閑話Ⅱ 女子会……?
知里に置いていかれ、なぜか女子会に参加することになった僕。
正直――ものすごく居づらい。
女性に囲まれたくないから、壁に寄りかかっているグレールの近くまで移動してきたんだけど……。
「早くこちらに来てください、アマリア様。グレールも」
ロゼに呼ばれてしまった。
グレールは素直に歩いていくし……。
行くしかないのか。
「はぁ……」
ロゼの隣にグレール。
僕はリヒトの隣に座った。
「あの、アマリア様。カガミヤさんと離れても大丈夫なのでしょうか」
「それは知里が考えることであって、今の僕が考えることではないと思うよ。考えたところで、ここに監禁されている僕には何も出来ないし」
「か、監禁してないもん!!」
「精神的な監禁を受けてるよ」
はぁぁぁああ……。
気まずい。
知里の隣って、僕にとって一番の安全地帯だったのかな。
「それで、なんで僕がここに残されたの?」
「アマリア様の恋愛事情をお聞きしたく思いまして」
ロゼの目が輝いた。
「さぁ、なんでも吐いてください。聞かせてください、私に」
……めちゃくちゃ傷を抉られた気がする。
「ノーコメント。それより、女子会なんでしょ? 好きな人とかいないの?」
ロゼが首を横に振る。
まぁ、ロゼの場合は難しいか。
「リヒトなら何かあるんじゃない?」
「へっ!? な、ななななな、なっ!?」
……わかりやすいな。
顔が真っ赤だし、目線もあちこちに泳いでいる。
これだから知里に単純とか言われるんだよ。
「それでは……リヒトさんにお聞きしましょう」
「なんでそんなに落ち込んでいるの?」
ロゼが深いため息を吐いた。
「リヒトさんの好きな人は分かっております。応援したいという気持ちもあります。ですが……複雑なのです!」
ロゼは拳を握りしめた。
「このように可愛くて純粋な方が……あの、あの……。お金の亡者のような方を好きだなんて!!」
……あぁ、なるほど。
好きな人――とは、また違うけど。
お気に入りの人が好きな人の話をするのは、確かに嫌だよね。
僕だって――もしフェアズに僕以外の好きな人がいたら嫌だ。
その話を聞いてしまったら……何をしてしまうか分からない。
管理者の立場を使って殺していたかもしれない、精神的に。
肉体的に殺すと後処理が面倒だけど、精神なら誤魔化せるし。
「で、でも!」
リヒトが慌てて声を上げた。
「カガミヤさんがいなければ、僕たちはここにいなかったんです!」
声を荒げたことに気づき、姿勢を整えながらもリヒトは言葉を続けた。
「カガミヤさんは確かにお金にがめつくて、少し面倒で、時々冷たいですけど!」
……ボロクソだな。
「それだけじゃないんです!」
リヒトの目が真剣になる。
「本当は優しくて、人のことを考えられる素敵な方なんです。他人のために本気で怒ることが出来る人なんです」
頬が赤い、本当に好きなんだ。
「私が弱くても、役立たずでも、傍に置いてくれたんです。私の魔法に価値を見つけてくれたんです。ここに居てもいいんだって……思わせてくれたんです!」
……なるほど。
悪いところも、良いところも。
全部理解した上で、リヒトは知里が好きなんだ。
そういえば――
管理者になる前、フェアズも似たようなことを言っていたな。
――――――――
『どうしてフェアズは、僕と一緒にいてくれるの?』
『ん? 決まってるじゃない!』
フェアズは満面の笑みで言った。
『アマリアのことが好きだからだよ!』
『言葉は少ないし、表情は変わらないし!』
『時々言葉がきつくて泣きそうになることもあるけど!』
『それを全部包み込めるくらいの優しさと温かさを、アマリアは持ってるの!』
『だから、一緒にいるんだよ!』
――――――――
長所も短所も全部知って、それでも好きでいられる。
それが本物の愛なんだろう。
僕も――どんな酷い言葉を言われても好きだった。
別れたくなかった。
本当は、今もずっと一緒にいたかった。
「ん? アマリア様?」
ロゼが不思議そうにこちらを見る。
「いかがなさいましたか?」
「……リヒト」
僕は静かに言った。
「その気持ち、大事にした方がいいよ」
「その気持ち?」
「うん。相手を想う気持ち。必ずしも、相手がずっと一緒にいるなんてことはないんだから。相手がいるうちに、一度は直接伝えた方がいい。知里なら……もう察していると思うけどね」
「っ!? な、なっ!!」
ふふ。
知里は幸せ者だね。
……羨ましいよ。
・
・
・
・
「ハックション!!!」
「風邪か? カガミヤ」
「いや」
俺は鼻をすすりながら言った。
「確実に、どこかで俺の噂をしている奴らがいる。それだけだ」
「有名人だもんな!!」
「笑顔でえぐいこと言うな」
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