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チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします  作者: 桜桃
第一章 セーラ村

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純粋が一番怖いかも

 ――――っ。


 光が徐々に落ち着いてきた。

 恐る恐る目を開けると、そこは草原だった。


 何もない。地平線しか見えない。


 あれ、ダンジョンは? 消えたのか?


「カガミヤさん、大丈夫ですか?」

「あ、リヒト。うん、大丈――――」


 振り向いた瞬間、大きな建物が視界に入った。


 ……向いていた方向が逆だっただけか。

 やべぇ、普通に恥ずかしい。


「どうしたんだ、カガミヤ。早く離れないと危ないぞ」

「危ない?」

「ダンジョンは攻略されると崩れるんだ」


 崩れる?

 それは確かに離れた方がいいな。


「でもアルカ、魔力は残ってるのか?」

「少しだけ。ワープは無理だ」

「私も、ほとんど残っていません……」


 ……めちゃくちゃこっち見てくるな。


「……アビリティ」


 魔法が多すぎて覚えられん。

 ページをめくると、“ワープ”を発見。


「どうやって金のなる村に行けばいいんだ?」

「金のなる村じゃない、セーラ村だ。そこを思い浮かべて唱えてくれ」

「俺はその村を知らん」

「……やってみてくれ」


 曖昧だな。

 金になれば何でもいいけど。


「セーラ村へ、ワープ」


 足元から炎が渦巻き、三人を包む。


 浮遊感に襲われるのと同時に、視界が黒に染まった。


 ※


 ドンッ!!


「っっっ、いってぇぇ!!」


 腰が、腰が死んだ。


 瞬間移動じゃないのか。

 着地の衝撃が全部くるタイプか。


 二十八歳の腰をなめるな。


「だ、大丈夫ですか!?」

「大丈夫ではない。事前説明が欲しかった」

「まさかそこまでとは……」


 本気で落ち込むな。ただの八つ当たりだ。


「おーい! 早く来いよ!」


 アルカは元気だな。

 もう少し労われよ、俺。


「まったく……」


 村の中は――人、人、人。


 三角屋根の家々。

 野菜や果物の露店。

 笑い声。


 すごく、うるさい。


 耳が痛い。

 気持ち悪い。

 人酔いしそうだ。


 精霊は姿を消した。


「早く来いって!」

「わかった……」


 わかったとは言ったが、人混みは無理だ。

 一度入ると胃がひっくり返る。


 無理やり同僚に連れていかれたショッピングモールで盛大に吐いたの、思い出した。


「顔色悪いですよ?」

「この村が俺を殺しにきてるだけだ」

「モンスターですか!? どこですか!?」


 杖を握るな、違う。


「違う。人が多いだけだ」

「……?」


 ――――スッ


「っ!? え?」


 いきなり頬に手を添えられた。

 距離、近い。


「顔色が悪いですよ? 大丈夫ですか?」

「人酔いだ。休めば治る」

「でも……」

「報酬を貰わなきゃだろ。人酔いしてでも、這ってでも、吐いてでも行く。金のために、俺は生きる」


 歩き出す。

 後ろからついてくる足音。


 肩越しに振り替えると、まだ不安そうだ。

 ……むず痒い。


「おいおい、今日会ったばかりだろ。俺がどうなろうとお前には関係ないだろうが」


 言った瞬間、リヒトの眉間に皺。


 ……泣きそう?


「関係なくないです。他人じゃないです」


 純粋すぎて、扱いに困る。


「人酔いなだけだ。本当に、命に別状はない」


 頭を撫でると、リヒトは肩を落としてしまった。


「ほら、行くぞ。アルカが待ってる」

「……はい」


 純粋って、本当に怖い。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 知里さんの過去が少し見えて、親からの愛情を感じることなく過ごしてきたということが分かりました。 こういう過去が知里さんの価値観や考え方、選ぶ方向性に影響を与えていくのか、先の展開に興味をひ…
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