今時の子がこんなにもに頼もしいなんて
まずい、思っていた以上に深い。このまま地面に叩きつけられる!!
なにか、衝撃を和らげる魔法とかないのか!?
『ご主人様!! 私にお任せ下さい!』
「よくわかんないけど任せた!」
スピリトが姿を現し、俺達の落ちるスピードより早く下へと向かい大量の炎を噴射。すると、爆風が吹き荒れ俺達の体を浮かせる。
勢いは弱まり、地面に衝突しないで済んだ。
「た、助かった……」
無事に俺達三人は、深い穴の底に着地できた。
はぁ、死んだと思った。
えぇっと? 何処だぁ? ここ。暗くて何も見えない。
炎を灯すか。右手に炎の玉を作れば、松明の代わりになったはず。
制御が難しいけど、暗いし仕方がない。
「よっと」
「あ、明るくなった。カガミヤ、あんがと」
「俺も困るからな」
炎を灯し周りを照らす。周りには――……
「…………あ」
え、ちょ、あ、え? あ……死ぬ。
「これは……」
「これが……」
そう、これは、俺が求めていた物。
求めていた光景。これがっ!!!!!
「財宝だあぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」
目の前に光り輝くのは、財宝の山!!
首飾りや髪飾り。使う為ではなく、おそらく売るようの剣や小判まである。
お、壁の方に松明がある。
調整をしっかりとして灯すと、辺りを照らしてくれた。
これで、俺は財宝の山にダイブが出来る。
あぁ、幸せだ。
これがBランクで手に入れられるなんて。
もしかして、もっと上のランクに行ったら、これ以上のすごいお宝があるのか?
それは、見つけに行かないといけねぇじゃねぇかよ!!
「おぉ、こんなにテンションが高いカガミヤを見たのは初めてだ」
「うん。まさか、こんなに大きな声を出せるなんて思わなかった」
うるさいうるさい、幸せな時は人間自然と声が大きくなるものだ。
「はぁぁぁぁぁぁぁあ。幸せだ」
「それなら良かった。持って帰れるものだけ持って、早くここから出よう」
「全部」
「……え?」
「全部持って帰るぞ」
「……無茶言うなよ」
無茶ではない、必ず持って帰るんだ。
これは俺の物だ、俺が頑張ったからだ、誰にも渡さない。
「でも、カガミヤさん。どうやって持って帰るつもりですか?」
「往復する」
「ダンジョンは、一度出てしまうと崩れますよ?」
「完全に崩れなければいける」
「ここは地下みたいだし、往復は厳しいと思います。指輪で脱出は出来るけど、また再度入るとしても、同じ道のりを辿らなければいけないですよ? 一回の往復でも時間がかかるのに、崩れる前になんて無理じゃないですか?」
「…………根性」
「物理的に無理ですよね? カガミヤさん程の人ならわかるかと思うのですが?」
ぐぬぬぬぬぬぬ…………。
無理なのか、どうあがいても無理なのか。
無理なのかぁぁぁぁああ!?!?
俺の肩に手を置き、アルカが哀れみの視線を向けて来る。
「カ、カガミヤ。ひとまず、どうしても欲しい物だけ持って行こうぜ。ギルドからも報酬はもらえるんだから、それで我慢しよう。これから色んなダンジョン行く訳だし、財宝は沢山もらえるぞ」
……………………くそ。くそ!! くそおおおぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!!
二人に悟られ、泣く泣く持てる分だけの財宝で我慢した。
次はもっと大きな鞄を持ってこよう。大人が数人は入れるくらい、大きな鞄を。
※
無事にダンジョンを攻略した俺達は一度ギルドに戻り、ダンジョン攻略を報告。
報酬をしっかりともらった。
「この後どうする?」
「少し休んでから次のダンジョンについて考えない?」
「そうだな」
二人が肩を落とし、落ち込んでいる俺の方を見てきている気がする。
うぅぅ。だって、だって。
あの、山のような宝、財宝。今頃あれは全て俺の物になるはずだったのに……。
なんで俺の腕は二本しかないんだ。
なんで俺の身体は一つしかないんだ。
物をワープさせる魔法とかないのかよぉぉぉおお。
「まだ落ち込んでる」
「執着が本当にすごいね」
はぁぁぁぁぁああああ。
まぁ、アルカが言うように、これからダンジョン攻略は沢山していく予定だから、まだまだもらえるけど。
でも、でもぉぉぉおおお。
「カガミヤさん。何か食べたい物とかないですか?」
「食べたい物……?」
「はい。疲れたと思います、何か食べながらゆっくり話しませんか? あと、明日のダンジョン攻略についても話したいのです、いかがでしょう?」
笑顔でリヒトが聞いて来る。
…………さすがに大の大人がこれ以上気にするのも、なんか、申し訳ない気がしてきた。
「……そうだな。魔力も回復しないと次のダンジョンには行けないと思うし、それまで休憩するか」
「はい。次はもっと魔力を抑えて戦えるように頑張りましょう!!」
「そうだな」
アルカも笑顔を向けてくる。
今時の子は強いねぇ、俺も早く切り替えないといけないな。うん、切り替えよう。
これからのダンジョン攻略は、財宝取り放題と考えよう。
この後は簡単に飯を済まし、ギルドへと戻り就寝。
楽勝だったとはいえ、やっぱり体は疲れているんだな。睡魔が襲ってきっ――……
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