やっぱり何事も勢いが大事だな
魔法を発動すると、俺の周りに水が現れ波打ち始める。
大きな音を立て、津波のように周りの蝙蝠を巻き込んでいった。
「きゃぁぁ!!」
「ちょ、これは俺達も巻き込まれないか!?」
「巻き込まねぇように操作してるから、安心しろ」
アルカとリヒトを巻き込まないように操作し、蝙蝠だけを倒していく。
俺達を囲んでいた蝙蝠は、次々と穴から外に水と共に放り出される。
金切り声を上げ抵抗するも、波の勢いに逆らない。
「……もう、全部倒したか?」
『はい、気配がなくなりました』
「よし」
魔法を解除するため、開いていた魔導書を閉じる。
波打っていた水は薄れ、何もなかったかのように消えた。
一息ついていると、アルカが目を輝かせ駆け寄ってきた。
「すげぇ!!!! こんな魔法もあるのかよ!!」
「本当にすごい。でも、魔力の消費が多そうじゃないですか?」
リヒトの言う通り、魔力の消費は凄そうだな。確認しておくか。
「アビリティ」
『はい、魔力量を確認いたします』
パラメーター画面を出してくれた。
あぁ――違いがわからん。そこまで減っていないということか。
「魔力の方は特に気にしなくてよさそうだぞ。次に行こう」
「おー!!」
またしても雑魚が俺達の邪魔をしてきたから、後ろに回られる前に|flama Arrowで一発終わり。
階段を上がり続けると、もう雑魚すら出て来なくなった。
あともう少しで最上階か?
「あ、あともう少しでラスボスじゃないか!?」
「気配が近くなってきてる!! Bランクダンジョンのラスボスってなんなんだろう。なんか怖い」
「カガミヤがいるから大丈夫だろ。俺も全力を尽くす、リヒトはいつものように援護を頼む!!」
おい、サラッとハードルを上げるな。
上がり続けると、階段が途切れる。
中間地点と同じような空間だな、中央にはまたしても宝箱。
またミミックス? あんな気持ち悪いのはごめんなんだけど。
――――――――ガシッ
「……はぁ、お前ら、いい加減にしろ」
なんでまたしても俺は、両腕を掴まれないといけないんだよ。
突っ込まないから安心しろって。
するりと手を離させ、モンスターの気配に集中する。
少しだけど、体に刺さるモンスターの気配を感じる。
けど、周りをいくら見回しても何もない。
「どこにいるんだ?」
「気配は感じるのに、なんで姿が見えないんだろ。もしかして、またミミックスなのか?」
俺だけではなく、アルカ達もわからないらしい。
えぇ、どこだぁ??
――――キュイン
「ん?」
「今、声が聞こえなかったか?」
「私にも聞こえたよ。上?」
上から声がきこっ――……
――――――ギャアアァァァァァァアァアア!!!!
上からいきなり落ちてきた!?
「うわ!!!!!」
「走れ!!」
すぐに駆け出し、風に煽られながらも避けられた。
な、なにが襲ってきたんだ!?
「あ、あれって?」
「これが、Bランクのラスボスなの?」
「みたいだが……」
トラックくらいの大きさはある鳥。でも、ただの鳥ではない。
顔は鶏、体は蛇。前足には白く光る爪、後ろ脚はなく、代わりに尾でバランスをとっているように見える。
黄色くぎょろぎょろ動かしている瞳を俺達へと向けた。
「あれは?」
「確か、コカトリスという名前だったはずだ」
「コカトリス? なんだそれ」
「コアトリスは、猛毒を持っている鳥のモンスター。毒にさえ気を付ければそこまで強くないはずだぞ」
なるほど、毒か。
侵されたらまずいだろうし、それだけは警戒していこう。
「ブレス攻撃を主にしてくるはずだ、気を付けて挑むぞ」
「うん!!」
アルカが剣を構え、リヒトも杖を持ち直す。
俺も魔導書を開き、いつでも魔法を放てるように準備した。
ブレス攻撃をしてくるのなら、無暗に近付くのは危険だ。
今の距離を保ちつつ、相手の動きを見るか。
三人は動かず見上げ、コカトリス自身も動こうとしない。
首を傾げ、毛づくろいを始める始末。
おい、俺達をなんとも思っていないのか?
なら、さっきの突進はなんだったんだよ。
「どうするカガミヤ。今のうちに仕掛けるか?」
「そうだな」
魔導書に魔力を込める。
瞬間、コカトリスが反応、大きな翼を広げ鳴き声を上げた。
――――――――ギャアアァァァァァァァアア!!!!!
っ、突進してくる。まずい!!
近くにいたリヒトを抱き寄せ、隣に跳び回避。
アルカも無事に避け、そのままの勢いでコカトリスへと走りだした。
正面じゃなければブレス攻撃は当たらない。
背後を陣取り、アルカは地面を思いっきり蹴り頭上を取った。良し!!
コカトリスが振り返り、アルカに狙いを定める。
「heathaze」
アルカが頭の上まで上げた剣を思いっきり振り下ろす。
だが、それより先に猛毒が含まれているブレス攻撃が放たれてしまった。
空中なため、身動きが取れない。
当たる、アルカの姿をしている陽炎に――…………
「今だ、アルカ!!」
アルカが姿を現したのは、コカトリスの真後ろ。
「|groundspada」
アルカの剣先が伸び、横一線に薙ぎ払った。
それにより、コカトリスの身体は真っ二つ。
耳が痛くなるほどの悲鳴を残し地面に倒れ、そのまま動かなくなった。
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