マジで勘弁してくれ……。俺を巻き込むな
「おい、ヤンキー兄弟。何をしているんだ」
聞いても、まったく反応がない。
声が聞こえてないのか?
「何があったのでしょうか……」
「見た感じは、何も変わってねぇしな」
周りを見ても、昨日と特に変わらない。
何かあったのかと予想したくても、手がかりすらないから不可能だな。
「…………ちっ、おい、本当に何があったんだ、答えろ!」
一人のヤンキーの肩を揺さぶると、やっと顔をあげた。
これは、どっちだ? 冷静の方か、弟か?
出来れば冷静ヤンキーの方であってくれ。
そんなことを考えていると、やっと俺が目に映ったらしく微かに目を開いた。
「お前らか……」
「俺達だ……じゃない。おい、どうした、何があった」
「…………」
質問しても答えない。
ちっ、これでは話が何も進まない。
どうすればいいんだよ………。
『スキル、透視を使用しますか』
「使用してどうするんだよ、アビリティ」
いきなりアビリティが出てきた。
俺が透視というスキルを持っているのは知っている。
だが、今それを使ったところで意味なんてないと思うのだが?
『スキル、透視を使えば、相手の心情を読めます。ですが、長時間は体に影響を与えるため、短時間での使用をお勧めします』
なるほどな。
勝手に人の心情は読みたくないが、今回ばかりは仕方がない。
「頼む」
『了解。スキル、透視を発動します』
アビリティが言うと、ヤンキーの周りに白い文字が浮上した。
えっと、なになに?
『なんで、管理者が現れたんだ。村長はどこに連れ去られてしまった。戻ってきてくれるのだろうか。俺達はこれから、どうすればいいんだ』
っ、管理者? 村長は管理者に連れ去られたのか?
透視を解除し、アルカ達に情報共有する。
二人ともさすがに驚いていた。
「管理者、なんで…………」
アルカが管理者の名前を出した瞬間、何故か体を大きく震わせ始めた。
なんでそんなに怯えているんだ?
管理者とは、何者なんだ……。
「そういえば、カガミヤさんは管理者の恐ろしさ、知らないんでしたね」
「おう、知らない。管理者とは一体なんだ」
リヒトも怯えてはいるが、冷静に教えてくれた。
「管理者とは、今私達が生きているこの世界を管理している人達です」
「へぇ、管理している奴らいるのか」
「はい。その人達は、何かあれば人を問答無用で捕まえ、脱獄不可能な牢屋へと連れて行ってしまうのです」
え、普通に怖い。
その話だけでもう怖いんだが……。
「そこでは休みなく働かされるんです。吐いても、倒れても、ずっと鞭で叩かれ働かされるみたいです」
「うわぁ……」
「そして、もう体が動かなくなれば、容赦なく殺す。あそこは生き地獄。先がなく、捕まれば最後。魔法で抵抗しようとしても意味はなく、全て無駄。恐怖の対象となっているんです」
うわぁ、なんだよそれ。そんなこと、本当にしているのか?
つーか、出来る人がいるのか?
…………人……なのか?
今考えてもわからんし、とりあえず現状をヤンキーに伝えるか。
「…………なぁ、ヤンキー。今日、受付嬢に通達があったんだ。村長になるようにとな。代わりの受付嬢はもう準備されているらしい。これに関して、なにか意見や質問はあるか? 答えられねぇーと思うけど」
…………何も答えない。
この二人は、もう駄目なんだろうな。
「はぁ……、行くぞアルカ、リヒト」
「え、いいのか?」
「何を問いかけても意味がないから仕方がないだろ」
こういうことは、時間が経てば少しだけでも回復する。
今は気が動転してしまい、人の声に耳を傾ける余裕がないのだろう。
ひとまず、今はいきなり通達を受けた受付嬢の方も気がかりだし、見に行こう。
「…………」
なんだろう、この嫌な感じ。
今回の出来事がスイッチとなって、事件に巻き込まれるような。
今までとは比にならないくらいに大きな何かが巻き起こるような、嫌な予感が胸を占める。
どうか、この予感は、外れますように――………
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