主人公立ち位置マジで勘弁
『私は、前主の言葉により、チサト様を転移させていただきました。前主の名はカケル様』
「へー」
そこから始まる感じね、はいはい。
『カケル様は今、ある組織の魔法により、ダンジョンへと封印されております。解く為には、”release"という魔法が必要。その魔法を手に入れられる者は限られ、それとは別に、SSSランクのダンジョンを攻略しなければなりません』
SSSランク……だと?
確か、ワイバーンでSランク。あれより強いモンスターを倒さないといけないのか。めんどくさ。
『releaseは、SSランクのダンジョンの報酬としてもらえます。ですが、必ずではありません』
「必ずじゃないのは仕方がないと流すが、必要な魔法はSSランクで貰えるんだろ? SSSランクのダンジョンをクリアする必要無くないか?」
『SSSランクにいる精霊を手に入れなければreleaseを使えません。しかし、SSSランクのダンジョンを攻略した人は今まで一人しかいないのです』
……………………嫌な予感。
「そ、その一人って…………」
『前主、カケル様です』
「終わったな、俺には無理だ」
「諦めるの早すぎだろ!!! ものすごく強い力持ってんのに、なんでそんなに諦めの決断は早いんだよ!!」
めんどくさいから。とか言うと、まためんどくさい言葉が返ってきそうだからやめておくか。
そういや、こいつは前主の命令で俺を転移させたと言っていたな。
それってつまり…………。
「なぁ、俺を転移させた理由って?」
『はい、カケル様の封印を解除して頂きたいのです』
「無理です、めんどくさい」
『では、全ての魔法、報酬などを全て没収させていただっ──』
「よしっ、これからダンジョン攻略頑張るぞ。報酬はどこだ?」
アルカからの視線がうるさい、別にいいだろ。
だって、何処の世界だろうと金が一番なんだから。
話していると、リヒトが痺れを切らして俺達を呼んだ。
「おーい!!! アルカー! カガミヤさーん!! 早く来てくださいー!!」
ピョンピョン跳ねながら呼んでいるリヒトの近くに扉があった。
「一先ず、その話は出てからでもいいだろ。今は目の前の報酬だ」
「…………………はい」
右手を横に下げるのと同時に、アビリティの声も聞こえなくなった。
アルカは俺の態度に呆れているみたいだが、無視無視。
扉まで行き、扉を見上げてみる。
「普通の扉だな」
「そうだな。でも、ここでトラップがあるかもしれないし、警戒してようぜ」
「めんどくさい」
「え?」
アルカがそんなことを言っているが、何も音はしないし体が震えるような感覚もない。
普通に開けても問題ないだろう。
躊躇することなく、開けた。
「お、おい!」
「ほれ、道が進んでいるだけだぞ」
扉の奥には道が続いている。
光源がないのかくらい。松明解かないのか?
「さ、さすがに怖いですね……」
「お、おう」
確かに、奥が見えないし何か襲ってきても気配に気づかなかったら簡単に殺される。
どうすっかなぁ。
「あの、カガミヤさんの炎魔法で辺りを照らせませんか?」
「ほう、なるほど」
炎って、ゲームだと火を点けたり辺りを照らしたりとか。
冒険の手伝いをしてくれる属性だったな。
でも、俺の炎魔法は威力が馬鹿強いけど大丈夫か?
威力を抑えて手の上に留まらせるとか、出来るかな……。
『出来ます』
「なるほどね。俺の思考は筒抜けなのか、やめろ」
俺の思考を勝手に呼んで返答をするな。
『flameと唱え、威力を制御し、手の上で留めることをイメージしてください』
俺の言葉は無視かい。
まぁ、出来ることがわかったし、やってみるか。
イメージすればいいんだな、頑張るか。
「flame」
手のひらを上に向けて、小さな火の玉をイメージすると、出てきた。
イメージ通りの、揺らめく炎。きれいだな。
綺麗だが、結構疲れるな。
気力を使うし、油断すると炎が大きくなってしまいそう。
報酬のために頑張るしかないけど、コントロールが難しい。
今後も使えそうだから、頑張るけどな。
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