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まさか、こんな事態になるなんて……

 魔法を発動すると、手からバスケットボールくらいの炎が出現。

 リンクが作り出した異空間に吸い込まれていく。


 これがどこに行くかというと――……


「っ、な、なにこれ……」


 フェアズの周りに突如、俺の右手にあるような異空間が複数も現れ、炎の球体が襲う。


「――――ちっ!!」


 すぐに避けられたが、炎は俺の視線で自由自在に動かせるみたい。

 フェアズさえ見逃さなければ、追跡可能だ。


 絶対に逃がさんぞ。


「こんのっ!!」


 苦い顔を浮かべていたフェアズは、空中でくるんと振り返ると、鞭を振り上げ薙ぎ払う動きを見せた。


 そうはさせるか!!


restraint(リストイレイント)!!」


 フェアズが魔法を放つと同時に、炎の弾の数を増やす。

 なんとか、相殺出来た。


「こんの!! クソガキ!!!」


 え、俺って餓鬼なの? いや、確かに餓鬼だな。

 何百年も生きている管理者と比べると。


 あ、またしても逃げようと振り返りやがった!!


「逃がすか!! grounddoll(グランド・ドール)!!」


 アルカがすぐさま地面に両手を突き、巨大な土人形を作り出す。


 周りに立ち並ぶ木と同じくらいの大きさはある土人形により、フェアズは俺の炎から逃げられなくなった。


 土人形がフェアズを捕まえるためゆっくりと手を動かすと、脇辺りから逃げようとフェアズが突き進む。


 だが、その動きは予測済み。


chain(チェイン)!!」


 避けた先から伸びるのは、リヒトの鎖。


 急ブレーキをかけ、体を捻り何とか回避している。

 だが、リヒトも負けじと鎖を操りフェアズを捉えようと操作する。


 炎と土人形で動きを制限しているが、目まぐるしく動き回るフェアズだが三人からの攻撃だ。避けきれなくなってきたみたいだな。


 とうとうリヒトの鎖は、フェアズの鞭を持っている手を捉えた。


「なっ!! こんな鎖!!」


 振りほどこうとするが、一度捕まってしまえば終わり。

 その鎖は、そう簡単に解けねぇぞ。


 動けば動く程、解こうと藻掻けば藻掻く程、その鎖は腕に食い込む。


「なに、この鎖!!」


 鞭を持っている手だけを掴まれていたフェアズは、次にもう片方の腕、足、腰と。

 次々鎖に掴まれ、フェアズの動きを完全に封じた。


「この!! この!! なんで、なんで私が!! あんな人間に負けるのよ! 私は管理者になったのよ、この世界を司る力を手に入れたの。ただの人間に()()も負けるなんて、そんな事ありえない!!」


 がしゃがしゃと、鎖に捕まりながらも抗おうと体全体を動かし藻掻く。

 だが、リヒトも負けないように魔力を強め、逃がさない。


 フェアズを捉えたため、リンクは俺達の方へと戻ってくる。

 見上げると、眉間に皺を寄せ俺の髪を掴み、怯えるように縋ってきた。


『あの人、魔力が増幅しているわ。主、早くどうにかしないと危ないわよ!!』

「そんなこと言われても……」


 アマリアも警戒してその場から動かない。

 ただ鎖がぶつかる金属音だけが響く空間。


「私は、私は!!! ただの人間より何倍も強いのよぉぉぉおおおおおお!!!」


 フェアズが叫ぶと、周りに立ち並ぶ木々が動き出した。


 地震が起き、立っていられなくなる。

 膝を突き周りを見ると、アルカとリヒトも激しく動く地面に対応ができず転んでしまった。


 リヒトの集中が切れてしまったことで、フェアズは緩まってしまった鎖から抜けだしてしまった。


「貴方達は私とは違うの、私が最強なの。私が、強いの。私が!!! あんた達に負けるわけがないのよ!!!」


 フェアズの左胸辺りが高まる魔力と連動するように光り出す。


「な、何が起きている?」


 光が強くなったかと思うと、左胸から今までフェアズが操っていた蔓が勢いよく噴射。フェアズを包み込み始めた。


「アマリア、あれはなんだ!!」

「さ、流石に、わからない。僕も初めてだよ、何が起きているんだ」


 アマリアすらわからないのか。

 くそっ、どうすればいいんだ。


 何が起きるのかわからないまま動けずにいると、フェアズを包み込んだ蔓が徐々に動き出す。


「な、なんじゃあれ!!」


 次に蔓の中から姿を現したフェアズは、俺達が知っているフェアズの姿ではなかった。


 背中には、大きな蔓の翼。肌は白くなっており、結ばれていた茶髪は解かれ、足元まで長くなっていた。


 手に持っていた鞭は、魔法を発動していないはずなのに、地面に突く程に長い。


「だ、第二形態とか、管理者は持ってるの??」

「第二形態かはわからないけど、もしかしたらあのお方の強い魔力に呑み込まれてしまった姿なのかもしれないな。もう、諦めないと駄目なのか」


 目を細め、諦めの言葉を出すアマリア。


 殺す勢いで魔法を出した方がこちらとしては楽。だが、それはアマリアまでも感情に呑み込まれ、逆恨みされる可能性がある。


 今も、感情を何とか抑えているが、肌に感じる気配でわかる。


 アマリアは今、完全にぶちぎれている。

 無表情なのに、空気が刺さる。もう、感情がぐちゃぐちゃなんだろうな。


 これ以上アマリアを刺激はしない方がいいだろう。


 殺さず、力に捕らわれたフェアズを解放する方法を、考えろ、俺。

 …………もう嫌だ…………戦いたくない。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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