第25話「国家プロジェクト始動」
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1. 官邸での戦略会議
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【ある夜・官邸】
藤堂が進める中東植物工場計画を議題にした、外務省・経産省・農水省を集めた「緊急会議」の前夜。
藤堂は、橘官房長官と八重樫幹事長を呼び意見交換を行った。
秘書官も下がり、完全な密談状態だ。
藤堂は、資料を閉じ二人を見渡す。
「明日の会議で」
藤堂が言った。
「外務省・経産省・農水省を、正式に巻き込む」
「だが......省庁は必ず抵抗するだろう」
橘官房長官が、静かに頷く。
「外務省は」
橘が言った。
「中東の保守派王族と、改革派王族との関係を問題にするでしょう」
「外務省は『保守派王族』としか、繋がっていません」
「だから改革派王族との会談を官邸が主導すれば」
「面子を潰されたと感じる」
「だが、改革派と組まなければ未来はない」
藤堂が答えた。
「その通りです」
橘が頷いた。
「明日の会議では」
「『外務省の役割を奪うのではなく』」
「『新しい外交モデルに参加してもらう』という形にします」
八重樫が、笑う。
「橘、お前は本当に上手い言い方をするな」
「実際は『官邸主導』に変わるだけなのに」
橘は、肩をすくめる。
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【各省庁の状況】
「経産省は、乗り気だ」
八重樫が言った。
「産業政策の目玉にしたいらしい」
「農水省は......まあ、農協の顔色を伺ってるだけだ」
「農水省は、どう動く?」
藤堂が聞いた。
「私が、話をつける」
八重樫が答えた。
「『国内農業の国際展開』という名目をつければ」
「反対は弱まる」
「幹事長が動けば」
橘が言った。
「農水省は、逆らえませんね」
八重樫は、不敵に笑う。
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【藤堂の理念】
藤堂は、二人を見つめ静かに言った。
「......日本は」
「『技術で世界を救う国』にならなければならない」
「その象徴が、このプロジェクトだ」
「総理の理念は」
橘が言った。
「必ず省庁にも、伝わります」
「伝わらん奴には」
八重樫が言った。
「私が、伝えてやる」
三人が、笑う。
だが、その笑いは決意の裏返しだ。
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【明日への準備】
橘が、資料を閉じる。
「明日の会議では」
「『官邸主導の国家プロジェクト』として、正式に宣言します」
「外務省には、外交調整」
「経産省には、産業支援」
「農水省には、国内農業との橋渡しを担ってもらう」
「つまり」
八重樫が言った。
「『官邸が中心で、省庁は補助』」
「それでいいな?」
「ああ」
藤堂が答えた。
「日本の未来を作るのは、官邸だ」
橘と八重樫が、同時に頷く。
藤堂は立ち上がり、窓の外の夜景を見つめる。
「......砂漠に、未来を植える」
「そのために、明日の会議で全てを動かす」
「総理」
橘が言った。
「準備は、整っています」
「後は」
八重樫が言った。
「やるだけだ」
三人の視線が、交わる。
「行こう」
藤堂が言った。
「日本の未来を作るために」
窓の外、東京の夜景が広がっていた。
*明日*
*全てが動き出す*
*日本の技術で*
*世界を変える*
藤堂は、決意を新たにした。
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2. 官邸 vs 省庁
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【総理官邸・小会議室】
外務省・経産省・農水省の局長級が集められた、緊急会議。
空気は重く、誰もが「ただ事ではない」と感じている。
藤堂が、静かに口を開く。
「今日の議題は、一つだ」
「日本の植物工場技術と、大気水生成技術を組み合わせ」
「中東で『分散型食料生産拠点』を構築する」
「これは、日本の国益に直結する国家プロジェクトとする」
省庁側が、ざわつく。
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【外務省の懸念】
外務省中東局長が、手を挙げる。
「総理」
「確かに、中東の食料安全保障は重要ですが......」
「政治リスクが、高すぎます」
「特に湾岸諸国は、王族間の力学も複雑で」
「日本企業が巻き込まれる可能性も——」
藤堂は遮らず、静かに聞く。
だが、目は鋭い。
「外務省は『リスクの列挙』が仕事ではない」
藤堂が言った。
「『どうすれば成功させられるか』を考えてほしい」
外務省局長は、言葉を失う。
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【経産省の支持】
経産省産業局長が、前に出る。
「総理」
「これは、日本のフードテック産業を世界に売り込む」
「絶好の機会です」
「政府系ファンド(SALIC、ADQ)との連携も可能です」
「日東テクノロジーの技術は、国際競争力があります」
藤堂は、頷く。
「経産省には」
「『攻めの役割』を期待している」
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【農水省の反発懸念】
農水省の審議官が、困ったように口を開く。
「しかし......」
「国内農業団体の反発が、予想されます」
「『日本の技術を海外に持っていく前に』」
「『国内農業を支援すべきだ』という声が——」
藤堂は、即答する。
「国内農業の支援と」
「日本の技術を世界に展開することは、矛盾しない」
「むしろ、海外展開で得た利益を国内に還元できる」
農水省は、押し黙る。
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【技術外交】
橘官房長官が、口を開く。
「総理は」
「『日本の技術で世界の水と食料問題を解決する』という」
「新しい外交戦略を、描いておられます」
「これは、ODAの枠を超えた『技術外交』です」
外務省が、反応する。
「......技術外交、ですか」
外務省局長が聞いた。
「はい」
橘が答えた。
「日本は、軍事力ではなく技術で世界に貢献する」
「その象徴が、このプロジェクトです」
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【藤堂の指示】
藤堂は、ゆっくりと立ち上がる。
「日本は」
「世界の水と食料の問題から、逃げてはならない」
「我々には、技術がある」
「ならば、使うべきだ」
そして、各省庁に指示を出す。
「外務省は、中東各国との調整を開始」
「経産省は、日東テクノロジーを中心に産業連携チームを作れ」
「農水省は、国内農業団体への説明と」
「『日本農業の国際展開』の新方針をまとめろ」
省庁側は、一斉に立ち上がる。
「これは」
藤堂が言った。
「『日本版グリーン・マーシャルプラン』だ」
「世界の砂漠に、日本の技術で未来を植える」
会議室の空気が、変わる。
国家プロジェクトが、今まさに動き出した。
*日本の技術で*
*世界を変える:
*その第一歩*
藤堂は、決意を新たにした。
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3. 外務省の苦戦
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【外務省・中東アフリカ局 会議室】
壁には、湾岸諸国の地図。
局長、参事官、課長らが集まり、緊迫した空気が漂う。
机の上には、「中東食料支援プロジェクト — 官邸指示」と書かれた資料が置かれている。
中東局長が、深いため息をつく。
「......官邸は簡単に言うが」
「湾岸諸国は『王族派閥』が、複雑すぎる」
「どの家系に話を通すかで、国の方針が変わる」
参事官が、資料をめくりながら言う。
「UAEは、アル・ナヒヤーン家の中でも」
「『改革派』と『保守派』が対立しています」
「我々が接触しているのは、保守派の方で......」
「どうも、乗り気ではありません」
課長が、苦い顔をする。
「サウジも、同じです」
「皇太子派と、旧勢力派が水面下で争っている」
「どちらに話を通すかで」
「日本の立場が、危うくなる可能性があります」
局長は、頭を抱える。
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【官邸からの電話】
そこへ、官邸からの電話が入る。
橘官房長官の声が、響く。
「外務省、進捗はどうなっているの」
「総理は『早期に中東側の合意を取り付けろ』と仰っています」
局長は、苦い表情で答える。
「官房長官、現地は複雑です」
「王族派閥の力学が、読めません」
「どの家系に話を通すかで——」
橘が、遮る。
「外務省は『できない理由』を並べるのが仕事ではありません」
「総理は『日本の技術外交の象徴』にしたいと考えています」
「動いてください」
電話が、切れる。
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【外務省の苦悩】
会議室に、重い沈黙が落ちる。
参事官が、小声で漏らす。
「......官邸は、現場を知らなすぎる」
「中東は『誰と握るか』で、全てが決まるのに」
課長が、続ける。
「しかも今回は、『食料』と『水』だ」
「これは、国家の根幹に関わる」
「下手に動けば、日本が派閥争いに巻き込まれる」
局長は、机を叩く。
「だが、官邸は待ってくれない」
「......誰か、突破口はないのか」
課長が、呟く。
「......官邸主導のプロジェクトに」
「外務省が完全に、置いていかれるぞ」
局長は、静かに答える。
「だからこそ、外務省も『主導権』を取り戻さなければならない」
「このプロジェクトは」
「日本の外交の未来を、左右する」
会議室の空気が、張り詰める。
窓の外、霞が関のビル街が広がっていた。
*官邸と外務省*
*主導権争い*
*しかし、時間は待ってくれない*
局長は、苦悩の表情を浮かべた。
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4. 砂漠の宮殿での密談
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【UAE・アブダビ郊外】
王族の私邸(「マジュリス」と呼ばれる客人用の離れ)
夜。
砂漠の風が静かに吹き、月明かりが白い砂を照らしている。
外務省は「保守派王族」に阻まれ、交渉が停滞。
その裏で、メアリーは「改革派王族」と極秘に接触しようとしていた。
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【メアリーの到着】
黒いSUVが、砂漠の私邸に滑り込む。
案内役のトルグ・エージェント:ジャリーが、メアリーを迎えた。
「メアリー」
ジャリーが小声で言った。
「殿下は『公式ではない』形で、お会いになります」
「外務省の方々には......内密に」
メアリーは、微笑む。
「もちろん」
「今日は『日本政府の代理』ではなく」
「『私個人』として来ています」
ジャリーは頷き、メアリーをマジュリスへ案内する。
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【シェイク・ハーリドとの対面】
部屋には、白いカンドゥーラを纏った若い王族が座っている。
アブダビ改革派王族、シェイク・ハーリド(30代前半)。
彼は、UAEの中でも「未来派」として知られ、AI・再エネ・フードテックに強い関心を持つ人物。
ハーリドは立ち上がり、メアリーに手を差し出す。
「メアリー、ようこそUAEへ」
「ジャリーが会わせたい人がいると言うので、興味が湧いた」
メアリーは、握手を返す。
「殿下にお会いできて、光栄です」
「今日は......少し大きな話を、しに来ました」
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【プレゼンテーション】
メアリーは、タブレットを開き日東テクノロジーの植物工場とWatergenのAWGを映し出す。
「殿下」
「日本の技術で、『砂漠に分散型の食料生産拠点』を作る計画があります」
ハーリドは、興味深そうに身を乗り出す。
「砂漠に......水と食料を?」
「はい」
メアリーが答えた。
「AWGで水を作り、AI制御の植物工場で野菜を育てる」
「電力は、太陽光で賄える」
ハーリドの目が、鋭く光る。
「それは......『我々の未来都市構想』に」
「完全に合致する」
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【保守派の問題】
しかし、ハーリドは表情を曇らせる。
「だが、問題は『保守派』だ」
「彼らは、古い農業利権を守ろうとする」
「外務省が接触しているのは、その保守派の家系だろう?」
メアリーは、静かに頷く。
「はい」
「日本の外務省は、『安全な相手』にしか話を通せませんから」
ハーリドは、苦笑する。
「安全な相手ほど、未来を拒むものだ」
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【ハーリドの提案】
ハーリドは、メアリーを見つめる。
「メアリー」
「君は、藤堂総理と個人的な繋がりがあると聞いた」
「もし日本が本気なら......」
「我々『改革派』が、全面的に支援しよう」
「殿下、それは......」
メアリーが聞いた。
「UAEの国家戦略として、動くという意味ですか?」
ハーリドは、頷く。
「そうだ。ただし条件がある」
「条件?」
メアリーが聞き返した。
ハーリドは、指を一本立てる。
「日本政府が」
「このプロジェクトを単なるビジネスではなく」
「外交戦略として扱うこと」
メアリーは、息を呑む。
「......藤堂総理なら、その価値を理解します」
ハーリドは、微笑む。
「ならば」
「『日本とUAEの未来を繋ぐ橋』を作ろう」
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【会談後】
会談が終わり、メアリーは砂漠の夜風の中に立つ。
遠くに見える、アブダビの光が揺れている。
「......これで」
メアリーが独白した。
「外務省のルートは、完全に『古い道』になった」
「未来は、ここから動く」
彼女は、スマホを取り出し藤堂総理の直通番号に指を伸ばした。
「総理......『改革派王族』が動きます」
砂漠の夜に、新しい国際プロジェクトの胎動が響く。
窓の外、砂漠の星空が広がっていた。
*日本とUAE*
*未来を繋ぐ橋*
*今、始まる*
メアリーは、決意を新たにした。
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5. 極秘オンライン会談
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【総理官邸・執務室】
深夜0時過ぎ。
外務省には知らされていない「極秘会談」が、始まろうとしている。
部屋には、藤堂総理、吉村秘書官、そしてメアリーだけ。
照明は落とされ、モニターの光だけが三人の顔を照らす。
吉村が、小声で告げる。
「......殿下の回線、入りました」
モニターに映し出されるのは、白いカンドゥーラを纏った若い王族。
UAE改革派王族、シェイク・ハーリド。
背景は、豪奢な宮殿ではなく未来都市の建設現場を見下ろす高層オフィス。
「改革派」であることを、象徴するような光景。
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【会談開始】
ハーリドが、微笑む。
「藤堂総理」
「お会いできて、光栄です」
藤堂は、静かに頷く。
「こちらこそ」
「会談を快く受けていただき、感謝します」
メアリーが、軽く会釈し会談の橋渡しをする。
「殿下」
「日本政府は『砂漠に分散型食料生産拠点を作る計画』を」
「国家プロジェクトとして、検討しています」
ハーリドの表情が、引き締まる。
「それは」
「日東テクノロジーの植物工場と、Watergenの大気水生成技術を」
「組み合わせたものですね」
藤堂が、頷く。
「日本の技術で、砂漠に水と食料を生み出す」
「それは、貴国だけでなく」
「世界の食料安全保障にとっても、大きな意味を持つ」
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【ハーリドのビジョン】
ハーリドは、画面越しに身を乗り出す。
「総理」
「我々『改革派』は、石油の時代が終わることを理解しています」
「次の時代は、『水と食料』です」
「同感です」
藤堂が答えた。
「だからこそ、日本の技術が必要なのです」
ハーリドが続けた。
「AI、精密制御、植物工場、そして『水を作る技術』」
「これらは、我々の未来都市構想の中心になります」
藤堂は、静かに聞きながらその言葉の重さを噛みしめる。
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【ハーリドの提案】
ハーリドは、一呼吸置き真剣な眼差しで言う。
「総理」
「もし日本が本気で、このプロジェクトを進めるなら」
「我々改革派は『国家レベルの支援』を提供します」
「国家レベル......?」
藤堂が聞いた。
「はい」
ハーリドが答えた。
「土地、資金、規制緩和、そして王族の後ろ盾」
「すべてを、提供しましょう」
補佐官が、息を呑む。
これは「外交カード」として、破格の提案だ。
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【条件】
ハーリドは、指を一本立てる。
「ただし、条件があります」
「日本が、このプロジェクトを単なる企業支援ではなく」
「外交戦略として、扱うこと」
藤堂は、即答しない。
だが、目は揺らがない。
「......日本は」
藤堂が言った。
「技術で世界に貢献する国で、ありたい」
「その理念に、反するものではありません」
ハーリドは、満足げに微笑む。
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【合意】
藤堂は、画面を見据え静かに、しかし力強く言う。
「殿下」
「日本は、このプロジェクトを」
「『新しい国際協力のモデル』として進めます」
「共に、未来を作りましょう」
「喜んで」
ハーリドが答えた。
「日本とUAEの、新しい歴史が始まります」
メアリーは、安堵の息をつく。
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【会談後】
回線が切れ、部屋に静寂が戻る。
吉村が、呟く。
「......外務省には」
「まだ伝えない方が、いいでしょうね」
藤堂は、窓の外を見つめる。
「外交は『未来を作る者』が主導すべきだ」
「古い枠組みに縛られていては」
「世界は変えられない」
メアリーは、静かに頷く。
「総理」
「これで、『砂漠に未来を植える計画』が動き出します」
「ああ」
藤堂が答えた。
「ここからが、本番だ」
*日本とUAE*
*新しい歴史*
*技術で世界を変える*
藤堂は、決意を新たにした。
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6. 外務省の抗議
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【外務省・中東アフリカ局】
官邸が「改革派王族」と極秘会談したことが、外務省内部に非公式ルートで伝わった直後。
外務省は激怒し、官邸に抗議の場を設けた。
官邸側からは、橘官房長官が出席した。
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【外務省の抗議】
外務省局長が、声を荒げる。
「官邸が勝手に王族と会談するとは、前代未聞です!」
「外交は、外務省の専管事項です」
「官邸が独断で動けば、国際的な信頼を損ないます!」
橘官房長官は、書類を閉じ静かに、しかし鋭い目で局長を見る。
「局長」
橘が言った。
「『外交の専管事項』という言葉は、便利ですね」
「しかし、あなた方は何を成し遂げましたか?」
外務省側が、凍りつく。
橘は、淡々と続ける。
「保守派王族にしか話を通さず」
「改革派の動きも読めず」
「プロジェクトは、一歩も進まなかった」
「それは——」
局長が言いかけた。
橘が、遮る。
「官邸は『未来を選んだ』だけです」
「あなた方が『過去にしがみついた』結果」
「別ルートを、使わざるを得なかった」
外務省の空気が、一気に重くなる。
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【橘の通告】
橘は、書類を机に置きはっきりと言い放つ。
「このプロジェクトは」
「総理が『国家戦略』として進めると決めた」
「外務省は、協力するか」
「置いていかれるか」
「どちらかです」
「......脅しですか?」
局長が聞いた。
橘は、微笑む。
「事実を、述べただけです」
会議室に、重い沈黙が落ちる。
局長は、言葉を失う。
橘は、静かに立ち上がる。
「総理は、待っています」
「外務省の決断を」
そして、部屋を出て行った。
*官邸主導*
*外務省は選択を迫られた*
*協力するか*
*置いていかれるか*
局長は、苦悩の表情を浮かべた。
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7. 渡辺社長の決断
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【日東テクノロジー本社・役員会議室】
黒田専務は、依然として反対派を率いている。
「中東は危険だ」
「政治に巻き込まれる」
しかし、社長が静かに立ち上がった。
「黒田君」
渡辺社長が言った。
「私は、決めた」
「日東テクノロジーは『世界で必要とされる企業』になる」
「しかし社長、それは——」
黒田専務が言いかけた。
社長が、遮る。
「反対するなら」
「役員を辞めてもらって、構わない」
会議室が、凍りつく。
若手役員・白石が、息を呑む。
黒田専務は、言葉を失いやがて椅子に沈む。
「......社長のご判断に、従います」
社内の空気が、一気に変わる。
「中東プロジェクトに、参加する」
社長が宣言した。
「これが、会社方針だ」
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【1週間後・本社応接室】
経産省産業局長が、日東テクノロジーを訪問。
白石と社長が、応対した。
「藤堂総理の指示により」
産業局長が言った。
「本件は『国家プロジェクト』として、正式に立ち上がりました」
「日東テクノロジーには」
「日本代表企業として、参加していただきたい」
社長は、深く頷く。
「光栄です」
「我々の技術が、世界の役に立つなら」
「全力で、取り組みます」
白石の目が、輝く。
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【数日後・本社ロビー】
社長が、記者会見を開いた。
「日東テクノロジーは」
社長が宣言した。
「日本政府と連携し」
「中東における『分散型食料生産プロジェクト』に参加します」
「砂漠に水を」
「未来に食料を」
「それが、我々の使命です」
拍手が、起こる。
その後ろで、白石とメアリーが静かに握手を交わす。
「......本当に、始まるんですね」
白石が言った。
「ええ」
メアリーが答えた。
「ここからが、本当の勝負です」
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【官邸・執務室】
その頃、藤堂総理が窓の外を見つめていた。
*日本の技術で*
*世界の未来を変える*
*その第一歩が*
*今、動き出した*
藤堂は、静かに呟いた。
*誠司さんのお父さん*
*よろしくお願いしますよ*
窓の外、東京の空が広がっていた。
*砂漠に、緑を*
*未来に、食料を*
*日本の技術で*
*世界を変える*
国家プロジェクトが、今まさに始動した。
藤堂は、決意を新たにした。
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第25話 完
次回:第26話「憲法9条について」
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