↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
27/32

第25話「国家プロジェクト始動」

________________________________________

1. 官邸での戦略会議

________________________________________

【ある夜・官邸】


藤堂が進める中東植物工場計画を議題にした、外務省・経産省・農水省を集めた「緊急会議」の前夜。

藤堂は、橘官房長官と八重樫幹事長を呼び意見交換を行った。

秘書官も下がり、完全な密談状態だ。


藤堂は、資料を閉じ二人を見渡す。

「明日の会議で」

藤堂が言った。

「外務省・経産省・農水省を、正式に巻き込む」

「だが......省庁は必ず抵抗するだろう」


橘官房長官が、静かに頷く。

「外務省は」

橘が言った。

「中東の保守派王族と、改革派王族との関係を問題にするでしょう」

「外務省は『保守派王族』としか、繋がっていません」

「だから改革派王族との会談を官邸が主導すれば」

「面子を潰されたと感じる」


「だが、改革派と組まなければ未来はない」

藤堂が答えた。


「その通りです」

橘が頷いた。

「明日の会議では」

「『外務省の役割を奪うのではなく』」

「『新しい外交モデルに参加してもらう』という形にします」


八重樫が、笑う。

「橘、お前は本当に上手い言い方をするな」

「実際は『官邸主導』に変わるだけなのに」


橘は、肩をすくめる。

________________________________________

【各省庁の状況】


「経産省は、乗り気だ」

八重樫が言った。

「産業政策の目玉にしたいらしい」

「農水省は......まあ、農協の顔色を伺ってるだけだ」


「農水省は、どう動く?」

藤堂が聞いた。


「私が、話をつける」

八重樫が答えた。

「『国内農業の国際展開』という名目をつければ」

「反対は弱まる」


「幹事長が動けば」

橘が言った。

「農水省は、逆らえませんね」


八重樫は、不敵に笑う。

________________________________________

【藤堂の理念】

藤堂は、二人を見つめ静かに言った。

「......日本は」

「『技術で世界を救う国』にならなければならない」

「その象徴が、このプロジェクトだ」


「総理の理念は」

橘が言った。

「必ず省庁にも、伝わります」


「伝わらん奴には」

八重樫が言った。

「私が、伝えてやる」


三人が、笑う。

だが、その笑いは決意の裏返しだ。

________________________________________

【明日への準備】


橘が、資料を閉じる。

「明日の会議では」

「『官邸主導の国家プロジェクト』として、正式に宣言します」

「外務省には、外交調整」

「経産省には、産業支援」

「農水省には、国内農業との橋渡しを担ってもらう」


「つまり」

八重樫が言った。

「『官邸が中心で、省庁は補助』」

「それでいいな?」


「ああ」

藤堂が答えた。

「日本の未来を作るのは、官邸だ」


橘と八重樫が、同時に頷く。


藤堂は立ち上がり、窓の外の夜景を見つめる。

「......砂漠に、未来を植える」

「そのために、明日の会議で全てを動かす」


「総理」

橘が言った。

「準備は、整っています」


「後は」

八重樫が言った。

「やるだけだ」


三人の視線が、交わる。


「行こう」

藤堂が言った。

「日本の未来を作るために」


窓の外、東京の夜景が広がっていた。

*明日*

*全てが動き出す*

*日本の技術で*

*世界を変える*

藤堂は、決意を新たにした。


________________________________________

2. 官邸 vs 省庁

________________________________________

【総理官邸・小会議室】


外務省・経産省・農水省の局長級が集められた、緊急会議。

空気は重く、誰もが「ただ事ではない」と感じている。


藤堂が、静かに口を開く。

「今日の議題は、一つだ」

「日本の植物工場技術と、大気水生成技術を組み合わせ」

「中東で『分散型食料生産拠点』を構築する」

「これは、日本の国益に直結する国家プロジェクトとする」


省庁側が、ざわつく。

________________________________________

【外務省の懸念】


外務省中東局長が、手を挙げる。

「総理」

「確かに、中東の食料安全保障は重要ですが......」

「政治リスクが、高すぎます」

「特に湾岸諸国は、王族間の力学も複雑で」

「日本企業が巻き込まれる可能性も——」


藤堂は遮らず、静かに聞く。

だが、目は鋭い。

「外務省は『リスクの列挙』が仕事ではない」

藤堂が言った。

「『どうすれば成功させられるか』を考えてほしい」


外務省局長は、言葉を失う。

________________________________________

【経産省の支持】


経産省産業局長が、前に出る。

「総理」

「これは、日本のフードテック産業を世界に売り込む」

「絶好の機会です」

「政府系ファンド(SALIC、ADQ)との連携も可能です」

「日東テクノロジーの技術は、国際競争力があります」


藤堂は、頷く。

「経産省には」

「『攻めの役割』を期待している」

________________________________________

【農水省の反発懸念】


農水省の審議官が、困ったように口を開く。

「しかし......」

「国内農業団体の反発が、予想されます」

「『日本の技術を海外に持っていく前に』」

「『国内農業を支援すべきだ』という声が——」


藤堂は、即答する。

「国内農業の支援と」

「日本の技術を世界に展開することは、矛盾しない」

「むしろ、海外展開で得た利益を国内に還元できる」


農水省は、押し黙る。

________________________________________

【技術外交】


橘官房長官が、口を開く。

「総理は」

「『日本の技術で世界の水と食料問題を解決する』という」

「新しい外交戦略を、描いておられます」

「これは、ODAの枠を超えた『技術外交』です」


外務省が、反応する。

「......技術外交、ですか」

外務省局長が聞いた。


「はい」

橘が答えた。

「日本は、軍事力ではなく技術で世界に貢献する」

「その象徴が、このプロジェクトです」

________________________________________

【藤堂の指示】


藤堂は、ゆっくりと立ち上がる。

「日本は」

「世界の水と食料の問題から、逃げてはならない」

「我々には、技術がある」

「ならば、使うべきだ」


そして、各省庁に指示を出す。

「外務省は、中東各国との調整を開始」

「経産省は、日東テクノロジーを中心に産業連携チームを作れ」

「農水省は、国内農業団体への説明と」

「『日本農業の国際展開』の新方針をまとめろ」


省庁側は、一斉に立ち上がる。


「これは」

藤堂が言った。

「『日本版グリーン・マーシャルプラン』だ」

「世界の砂漠に、日本の技術で未来を植える」


会議室の空気が、変わる。

国家プロジェクトが、今まさに動き出した。


*日本の技術で*

*世界を変える:

*その第一歩*

藤堂は、決意を新たにした。


________________________________________

3. 外務省の苦戦

________________________________________

【外務省・中東アフリカ局 会議室】


壁には、湾岸諸国の地図。

局長、参事官、課長らが集まり、緊迫した空気が漂う。

机の上には、「中東食料支援プロジェクト — 官邸指示」と書かれた資料が置かれている。


中東局長が、深いため息をつく。

「......官邸は簡単に言うが」

「湾岸諸国は『王族派閥』が、複雑すぎる」

「どの家系に話を通すかで、国の方針が変わる」


参事官が、資料をめくりながら言う。

「UAEは、アル・ナヒヤーン家の中でも」

「『改革派』と『保守派』が対立しています」

「我々が接触しているのは、保守派の方で......」

「どうも、乗り気ではありません」


課長が、苦い顔をする。

「サウジも、同じです」

「皇太子派と、旧勢力派が水面下で争っている」

「どちらに話を通すかで」

「日本の立場が、危うくなる可能性があります」


局長は、頭を抱える。

________________________________________

【官邸からの電話】


そこへ、官邸からの電話が入る。

橘官房長官の声が、響く。

「外務省、進捗はどうなっているの」

「総理は『早期に中東側の合意を取り付けろ』と仰っています」


局長は、苦い表情で答える。

「官房長官、現地は複雑です」

「王族派閥の力学が、読めません」

「どの家系に話を通すかで——」


橘が、遮る。

「外務省は『できない理由』を並べるのが仕事ではありません」

「総理は『日本の技術外交の象徴』にしたいと考えています」

「動いてください」

電話が、切れる。

________________________________________

【外務省の苦悩】


会議室に、重い沈黙が落ちる。

参事官が、小声で漏らす。

「......官邸は、現場を知らなすぎる」

「中東は『誰と握るか』で、全てが決まるのに」


課長が、続ける。

「しかも今回は、『食料』と『水』だ」

「これは、国家の根幹に関わる」

「下手に動けば、日本が派閥争いに巻き込まれる」


局長は、机を叩く。

「だが、官邸は待ってくれない」

「......誰か、突破口はないのか」


課長が、呟く。

「......官邸主導のプロジェクトに」

「外務省が完全に、置いていかれるぞ」


局長は、静かに答える。

「だからこそ、外務省も『主導権』を取り戻さなければならない」

「このプロジェクトは」

「日本の外交の未来を、左右する」


会議室の空気が、張り詰める。

窓の外、霞が関のビル街が広がっていた。


*官邸と外務省*

*主導権争い*

*しかし、時間は待ってくれない*

局長は、苦悩の表情を浮かべた。


________________________________________

4. 砂漠の宮殿での密談

________________________________________

【UAE・アブダビ郊外】


王族の私邸(「マジュリス」と呼ばれる客人用の離れ)

夜。

砂漠の風が静かに吹き、月明かりが白い砂を照らしている。

外務省は「保守派王族」に阻まれ、交渉が停滞。

その裏で、メアリーは「改革派王族」と極秘に接触しようとしていた。

________________________________________

【メアリーの到着】


黒いSUVが、砂漠の私邸に滑り込む。

案内役のトルグ・エージェント:ジャリーが、メアリーを迎えた。


「メアリー」

ジャリーが小声で言った。

「殿下は『公式ではない』形で、お会いになります」

「外務省の方々には......内密に」


メアリーは、微笑む。

「もちろん」

「今日は『日本政府の代理』ではなく」

「『私個人』として来ています」


ジャリーは頷き、メアリーをマジュリスへ案内する。

________________________________________

【シェイク・ハーリドとの対面】


部屋には、白いカンドゥーラを纏った若い王族が座っている。

アブダビ改革派王族、シェイク・ハーリド(30代前半)。

彼は、UAEの中でも「未来派」として知られ、AI・再エネ・フードテックに強い関心を持つ人物。


ハーリドは立ち上がり、メアリーに手を差し出す。

「メアリー、ようこそUAEへ」

「ジャリーが会わせたい人がいると言うので、興味が湧いた」


メアリーは、握手を返す。

「殿下にお会いできて、光栄です」

「今日は......少し大きな話を、しに来ました」

________________________________________

【プレゼンテーション】


メアリーは、タブレットを開き日東テクノロジーの植物工場とWatergenのAWGを映し出す。

「殿下」

「日本の技術で、『砂漠に分散型の食料生産拠点』を作る計画があります」


ハーリドは、興味深そうに身を乗り出す。

「砂漠に......水と食料を?」


「はい」

メアリーが答えた。

「AWGで水を作り、AI制御の植物工場で野菜を育てる」

「電力は、太陽光で賄える」

ハーリドの目が、鋭く光る。

「それは......『我々の未来都市構想』に」

「完全に合致する」

________________________________________

【保守派の問題】


しかし、ハーリドは表情を曇らせる。

「だが、問題は『保守派』だ」

「彼らは、古い農業利権を守ろうとする」

「外務省が接触しているのは、その保守派の家系だろう?」


メアリーは、静かに頷く。

「はい」

「日本の外務省は、『安全な相手』にしか話を通せませんから」


ハーリドは、苦笑する。

「安全な相手ほど、未来を拒むものだ」

________________________________________

【ハーリドの提案】


ハーリドは、メアリーを見つめる。

「メアリー」

「君は、藤堂総理と個人的な繋がりがあると聞いた」

「もし日本が本気なら......」

「我々『改革派』が、全面的に支援しよう」


「殿下、それは......」

メアリーが聞いた。

「UAEの国家戦略として、動くという意味ですか?」


ハーリドは、頷く。

「そうだ。ただし条件がある」


「条件?」

メアリーが聞き返した。


ハーリドは、指を一本立てる。

「日本政府が」

「このプロジェクトを単なるビジネスではなく」

「外交戦略として扱うこと」


メアリーは、息を呑む。

「......藤堂総理なら、その価値を理解します」


ハーリドは、微笑む。

「ならば」

「『日本とUAEの未来を繋ぐ橋』を作ろう」

________________________________________

【会談後】


会談が終わり、メアリーは砂漠の夜風の中に立つ。

遠くに見える、アブダビの光が揺れている。

「......これで」

メアリーが独白した。

「外務省のルートは、完全に『古い道』になった」

「未来は、ここから動く」


彼女は、スマホを取り出し藤堂総理の直通番号に指を伸ばした。

「総理......『改革派王族』が動きます」

砂漠の夜に、新しい国際プロジェクトの胎動が響く。

窓の外、砂漠の星空が広がっていた。


*日本とUAE*

*未来を繋ぐ橋*

*今、始まる*

メアリーは、決意を新たにした。


________________________________________

5. 極秘オンライン会談

________________________________________

【総理官邸・執務室】


深夜0時過ぎ。

外務省には知らされていない「極秘会談」が、始まろうとしている。

部屋には、藤堂総理、吉村秘書官、そしてメアリーだけ。

照明は落とされ、モニターの光だけが三人の顔を照らす。


吉村が、小声で告げる。

「......殿下の回線、入りました」

モニターに映し出されるのは、白いカンドゥーラを纏った若い王族。

UAE改革派王族、シェイク・ハーリド。

背景は、豪奢な宮殿ではなく未来都市の建設現場を見下ろす高層オフィス。

「改革派」であることを、象徴するような光景。

________________________________________

【会談開始】


ハーリドが、微笑む。

「藤堂総理」

「お会いできて、光栄です」


藤堂は、静かに頷く。

「こちらこそ」


「会談を快く受けていただき、感謝します」

メアリーが、軽く会釈し会談の橋渡しをする。

「殿下」

「日本政府は『砂漠に分散型食料生産拠点を作る計画』を」

「国家プロジェクトとして、検討しています」


ハーリドの表情が、引き締まる。

「それは」

「日東テクノロジーの植物工場と、Watergenの大気水生成技術を」

「組み合わせたものですね」


藤堂が、頷く。

「日本の技術で、砂漠に水と食料を生み出す」

「それは、貴国だけでなく」

「世界の食料安全保障にとっても、大きな意味を持つ」

________________________________________

【ハーリドのビジョン】


ハーリドは、画面越しに身を乗り出す。

「総理」

「我々『改革派』は、石油の時代が終わることを理解しています」

「次の時代は、『水と食料』です」


「同感です」

藤堂が答えた。

「だからこそ、日本の技術が必要なのです」


ハーリドが続けた。

「AI、精密制御、植物工場、そして『水を作る技術』」

「これらは、我々の未来都市構想の中心になります」


藤堂は、静かに聞きながらその言葉の重さを噛みしめる。

________________________________________

【ハーリドの提案】


ハーリドは、一呼吸置き真剣な眼差しで言う。

「総理」

「もし日本が本気で、このプロジェクトを進めるなら」

「我々改革派は『国家レベルの支援』を提供します」


「国家レベル......?」

藤堂が聞いた。


「はい」

ハーリドが答えた。

「土地、資金、規制緩和、そして王族の後ろ盾」

「すべてを、提供しましょう」


補佐官が、息を呑む。

これは「外交カード」として、破格の提案だ。

________________________________________

【条件】


ハーリドは、指を一本立てる。

「ただし、条件があります」

「日本が、このプロジェクトを単なる企業支援ではなく」

「外交戦略として、扱うこと」


藤堂は、即答しない。

だが、目は揺らがない。

「......日本は」

藤堂が言った。

「技術で世界に貢献する国で、ありたい」

「その理念に、反するものではありません」


ハーリドは、満足げに微笑む。

________________________________________

【合意】


藤堂は、画面を見据え静かに、しかし力強く言う。

「殿下」

「日本は、このプロジェクトを」

「『新しい国際協力のモデル』として進めます」

「共に、未来を作りましょう」


「喜んで」

ハーリドが答えた。

「日本とUAEの、新しい歴史が始まります」


メアリーは、安堵の息をつく。

________________________________________

【会談後】


回線が切れ、部屋に静寂が戻る。

吉村が、呟く。

「......外務省には」

「まだ伝えない方が、いいでしょうね」


藤堂は、窓の外を見つめる。

「外交は『未来を作る者』が主導すべきだ」

「古い枠組みに縛られていては」

「世界は変えられない」


メアリーは、静かに頷く。

「総理」

「これで、『砂漠に未来を植える計画』が動き出します」


「ああ」

藤堂が答えた。

「ここからが、本番だ」


*日本とUAE*

*新しい歴史*

*技術で世界を変える*

藤堂は、決意を新たにした。


________________________________________

6. 外務省の抗議

________________________________________

【外務省・中東アフリカ局】


官邸が「改革派王族」と極秘会談したことが、外務省内部に非公式ルートで伝わった直後。

外務省は激怒し、官邸に抗議の場を設けた。

官邸側からは、橘官房長官が出席した。

________________________________________

【外務省の抗議】


外務省局長が、声を荒げる。

「官邸が勝手に王族と会談するとは、前代未聞です!」

「外交は、外務省の専管事項です」

「官邸が独断で動けば、国際的な信頼を損ないます!」


橘官房長官は、書類を閉じ静かに、しかし鋭い目で局長を見る。

「局長」

橘が言った。

「『外交の専管事項』という言葉は、便利ですね」

「しかし、あなた方は何を成し遂げましたか?」


外務省側が、凍りつく。

橘は、淡々と続ける。


「保守派王族にしか話を通さず」

「改革派の動きも読めず」

「プロジェクトは、一歩も進まなかった」


「それは——」

局長が言いかけた。


橘が、遮る。

「官邸は『未来を選んだ』だけです」

「あなた方が『過去にしがみついた』結果」

「別ルートを、使わざるを得なかった」


外務省の空気が、一気に重くなる。

________________________________________

【橘の通告】


橘は、書類を机に置きはっきりと言い放つ。

「このプロジェクトは」

「総理が『国家戦略』として進めると決めた」

「外務省は、協力するか」

「置いていかれるか」

「どちらかです」


「......脅しですか?」

局長が聞いた。


橘は、微笑む。

「事実を、述べただけです」


会議室に、重い沈黙が落ちる。

局長は、言葉を失う。


橘は、静かに立ち上がる。

「総理は、待っています」

「外務省の決断を」

そして、部屋を出て行った。


*官邸主導*

*外務省は選択を迫られた*

*協力するか*

*置いていかれるか*

局長は、苦悩の表情を浮かべた。


________________________________________

7. 渡辺社長の決断

________________________________________

【日東テクノロジー本社・役員会議室】


黒田専務は、依然として反対派を率いている。

「中東は危険だ」

「政治に巻き込まれる」


しかし、社長が静かに立ち上がった。

「黒田君」

渡辺社長が言った。

「私は、決めた」

「日東テクノロジーは『世界で必要とされる企業』になる」


「しかし社長、それは——」

黒田専務が言いかけた。


社長が、遮る。

「反対するなら」

「役員を辞めてもらって、構わない」


会議室が、凍りつく。

若手役員・白石が、息を呑む。

黒田専務は、言葉を失いやがて椅子に沈む。

「......社長のご判断に、従います」

社内の空気が、一気に変わる。


「中東プロジェクトに、参加する」

社長が宣言した。

「これが、会社方針だ」

________________________________________

【1週間後・本社応接室】


経産省産業局長が、日東テクノロジーを訪問。

白石と社長が、応対した。

「藤堂総理の指示により」

産業局長が言った。

「本件は『国家プロジェクト』として、正式に立ち上がりました」

「日東テクノロジーには」

「日本代表企業として、参加していただきたい」


社長は、深く頷く。

「光栄です」

「我々の技術が、世界の役に立つなら」

「全力で、取り組みます」


白石の目が、輝く。

________________________________________

【数日後・本社ロビー】


社長が、記者会見を開いた。

「日東テクノロジーは」

社長が宣言した。

「日本政府と連携し」

「中東における『分散型食料生産プロジェクト』に参加します」

「砂漠に水を」

「未来に食料を」

「それが、我々の使命です」


拍手が、起こる。

その後ろで、白石とメアリーが静かに握手を交わす。


「......本当に、始まるんですね」

白石が言った。

「ええ」

メアリーが答えた。

「ここからが、本当の勝負です」

________________________________________

【官邸・執務室】


その頃、藤堂総理が窓の外を見つめていた。

*日本の技術で*

*世界の未来を変える*

*その第一歩が*

*今、動き出した*


藤堂は、静かに呟いた。

*誠司さんのお父さん*

*よろしくお願いしますよ*

窓の外、東京の空が広がっていた。


*砂漠に、緑を*

*未来に、食料を*

*日本の技術で*

*世界を変える*

国家プロジェクトが、今まさに始動した。

藤堂は、決意を新たにした。


________________________________________

第25話 完

次回:第26話「憲法9条について」

________________________________________


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。