷や汗が止まらないよ。

さて一旦話を戻そうか。

とにかく先生は悪魔たちから君たちを守るために策を練っていたんだ。

そては君たちの世界に行き、小屋を建てリアム君に必要なものを託し、カリナさんと会うこと。

そしてここまで見据えていたのかは分からないけれど僕に会うこと。

あの小屋は先生が悪魔が近寄れないようにたくさんの年月をかけてつくった場所なんだ。

先生は僕に必要なことを話し終えたらすぐに君たちの世界へ行ってしまった。

僕はそのあと魔法道具店を君たちの世界とつなげて先生に会いに行ったんだ。

久しぶりにお茶でもと思って森に行って積もる話でもしていたら急に何かが飛んできて先生の体を打ち抜いた。

悪魔が僕たちを見つけて殺しに来たんだ。

先生をかばいながら僕たちはあの小屋の前までついたんだ。

でも残酷に鋭い氷の刃がまた先生を貫いた。

どんどん冷えていく体に先生は死ぬということが分かった。

先生は残った体力でパールのイアリングを僕に渡して転移魔法で魔法道具店まで転移させた。

何もできずに大事な人を見殺して自分だけ助かったのは受け入れられなかった。

でも、このまま何もしないままでは先生が命を落とした意味がないと思って、それから何十年もいつか会う君たちを助けるためにこの魔法道具店を開いてずっと待っていたんだ。

それでやっと来たと思ったらこの有様というわけだ。

「どうだい、ちょっとは信用できそう?」

「そうですね、、ただあまりにも現実味がなさ過ぎて話が入ってきませんでした。」

「まあそうだろうね。でも、実際にあったことなんだよ。」

「まさかあの庭園の管理人があのじいさんだったなんて。」

「先生はずっと前から策を練っていらっしゃったんだ。」

「そうなんだ、でもホゼさん殺されちゃったんだ、、。」

ほんの少ししか話してないけど親切で優しいおじいさんだった。視界が涙でかすむ。

「先生はきっと想って泣いてくださるだけでうれしいはずです。

 今ではもうすっかりそんな人はいなくなりましたから。」

ルシアンさんはどこか遠い目をしている。

「あの、ルシアンさん、この島って安全なのか?」

「完璧とまでは言えないけれど、この島全体に加護をかけているし、魔法道具も使って悪魔がこれない

 ようにしているよ。

 ただ、ここは半端な空間だからね加護とかの設定が難しくて今回みたいな事態が起きてしまったんだ。

 でも、この森から外へは悪魔たちは出ることはできないようになっているから大丈夫だよ。

 つまり、安全って訳さ。」

「安全って感じしないんですけど。だってあのままだったら俺ら死ぬところだったし。」

「それは謝罪をするよ。でも、勝手にこの店に入ってきたのは君たちだしお互い様でしょ。」

「いやいや、店なら普通にはいるでしょーが。

 というか俺らを守るって言うわりにはここは安全じゃないとかお終いじゃん。」

リアムは最初ここに入らないって言ってのは黙っておこう。

まあでも、リアムの言う通り、島は安全だとしてもここはちょっと危ないとかなのは嫌だなあ。

何となくルシアンさんのほうを見ると、ちょっと不服そうな顔をして小さな声で悪かったといった。

なんだろう、さっき物語を語ってくれた人とは別人みたいだ。

「あの、それで私たちはどうすればいいんですか?」

「そうだねやることは沢山あるけど、まずは一応悪魔払いでもしとくべきだね。」

「「悪魔払い?」」

「ああ、悪魔とのつながりができるのはよくないからここで断ち切ってしまおう。

 こっちへ来て服を脱いで。」

指をさされた籠に服を入れろという。

「あの、服って全部ですか?」

「?当たり前じゃないか。裸じゃないと意味ないよ。」

「あの、一応私たち初対面だし、異性だし、裸はちょっと、、。」

リアムも頷いてる。

「人間たちはそういうのを気にするのか、、。わかった、それならこのタオルを巻いて。」

絹のように柔らかなタオルを渡される。

「これって?」

「これは邪気を払うタオルで巻くだけでも効果はあるんだよ。

 そしてこの後僕の魔法をやら薬やらを入れた風呂につかれば完璧だね。」

そういって鼻歌を歌いながらどこかへ消えていった。

「なあカリナ、俺達って別々だよな?」

「そうだと思うけど、といいうか服ってどこで脱ぐの?」

「ここじゃないの?安心しろ女の裸は見慣れてるってなんで叩くんだよ!」

「なんとなく。というかこんなところで脱ぐなんて絶対嫌。」

「俺は後ろ向いてるから大丈夫だって」

「そういう問題じゃないの!」

「俺は悪魔払いできるならいくらでも脱ぐぜ。あっちむいてろよ。」

「なっ!!本当に脱ぐの?信じらんない!!」

「だって悪魔とか怖いじゃん。それにタオル幕からセーフだろ。」

「セーフなのかな?」

「分かったらさっと脱げよ。こんなところ早く出たい。」

「うるさいな、分かったからあっちむいてそれで手を挙げて座って頭を伏せて。」

「俺は容疑者かよ、、。」

「いいから!!」

上着やらを脱いで下着姿になる。

いったんタオルを巻いてから下着を脱ぐか。

そう思ってタオルを巻こうとすると視線を感じる。

まさか悪魔?緊張して視線を感じる方を見ているとルシアンさんがこっちをガン見していた。

「人間とはめんどくさいものをつけるんだな、、。」

「きゃあああああ!!!!!!」

「なんだ????!!!!悪魔か!!!」

私の悲鳴に驚いてリアムもこちらを見る。

適当にあるものをつかんで二人に投げる。

「こっちを見ずに早く風呂まで連れて行って!そこで脱ぐから絶対にこっちを見ないで!!!」

私が投げたものが命中したせいか二人はなんだか小さくなっていた。

風呂まで案内されて密室で誰にも見られないように脱いでタオルを巻く。

そして一人で風呂に入る。

「異性に肌をこんなに見せるとかおかしいでしょ。」

暖かいお湯につかりながら疲れを癒す。

「はあ、これからどうなるのかな、、。」

窓の外から見える景色は珍しく海が見えなかった。

どうかこれからもいつもの生活が送れますように。

そっと誰かに祈るように目を瞑る。

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