チート能力だからといって過信し過ぎると痛い目を合う
地面に無事、着地をしたショス。
目や口などがわからないが、こっちを見ているのはなんとなく肌で感じる。
トラック位の大きさはある巨体、グニャグニャと動く体…………うぇ。
「カガミヤ? なんか、顔が青いが、大丈夫か?」
「人酔いした気分だ…………」
アルカが心配の声をかけてくれたが、これ以上何も答えられん。
言葉に出来ない胸糞悪さがある、本当に気持ち悪い。
スピリトは、俺の髪に隠れている。
おい、隠れてないで出てこいや、俺を守れ。
「うっ」
「来るぞ!!」
ショスが動き出した。
口なのかなんなのかわからない突起部分を、俺達に向けてくる。
あ、空洞がある。
あれが口で間違いなさそうだな。
動きを見ていると、息を吸う動作。
次に放たれたのは、紫色の液体!?
「どわっ!!!??」
俺めがけて放たなかったか!?
俺より前にヒュース皇子とアルカが居るのに……。
「大丈夫か、カガミヤ!」
「なぜ、私達ではなく、後ろにいるチサトを狙った?」
ヒュース皇子の疑問を無視し、またしても俺めがけて液体を放ちやがる。
すぐに体勢を立て直し、横へ飛ぶ。
地面に落ちた液体は、じゅわぁと音を立て地面を溶かした。
「当たったら、ひとたまりもないな」
腰に付けている鞄から魔導書を取りだし、構える。
「目が無いから、魔力感知で狙っているのかもしれねぇな。アルカ、囮を任せられるか?」
アルカに目線を向けると、小さく頷いてくれた。
すぐに剣を構え、ショスに向かって走り出す。
「皇子はアルカの援護を頼めるか?」
「了解だ。ぬしはどうするつもりだ?」
「魔法の確認する。二十以上の魔法を全て暗記できていないからな」
「…………わかった」
おい、またしても呆れたような顔を俺に向けるな。
魔導書に書かれている魔法、炎属性を重点的に使いたいし、スピリトを最大限生かせるものを探すか。
溶かすしか退治方法がないのなら、広範囲の魔法で炎に包ませる魔法とかが効果的か?
turboflameでもいいけど、壁に囲まれているわけではない。全方位からの攻撃となると、もっと違うものがいいか。
魔導書とにらめっこしていると、耳にアルカの声が聞こえた。
「カガミヤ避けろ!!!」
「っ、え?」
目の前に、放たれた毒!! 避けられねぇ!!
『ふぅぅぅぅぅううう!!!』
スピリトが炎の息を吐き、毒を霧散してくれた。
た、助かった……。魔導書に集中し過ぎた……。
アルカとヒュース皇子は囮をしてくれてんじゃっ──え?
「おいおい……。物理が効かないとはいえ、あそこまでか?」
アルカとヒュース皇子がショスに攻撃を繰り返しているが、全く効いていない。
アルカが地の魔法を纏わせている剣で斬撃、からのヒュース皇子の雷で追い打ちをかける。
今初めて合わせたとは思えないほどの連携なんだが、そのすべてを、あの柔らかい体で衝撃を吸収していた。
雷でさえ、体に吸収され衝撃を消されている。
効かないのは物理だけじゃねぇのかよ。
雷と地は駄目ということだよな。
地はおそらく、物理に加算されている。
「アビリティ、ショスに効く魔法ってある?」
『効くと言い切れませんが、一つ、現状効果がありそうな魔法がございます』
「それでもいい、使う」
『了解、魔導書に添付されております』
自然と魔導書が開かれ、光っている文字のページで止まった。
これか、ちょっと強そう。
「よし、火力を間違えたら悪いな、ショス。――――|Dragonflame」
右手に火の玉が作られ前に出すと、どんどん火力が上がる。
渦を巻くように大きくなり、熱を感じ始めた。
「――――――行け」
放つと、炎は竜の形を作り出し、ショスに向かった。
――――――ガァァァァァァァァアアアアアアア
炎の竜は地面を揺らす轟音を鳴らし、ショスを燃やし尽くそうと口を大きく開いた。
そのまま、炎の竜で呑み込んでやるよ!!
チート能力を手にした俺に不可能はない!!
そう思っていた俺が、間違いだった。
過信し過ぎていた。
「…………うそ、だろ?」
俺の放った炎の竜は、ショスが体を大きくし、毒を放った口らしきところを開け、丸のみしやがった。
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