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管理者ってどいつもこいつも気持ちが悪いな

 鎖の中でもがき、逃げようとしているショス。

 早く炎で燃やそう、体を自由に変えられるのなら、鎖も急がなければ解かれちまう。


flame(フレイム)でいいか……」


 あの大きさなら大きな魔法はいらんだろう。

 手のひらに炎を溜め、すぐにショスに向けて放つ。


 ――――――バコン


 よし、小さな爆発音。無事に今回の依頼もクリアだな。

 今回は思っていたより簡単だった。


 何も知らなければくそつよモンスターだけど、話ならたくさん聞いていたし、余裕だったな。


 だが、なんか、変だ。

 なんで、今までの冒険者は、ショスを殺せなかったんだ?

 これくらいなら、SSランクの冒険者は仏に倒せたはず。


「カガミヤ? どうした?」

「…………いや、何でもない」


 今更考えたところで意味は無い、か。

 もう帰ろう。どうせ、倒したんだから。


「…………」


 ――――ん? リヒトがまだ爆煙に包まれているショスを見てる。


「い、リヒト、どうし――――っ!! 伏せろ!!!」


 強い魔力を感じ、反射的にリヒトとアルカの頭を押さえ、地面に倒れ込む。

 ヒュース皇子も、すぐに地面へと伏せた。


 ――――バチンッ!!


 っ、何かが、上から振り下ろされた。

 地面を抉り、土埃が舞う。


 なんだ、この、感覚。

 心臓が締め付けられるような、体を押しつぶすような感覚。

 体を起こせない。重たい。


 ゆっくり顔を上げると、土埃の中から人影が見えた。

 シルエット的に、女性。細い何かを手に持っている。


 見続けていると、砂埃の中から勢いよく俺に向けて細長いなにかが放たれた。


「っ、なんだよ!」

「カガミヤさん!!」


 地面を蹴って横に避け、回避できた。だが、バランスを崩しちまっ――!

 またしても細く、しなる何かが迫ってきた。


 後ろに跳び回避。俺が元居たところを反射的に見ると、鞭が地面に垂れていた。


 何処から伸びているのか辿ってみると、一人の女性が小さくなったショスを大事そうに肩に乗せている姿を見つけた。


 いつの間にかリヒトが作り出した鎖は粉々に砕け、消えていた。


「まさか、ショスをここまで苦しめてしまうなんてねぇ。さすがに思わなかったわ。アマリアが肩を持つだけのことはあるわねぇ」


 赤い唇を横に引き延ばし、明るい茶髪をかき上げた。

 黒いローブ、こいつ……。


「お前、管理者の一人か?」

「あら、わかってもらえて光栄ね。そうよ、私は村の管理をしている管理者、名前をフェアズ。どうぞ、お見知りおきを」


 楽し気に細められた深緑色の瞳を向け、下唇を舐める。

 俺達が警戒していたら、フェアズがクスクスと笑い、ショスを撫でた。


「そう、警戒しなくても大丈夫よ。ここで貴方達に牙を向けるようなことはしないわ」

「なら、何故今この場に現れた。まさか、ショスを俺達の代わりに倒すつもりで来たのか? 俺から報酬を奪い取るつもりか!?」

「…………最後だけ妙に力が込められているように感じたのは、私だけかしら?」


 肩をすくめ、フェアズはやれやれと顔を横に振る。

 なんか、わざとらしくて腹が立つ。


「まぁ、いいわ。今回、私が来た理由を簡単に説明するわね。貴方よ、鏡谷知里さん」

「お、俺?」


 簡単な説明すぎるわ。なんで俺なんだよ。

 俺はこいつをまったく知らない、今日初めて会ったはずだ。


 …………いや、こっちの世界に来てからバタバタしていたから、記憶が曖昧になっているのかもしれない。


 過去を遡り思い出そうとするが、やっぱり一度も会ってない……よな?


「アマリアのお気に入りがどのような方なのかを見てみたくなってね、今日は出向かせてもらったの」

「初めまして、で、いいんだよな?」

「そうよ、安心しなさい」

「ほっ、それならよかっ――…………」


 俺の記憶力に安心したのもつかの間、フェアズは誰の目にも止まらず俺の目の前まで来ていた。


 手を伸ばされ、捕まりそうになる。


「っ!!」

「あら、反応速度が速いのね。面白いわ」


 咄嗟に後ろへ跳び距離を取ると、フェアズはまたしても楽しそうに笑う。

 下唇を舐め、伸ばした手は静かに下された。


 周りにいるアルカやリヒト、ヒュース皇子は驚きすぎて言葉すら出ない。

 俺も同じだ。体は反射で動いたが、頭は動かない。


「避けられてしまったのは残念だけれど、仕方がないわね。今日はここまでにしようかしら。これ以上貴方に関わると、アマリアがうるさそうだし」


 言うと同時に、肩に乗せられていたショスを、手に持ち直す。

 うようよと手のひらの上で動いているショスは、フェアズに懐いているようで手を伸ばしているような形を作り出していた。


 次の瞬間――――…………


 ――――――グシャ


 生々しい音と共に、ショスが握りつぶされ……た?


「はい、これで今回の依頼は完了ね。貴方は報酬を手に入れられるわよ、良かったわね」

「何を、考えてるんだ」


 こいつ、アマリアとも、アクアとも違う。

 視界にいれるだけで胸糞悪く、虫唾が走る。


「何を考えているか……ねぇ。村や町、国についてを考えている……で、納得出来るかしら?」


 いや、お前、絶対にそんな事考えていなかっただろうが、平然と嘘を吐くんじゃねぇわ。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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